Presented by B.B.C./Biwako Bass Communications

Editorial
Vol.16(03/01/07)

琵琶湖のバスアングラーはどうするべきか

 今年の4月以降、著者はよほどの事情がない限り滋賀県琵琶湖でバス釣りをすることはないだろうということをEditorial Vol.11で書いた。同時にその理由についても書かせていただいたのだが、その後、同様のご意見を多数メールでお送りいただき、また耳にする機会もあった。各個人によって、それぞれ立場や理由に違いはあるが、今年の4月から琵琶湖でバス釣りはしないという行動面ではかわらない。その結果として生じること、つまり琵琶湖周辺の釣具店やレンタルボート店、マリーナなどが困るという事情を十分に知った上で、大人の判断として琵琶湖で釣りをするのをやめると言うのである。

 バスボートを多数保管している琵琶湖周辺の多くのマリーナからは、現在、会員が次々と抜け落ちて、その補充がままならない状態である。釣具店やレンタルボート店、フィッシングガイドなどは、オフシーズンの今はお客さんが少ないのがあたりまえなのだが、売り上げはすでに昨年から大幅ダウンしていて、中には「もう廃業しようか」という声も聞かれる。とりあえずは、この4月以降の様子を見てから対策を考えるといったところが大勢か。

 奈良県池原ダムの年越しイベントに参加し、大晦日の夜に下北山スポーツ公園のバンガローに10人ぐらいのバスアングラーが集まって鍋を囲んだときもそうだったのだが、このところバスアングラーが集まると話題は決まって琵琶湖バスのリリース禁止のことになる。場所がどこであろうと、バスアングラーが集まれば琵琶湖バスのリリース禁止についてけっこう真剣な議論が繰り広げられるのである。その白熱の度合いは、リリース禁止が近付くにつれて増している。

 琵琶湖周辺の釣具店やレンタルボート店、マリーナなどでも、お客さんと親しくしていればいるほど、そういう話をする機会は少なくないようだ。なじみのお客さんにすれば、そのお店がどうなるのか気になるのはあたりまえだし、お店のスタッフや経営者はお客さんが今年4月以降も来てくれるのかどうか心配している。そういうお互いの疑念や心配を少しでも解きほぐすための対話が今まさに必要であり、良心的なお店やアングラーはすでにまじめな情報交換を始めている。

 琵琶湖のバスフィッシングを取り巻くそのような状況を知った上で、それでも来年4月以降は琵琶湖でバスフィッシングをしないというアングラーが多いようだ。メーカーや釣具店などが参加する日本釣用品工業会や大阪釣具共同組合、日本釣り振興会は、2月のフィッシングショーの際にバスアングラーの動向を調査し、結果を早急に周知することが必須である。せめてそれぐらいの役には立ってもらいたいと思うのだが、準備は進んでいるのだろうか。

 それでもバスアングラーが琵琶湖へ行くのをやめるという理由は、多くの意見を無視した条例に対する抗議の方法がそれ以外にないからであろう。リリースが禁止されたとき、バスアングラーの選択肢は三つある。そのままバスフィッシングを続けて条例違反を承知でリリースも続けるか、条例に従ってバスを殺すか、あるいは琵琶湖でバスを釣るのをやめるかである。

 条例を無視してリリースを続けるのは、たとえそれが立ちションや自転車の夜間無灯火と同じレベルであっても、条例の改定を視野に入れた場合、罰則制の導入につながる恐れが大きい。あえてやるというのなら、それがテロ行為であることを自覚し、その効果を計算した上でやるべきであろう。意図的に条例違反をした上で裁判に持ち込んで言いたいことを言う。あるいはテロリストとして主義主張を述べた犯行声明を出す。それぐらいのこともできずに、ただバスをリリースするだけなら、それはただのバカが条例違反してるだけのことだから相手の思うつぼである。※注 ここでこのようなことを書いたからと言って、著者はテロ行為をあおったり勧めたりするつもりはないから、くれぐれも誤解なきように。「服部氏テロを勧める」なんてバカな引用もお断りする。著者が言いたいのは、あえて条例違反してまでリリースするのなら、それぐらいの主義主張と行動に対する自覚があるべきだということである。いちいちこんな断り書きをしないといけないなんて、なんという時間と労力とネット資源の無駄づかいか……。なんて言いながら、この部分、けっこう楽しんで書いてるんだけどね)

 バスを殺すのは、相手の主張を認めたことになるから、バスアングラーとしてはしたくない。ならば琵琶湖でバスを釣るをのやめた上で抗議行動を続けるしかないのではないか。これと同じ主張をあちこちで見るようになったのは、一般のバスアングラーにとっておそらくそれしか選択肢がないからであろう。

 ここで「一般の」と書いたのは、仕事でバスを釣っているアングラー、例えばフィッシングガイドはレジャーでバスを釣ってるわけではなく、その点を突破口にすればリリースが認められる可能性があるからである。ならばトーナメントはどうかと言うと、レジャーの一環だからリリースは禁止。このあたりは、アングラーそれそれの立場とバスを釣ってる状況によって判断が分かれるところだ。昨日はトーナメントでバスを釣ってたからリリースは禁止で、今日はガイドだから同じアングラーがバスを釣ってもリリースはオーケー。同じボートに乗って釣りをしてても、ガイドのゲストはリリース禁止。メーカーの宣伝のために取材でバスを釣るのはレジャーか仕事か。これらすべて、漁師や漁協、漁連の既得権益への影響を避けるために、リリース禁止の網をレジャーとしてのバスフィッシングだけにかぶせようとする条例の大きな矛盾点である。

 これからの話の持って行きようによっては、特例としてガイドのゲストにはリリースが認められるなんて可能性もなくはない。そういう特例をたくさん設けさせることで、琵琶湖のバスフィッシングを存続させる方法が何かないか。これからは、そういうことも考えていく必要がある。つまり、具体的にガイドならガイド、トーナメントならトーナメント、遊びなら遊び、場所によって、季節によって、岸釣りかボート釣りかによってなど一つ一つの事例をどうしていくかということを皆で考え、何かよい方法を思い付いたら、それを実現する努力をしていかなければらない。

 そのためには、琵琶湖でバスを釣ることをやめたアングラーはどうするべきか。バス釣りをしないけど琵琶湖へは行くというのはどうだろうか。10回のバスフィッシングのうち5回は琵琶湖、5回は他の釣り場だったアングラーなら、他の釣り場へ行くのを8回ぐらいにして、2回は琵琶湖へ行って釣りはしない。琵琶湖近くの行き付けの釣具店で買い物はする。そうすれば釣具店は大助かりだろう。レンタルボートは? これはちょっと難しいが何か考える。ボートを借りてモロコでも釣るとか……。マリーナからもバスボートで出ることは出るが、ポイントに着いたらアンカーを打って釣るのはコアユやモロコ。

 例えば4月1日からしばらくの間、バリバリバスフィッシングの格好で琵琶湖へ行って釣りをせずに湖岸に立ってるだけ、お弁当食べてるだけ。そういう人垣を作ったら面白いかもしれない。とにかく口で言ってるだけでなく、キーボードをたたいてるだけでもなく、琵琶湖で何が起こっているか、何が行われているかを見届けるために現場に居続け、しかしバスフィッシングはしない。そういう行動も必要ではないかと思う。一つの提案として、バスアングラーのためのモロコ釣り大会なんか開催してはみてはいかがだろうか。

 それでも残るアングラーはいる。何が何でも琵琶湖のバスフィッシングでないと嫌だというアングラーだ。本当に天地神明にかけてそうなのであれば、これは琵琶湖のバスと運命をともにするしかない。浅野大和君のように本気で裁判に訴えるなら立派。滋賀県の職員になって内部から切り崩すという長期戦も考えられる。わずかな可能性に賭けて知事や議員を目指す方法もある。あるいは本物のテロリストになるか。そういうことをできもせず、それでいて「自分には琵琶湖のバスフィッシングしかない」なんて言ってるのは、これって「モーニング娘。命」なんてのと同一レベルじゃないのか。

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