Presented by B.B.C./Biwako Bass Communications

Editorial
Vol.29(03/03/08)

漁業調整規則違反がバレて在来魚に一度きりの春

 毎年3月から4月にかけて、琵琶湖大橋北側一帯の湖面は握りこぶし大の発泡スチロール製のウキで覆い尽くされる。このウキは、漁師が入れた刺し網に取り付けられたものだ。刺し網は下側にオモリが付けられていて、上は数mの間隔で水面まで糸を伸ばしてあり、その先にウキが取り付けられている。このウキとオモリの力で湖底から立ち上がるようになっているわけだ。網の両端のウキは、最近では空のPETボトルが使われることが多くなった。

 この刺し網の入れ方が半端じゃない。4〜5m間隔で、まるでウキが湖面を正方形の升目に仕切るかのように縦横にきれいに並んでいる。ボートで通り抜けるのに、どこをどう通ろうか、プロペラにからんでウキを切ってしまうんじゃないかと心配してしまうほどだ。

 この時期の刺し網が狙うのは、主に漁獲量の激減が問題となっているニゴロブナやホンモロコである。春になって産卵のために浅場へ向かおうとするニゴロブナやホンモロコが、沖引き網やエリをかいくぐって、やっと琵琶湖大橋の近くまでたどり着いた所で、この刺し網の大群が待ち受けている。それをすり抜けて、さらに浅い所へやって来ると、アシ原の前にも刺し網があるという仕掛けで、これでどうやって産卵場所に無事たどり着けるのか、バスが食べるフナの子やモロコなど、漁師が獲り尽くした後のわずかな残りカスの中のさらにごく一部なんじゃないかと、毎年春に琵琶湖の湖面を覆い尽くす発泡スチロールのウキを見るたびに思うのである。

 その刺し網が、この春は激減している。刺し網だけではない。沖引き網も沖すくい網も、何もかも激減している。ほかでもない。漁業調整規則に違反する高馬力エンジンを積んでるのがバレて、軒並み立ち入り検査に引っ掛かって漁船登録の抹消と漁業認可の取り消しをくらった結果だ。

 なにしろ春の琵琶湖の刺し網漁というのは、浅い所へ産卵に来る魚を待ち伏せて獲ってるわけだから、その漁がこれからせめて1、2カ月でもなくなれば、ニゴロブナやホンモロコの資源回復にまたとないチャンスだ。これが何年か続けばよいのにと思うのだが、残念ながら理由が理由だけに今年限りの春となる。

 それでもニゴロブナやホンモロコの資源量が回復すれば、それはいかに漁獲圧力が高いかの証ではないかと思うのだが、これまたタイミングが微妙である。なにしろリリース禁止の導入と同時であり、もし資源量が回復してるというデータが得られたとしても、外来魚駆除とリリース禁止の成果にされかねない。

 あるいは、こういううがった見方もある。ニゴロブナやホンモロコの漁獲量は減る一方で、毎年何億円も投入してる外来魚駆除の成果がさっぱり見られない。このまま続けても無駄な投資ということになってしまう。そこで一策を講じた。漁業調整規則違反の摘発をわざとニゴロブナやホンモロコの産卵期の直前にして、産卵期に漁をできなくしたのではないかというのだ。これにより、一時的にでも資源量が回復すれば、一般の人は漁ができてないことなんか知らないから、外来魚駆除の成果がやっと出てきたということにできる。おまけにリリース禁止の導入とピッタリのタイミングで、そういうデータが出てくれば万々歳に違いない。もし何の変化もなかったとしても、違反は違反だから漁業者から抗議されることは何もないという、これは著者のアイデアではなくて、人から聞いた話だ。

 大事な時期に漁ができないのは気の毒な限りだが、それも身から出た錆だとすれば致し方ない。産卵期前の摘発が県の謀略だとしたら、いよいよ漁連や漁業者に対する締め付けが本格化してきたということか。これまで通り好きにはさせないぞと、わざわざわかりやすく宣言してるような気がしないでもない。漁連や漁業者とつるんで自然保護と環境保全の錦の御旗を振りかざしリリース禁止条例を成立させた県が、バスアングラーの必死の反撃で出てきた都合の悪い事実や漁連、漁業者の不祥事から自分の身を守るために、悪いのは漁連と漁業者で自分達の知らぬ存ぜぬことに無理矢理でもしてクリーンなイメージを保とうとする。その一連の作業の結果、たくさんのニゴロブナやホンモロコたちが無事産卵できたのだとしたら、まことに喜ばしい限りである。

 これは未確認情報だが、とある漁業者から伝え聞いた話では、つい前日まで駆除派の先頭に立って活躍しておられた漁業者代表の方も、漁業調整規則違反で操業停止になってるとか。漁業調整規則違反が確定すれば犯罪歴にもなるので、ここは慎重にもう一度未確認だと言っておくが、本当かどうかはこれから先のメディアのこの人に対する扱いを見ればわかるはず。それにしても、これがもし本当だったら、そんな人物の言うことを大々的に取り上げてたメディアはどう弁明するのか。あるいは弁明せず居直るのか。さぞお困りであろう。これも身から出た錆に違いないとは言え、その心中察するに余りある。心よりお悔やみ申しあげます。あくまで、もし本当だったとしたらの話だけど……。とある漁業者から伝え聞いた話だから、間違いないとは思うんだけどね。

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