Presented by B.B.C./Biwako Bass Communications

Editorial
Vol.1(02/09/18)

きわめておめでたくて救いようのない全体状況

 バスフィッシングを取り巻く現在の嵐のような状況を少しでも正しく皆さんにお伝えするために、今回から新しいコーナーを設けることにした。これはいわばBassingかわら版の社説のようなものである。

 お坊ちゃん、お嬢ちゃん方には面白くないかもしれないが、はっきり言って今のお子様向け釣り雑誌の数々には分別ある大人が読むに耐える記事がまったくと言ってよいほど載ってない。それでは面白くないので、子供にはわかりにくいのを承知で大人向けにキーボードを叩き続けることにする。内容が内容だけに、文体も通常のB.B.C.ホット情報とはかえることにする。フィッシングライターなどと称しながら、実はお子様向けの文章しか書けない方々に、プロなら内容に合わせて七色(ダムじゃないよ)の文体を使い分けるぐらいのことはしていただきたいという願いを込めて……。

 9月17日に小泉首相が平壌を訪れ日朝首脳会談が行われた。そのテレビニュースの中に、例によって街頭インタビューの場面があった。拉致された人達のうち8人が亡くなっていたことについて、街頭にいる人達(テレビの都合に合わせた選択は行われているが)に話を聞いて、予想の範疇をまったく越えないどこにでもありそうな意見を引き出すという、あれである。その場面の中に軒並み出てきたのが「まさか亡くなってるとは思いませんでした」という感想だ。

 これって、亡くなってるとは思わなかったんじゃなくて、今日この日まで拉致問題のことなんか真剣に考えたこともなかったというのが本当のところなのではないのか。それが今日になって突然、20年も前に拉致された日本人が連れ去られた先の国で死んでたという重大な事実を突きつけられて狼狽したあげく、「まさか亡くなってるとは……」などとと言ってその場を取り繕っている、というのが今回の日朝首脳会談で市井の日本人が置かれた平均的な状況なのではなかろうか。そういう事実をテレビの街頭インタビューが図らずも画面上ににさらけ出してしまったのだが、テレビを見てる人のほとんどはそのことに気付きもしない。これが現在の日本という国のきわめておめでたくて救いようのない全体状況なのである。

 わがバスフィッシングの世界にも、これとよく似たことがあった。琵琶湖で釣ったバスをリリースすることが滋賀県の条例で禁止されることになるなんて、半年前まで誰が思っていただろうか。ゴミ問題も、めいわく駐車も、夜間の騒音も、生態系の問題も、自分達の目の前にあったにもかかわらず、来年4月から琵琶湖で釣ったバスをリリースできなくなるという事実を突き付けられるまで真剣に考えようとしなかった。考えなかっただけでなく、考えるのに必要な知識を身に付けようともしなかった。それが現在のバスアングラーとそれを取り巻く業界のきわめておめでたくて救いようのない全体状況なのではないかと思う。

 でなかったら、今になって次のような発言が出てくるわけがない。琵琶湖のバスアングラーのマナーの悪さは日本一だと前から思っていた……これって街頭インタビューの「まさか亡くなってるとは……」というのと同レベル。分別ある大人がしっかり考えれば、今さら恥ずかしくて口にできない言葉ではないか。これを聞いて、さすがに偉い人はいいこと言うね、なんて思った人が、もし一般のアングラーだけでなく業界や各種団体の多数を占めているのであれば、つまり(こう書くのは3回目になるが)全体状況がそれほどおめでたくて救いようがないのであれば、日本のバスフィッシングに未来はないと思って早々におさらばした方がよいのかもしれない。そうじゃない明るい希望を持てるような材料があることはあるのだが、その力は十分なのか。全体状況を好転させる具体的で有効な方法は?

 などと、そんなことを日朝首脳会談のテレビニュースを見ながらふと思って、まずはとにかく思ったことを文章にまとめてみた。まとめたら、それを載せるためのスペースをBassingかわら版に作ろうと、このコラムを始めることになった次第である。もとより議論になるのは承知の上。十分な知識と正確な情報に裏打ちされた議論なら、それにふさわしい場で大いにやっていただきたい。そのための話題を提供できたのであれば本望である。匿名の不毛な議論はごめんこうむる。そういうのは時間と労力、ネット資源の無駄遣いであるから、なしにしていただくようにお願い申しあげる。言論の自由を保証した日本国憲法第21条(本ページの活動もこの権利にもとづいて行われている)は、他人の人権をないがしろにすることを許すものではないことを念のため申し添えておきたい。

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