Presented by B.B.C./Biwako Bass Communications

Editorial
Vol.15(03/01/01)

元日に池原ダムでコイ釣りをしながら思ったこと

 「あけましておめでとうございます」などという決まりもののごあいさつはB.B.C.ホット情報をごらんいただきたい。Editorialはたとえ正月でもハードな話題をお届けする。

 2003年1月1日に奈良県池原ダムのトボトスロープでコイ釣りをしながらこの原稿を書いている。トボトスロープでは元旦釣り大会が開催されていて、若いバスアングラー達は朝早くからボートで釣りに出て行った。大会のルールは、池原ダムで釣った魚なら何でもありの2尾長寸。ならば、ボートで走って寒いめをするよりも、スロープからコイの吸い込み仕掛けをブッ込んでおいて、まかり間違って2尾釣れれば優勝はいただきという周到な作戦を立てた。日本有数のコイ釣り場である琵琶湖畔の釣具店でエサと仕掛けを買い込み、年末まで下野正希プロと一緒にイシダイ釣りに行ってたときに使ってた竿とリールをそのまま持ってきたのだが、1日1寸の寒ゴイはそんなに甘くないようだ。釣り始めてから1時間になるが、いまだアタリはない。

 B.B.C.服部は池原ダム下のバンガローで大晦日の夜を過ごし、2002年最後の瞬間はトボトスロープのカウントダウンイベントに参加した。右の写真は、バンガローでの鍋パーティーの1シーン。だからNHKの紅白歌合戦は見ていないのだが、なんでも同局のヒット番組「プロジェクトX」で流されて見事リバイバルした「地上の星」で中島みゆきが出場歌手に選ばれ、同番組の舞台の一つとなった黒部ダムで歌うのを生中継したとか。小林幸子と美川憲一の歌の本質とは何の関係もない衣装合戦もあきられてきた頃だし、次なる見せ物としていかにもありそうな企画は年末恒例番組にふさわしいものと言えるだろう。

 この中継については、中島みゆきが紅白にありがちなタレント仕事をさせられるのを嫌がったために、NHKホール外での出演になったという嘘か本当かわからない話を耳にした。NHKの看板とも言える大番組が、ここまであからさまに他の人気番組の力を借りて視聴率(ラジオでもやってるから聴取率も)かせぎをしなければならなかったり、一歌手の意向を入れたなどという噂が流れたり、まあそういう時代なんだとテレビが一般に普及し始めた頃から紅白を見てる著者などは痛く感心させられた次第なのだが、正月にBassingかわら版をごらんの皆さんの中で、いったいどれぐらいの方が黒部ダムからの中継をごらんになっただろうか。また、何を思われただろうか。

 というわけで、今回のEditorialは年末年始の番組批評を……じゃなくて、そろそろ本題に入ろう。

 大晦日の前から気になってたのは、折に触れて黒部ダムがテレビの画面に登場してたことだ。なんで今さら黒部ダムが……、単なるプロジェクトXの便乗かと思っていたら、紅白歌合戦の当日、つまり12月31日の主要新聞に関西電力が黒部ダムの写真を使った1ページ広告を入れていた。関電の広告だから全国展開ではないと思うのだが、滋賀版の朝日と読売には入っていたから、かなり大規模な広告が撃たれたのではないかと思う。

 NHKの黒部ダムからの中継は、関電の協力がなければ不可能。そして、その当日の関電の新聞広告。それ以前からのテレビでの露出。これって、用意周到に仕組まれたことではないのか。その標的は言うまでもなく、長良川河口堰から吉野川河口堰を経て長野県に至るダム反対運動であろう。年末から大晦日にかけてこのような大規模広告戦略を展開した電力会社と広告代理店、それに協力するテレビ局。これらが頭の中でつながったときに、「やるな!!」と思った。

 「ダムは必要です」と正面切って言うんじゃなくて、プロジェクトX的な見せ方でダムというものが現に存在する事実とその必要性をすり込む。テレビ局が民放ではなくNHKというあたりも実に巧妙だ。このようなことをやれる知恵と資金を持った会社や組織が情報を意図的に操作しようと思ったら、かなりの部分でそれは可能だということである。

 今年4月1日からの琵琶湖バスのリリース禁止に関して滋賀県がやってることは、これにくらべれば子供が考えそうなレベルでしかない。しかしながら、それに対してバスアングラーやバス業界ができることは、資金力も動員力も明らかにそれ以下である。となれば、あとは知恵を使うしかない。

 「滋賀県琵琶湖のレジャー利用の適正化に関する条例」が10月半ばに滋賀県議会で可決成立してから1カ月半が経過し、バスアングラーの側からの意見や言い分がそろそろ出そろってきたところで、これからはそれに肉付けしたり枝葉を繁らせていく作業を進めなければならない。具体的には、証拠固めや方策の絞り込み、メディア対策、交渉のパイプの確保などといったことを3月をめどに進めなければならない。そのときに、相手のやってることがたとえ子供が考えそうなレベルでしかないとしても、なめてかかるとひどいしっぺ返しをくらう恐れがある。琵琶湖のバスフィッシングは瀕死の状態かもしれないが、Editorial Vol.14で書いた通り、相手もすでに手負いの状態であることを忘れてはいけない。手負いだからこそ必死で反撃してくるから、用心してかからないといけないのである。

 こういうことを書くのは正月にふさわしくない気もするが、新しい年を迎えて気のゆるみを正す意味を込めて、あえて書いておきたい。これからは、片や瀕死の琵琶湖のバスアングラーとバス業界、それに対する陣営も手負いの状態であるとすれば、お互いがとことん闘う気なら、その闘いは相手の弱点を狙ってパンチを打ち合うような、あるいは血みどろの傷口に塩や唐辛子をなすり付け合うような痛みを伴う真剣勝負になっていくだろう。

 アングラーの側が本気で闘う気なら、相手は黒部ダムのメディア露出を利用してダム反対運動に対抗しようとする勢力と同質の強さを備えているから、それなりの覚悟はしてかからないといけない。そのための警告の意味を込めて紅白歌合戦と黒部ダムの話を書かせていただいた次第である。

 最後にご報告するが、池原ダムの寒ゴイはなかなか手強く、原稿を書きながらでは釣れなかった。元旦釣り大会の結果はB.B.C.ホット情報のレポートをごらんいただきたい。コイ釣りの方は、そのうち時期をあらためて再挑戦してみたいと思っている。

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