Presented by B.B.C./Biwako Bass Communications

Editorial
Vol.14(02/12/22)

琵琶湖バスのリリース禁止まであと100日

 琵琶湖バスのリリース禁止まで、今日で残すところあと100日。「滋賀県琵琶湖レジャー利用適正化審議会」の初会合が12月19日に開かれ、具体的に何がどう行われるのかということが、わずかずつではあるが提示されようとしている。

 リリースを禁止される側としてはまったくもどかしくはあるが、これからジグソーパズルのチップが少しずつ並んでいくように、琵琶湖で何がどう行われるかということが次第に見えてくるだろう。現状は、そのジグソーパズルのチップがやっといくつか見付かって、それが使えるかどうか、ひょっとしたら別のジグソーパズルのチップを間違って持って来たんじゃないかと、皆が手を出すに出しかねている状態である。はまらないチップを間違いを承知で無理矢理はめ込んで、ほかのチップがはまらなくなるのはお構いなしなんて輩も中にはいるという、そんな台本も配役もデタラメだらけの舞台の二幕目がようやく始まったところだ。

 その一方で、バスアングラーや釣り業界が訴えてきたことがようやく世の中に伝わり始めたきざしも見えてきた。国会の委員会質問でブルーギルの拡散について突っ込んだ質問があったり、新聞などの扱い方もこれまでとは微妙に表現がかわってきているのが、その好例である。リリース禁止に関する様々な問題点を約半年がかりで訴えてきた結果、ようやく議員や新聞記者に「ちょっとおかしいぞ」と気付かせ、それが委員会での質問や紙面のちょっとした文章に表れるようになった。

 それと同じことで、おそらくリリース禁止条例を提案した滋賀県や、それを満場一致で可決した県議会の中にも、「これってかなりまずいんじゃないか」という意識が出てきているのではないか。著者がそう感じるのは、来年1月に外来魚の駆除を肯定するためのシンポジウム、3月に駆除釣り大会などという、今さら何が目的でと言いたくなるような茶番をわざわざやるということを聞いてのことだ。それも、主催は駆除派のNPOで県はあくまで後援、あいかわらずバスアングラーの姿はなく、それに対して県議会で疑問が呈されるという、もはや誰の目にも明かな泥縄ぶりである。

 なぜこんなことをしなければならなくなったかと言うと、先に書いたように世間が「ちょっとおかしいぞ」と思い始めた、それを押さえ込むためにほかならない。つまり反対意見は芽のうちに積んでおこうということで、駆除派のお歴々が声を大にして叫ぶ場が設けられたのが1月のシンポジウムである。バスが嫌いなお魚の先生などには、これは願ってもない場であろう。ついでに謝礼が出たら、これほどありがたいとはないというのは気の回し過ぎか。

 駆除釣り大会は、なんでも1000人規模で行われるらしい。つまり、駆除するための釣り大会にこれだけ人が集まったのだからリリースを禁止しても釣りに来なくなることはないということを世に示しつつ、その一方で駆除そのものをデモンストレーションしようという狙いのようだが、そんなにうまくいくかどうか。どっちにしても関係者の家族、親戚、友人、知人、組織力をフル活用してのヤラセでないと1000人なんて集まるはずないから、どういう人達が集まったか聞いて回るだけでも面白いと思うし、誰かその結果をホームページでも何でもいいから発表してくれないかと本気で期待してしまうほどだ。

 それともう一つは、3月の琵琶湖というのは時期と場所が最悪。これは琵琶湖で釣りをしたことのあるバスアングラーなら誰でも知ってる通りで、3月の琵琶湖にド素人が1000人集まろうが1万人集まろうが、バスを駆除なんかできっこない。釣れるもんなら釣ってみろと言いたい。ここは一つ、日頃から駆除派アングラーを名乗ってる面々のお手並みをじっくりと拝見させていただくことにしようか。それにしても滋賀県は、こんな駆除はできず、湖岸を荒らしてゴミだけ残るような大会を何を思って応援するのか。滋賀県にとっては、こういう人達だけがアングラーであり、バスのことなんか本当に何もわかってない人達がものごとを動かそうとしているということが、この一件によく表れていると思う。そのことを世間が知るきっかけになるんだったら、まことにけっこうな企画と言うべきか……。

 しばらく前になるが、滋賀県知事が大阪や京都の知事の所へリリース禁止条例に対する協力のお願いに行ったというニュースがテレビで流れていた。そのときに滋賀県知事の両脇を固めていたのは、一方が環境保護団体の代表、もう一方が県漁連の代表。つまり県知事にすれば、この両者を自分の味方に付ければ、もはや誰の反対もなく条例が成立し、琵琶湖にいいことをした自分は偉大な知事だと敬われこそすれ、誰にも悪口など言われることはない。そういう絵を描いていたのではなかったか。両者を味方に付けるにあたっては、もちろんのこと選挙協力やそれに対する見返りなどの約束があったはず。それを守るために今やたいへんな苦労をしないといけないわ、一方からは思いがけない強烈な非難を浴びせられるわの、まったくもってご苦労さんであると同時に、おめでたい限りとしか言えない状況である。

 リリース禁止条例に対してバスアングラーとバス業界がこれほど強く反対するとは知事も県も予想もしなかった。反対はあっても、バカな釣り師のことだから、ものの数ではないだろうと踏んでいたはずだ。でなかったら、リリース禁止の当事者であるバスアングラーの意見をまともに聞かないまま条例の要綱案が出てくるなんてことはなかったはず。ところがいざ蓋を開けてみれば予想以上に強い反対にあい、しかも反対意見の中に核心を突いた事実がいくつも出てくる。これはまずいということで、なんとしても反対意見を押さえ込もうとする。パブリックコメントに対して、ホームページでいちいち反対の反対意見を並べ立てたのもその一環であろう。

 そうこうするうちに、メディアもバカじゃないから、何かおかしいと疑いを持ち始める。言われたくないことを国会で言う議員も出てくる。万単位の反対意見を無視するという民主主義のルール違反をあえてしても条例を押し通した滋賀県知事の失政は、もはや誰の目にも明かである。無知蒙昧の数々をいくら覆い隠そうとしても、あちこちから綻びが見えてくる。駆除派はその失政をリカバーしないといけないから必死だ。もし失敗したら自分達の信用もなくすし、漁連は琵琶湖産アユの河川放流に影響が及びかねない。研究者は自分や近くの人達がブルーギルの拡散に自ら手を貸しまったことが世間にバレてしまう。一部の環境保護主義者は自分達の無知ぶりを世にさらすことになってしまう。今はそういう状況だと解釈すれば、わかりやすいのではないだろうか。

 バスアングラーにとっては、ここからが勝負所だ。知事や県がますますガードを固めて、アングラーの意見なんか聞くことなく頑なに反対意見を押しつぶそうとするのか。あるいは少しは意見を聞くようになるのか。相手が失政に気付き始めたところをどのように突いて有利な交渉に持ち込むのか。そのあたりのことをよく観察し、よく考えながら、慎重に行動しなければならない。琵琶湖バスのリリース禁止まであと100日となったこの日に、改めてそのことを訴えたいと思う。

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