Presented by B.B.C./Biwako Bass Communications

Editorial
Vol.36(04/03/06)

滋賀県の無駄展示in大阪国際ボートショー

 2003年3月のこと。第18回大阪国際ボートショーの滋賀県小型船協会ブースの壁に、間もなく琵琶湖で開催される予定だった外来魚駆除釣り大会の告知ポスターがデカデカと貼り出されていた。それを見て、「小型船協会がいったい何考えてるのか!?」と嫌味たっぷりにひとこと言ったら、わけのわからない返事で見事におとぼけをかまされてしまった。

 そのことを覚えていたから、翌2004年のボートショーを見に行ったときに「さて、今年は!?」と注目したが、相手もそのことを覚えていて反省したのか、あるいは逃げを打ったのかどうか、そういうのはきれいさっぱり姿を消してしまっていた。そのかわりにブースの壁をかためていたのが、「美しい琵琶湖」「水と自然を大切にしよう」などという毒にも薬にもならない貼り物の類だ。

 琵琶湖では半年前にヨットが沈没して6人が死亡、1人が行方不明になるという事故が起こったばかりで、それを重大視した滋賀県は湖上安全条例を改正しプレジャーボートの乗員に救命胴衣を常時着用させようとしている。海上保安庁はずいぶん前からプレジャーボートと漁業者の区別なく救命胴衣の常時着用の普及に取り組んできた。ほかにも従来型2サイクルエンジンの使用禁止、航行区域の規制など、琵琶湖で小型ボートに乗ってる人達に伝えないといけないことはたくさんある。問題山積みの今、滋賀県と小型船協会はボートショーの展示でいったい何を訴えたいのか、何をやりたいのか、さっぱり理解できない。

 これほどたくさんの問題があるのに、まったく何もしようとしないのでは、裏に何かよほどの事情があるに違いないと勘ぐりたくもなろうというもの。例えば、2008年から従来型2ストロークエンジンが使用禁止になることをアピールしたら、水上バイク乗りから「問題がいっぱいあるのんわかっとるんか!?」なんて言われるかもしれない。今頃になってライフジャケットを着用しようなどと呼びかけたら、「去年ちゃんと言うとかんかったからヨットの事故で大勢の人が死んだんやないか!!」なんてことを言われかねない。だから何もしない方がいいと判断したんじゃないかと、そういう裏の事情をついつい考えてしまうのである。

 それと、もう一つ。滋賀県は従来型2サイクルエンジンの使用禁止に先立ち、環境対策型エンジンに載せかえた場合の検査、登録にかかる費用の一部を助成することを決定し、2004年度予算案にそのための費用を計上した。そのことを伝える新聞記事には、確か「県琵琶湖レジャー対策室は『大阪で開かれるボートの展示会や県内の販売店で、条例や助成の仕組みの周知を徹底したい』としている」と書いてあったはずなのだが、ブース内にそのことを知らせるような目立つポスターも張り紙も何もなかった。「周知を徹底したい」って、どうするのかなと思ってた著者は、「大阪で開かれるボートの展示会」って、このショーのことちゃうのんと開いた口がふさがらなかったのである。

 これは、目立ちはしないがどこかに掲示はしてあるとか、聞いてくれば説明するとか、出展者はそういうつもりかもしれないのだが、それですまされる問題ではない。事前の十分な説明も合意もなく一方的に押し付けられた条例で従来型2サイクルエンジンの使用を禁止されたボート乗りが、それでも条例に従って多額の費用をかけてエンジンを載せかえるんだったら、そのときの検査、登録費用の一部だけでも助成しようというのが今回の予算措置だ。その助成の意図するところを十分に理解してもらって、それに使われる税金を本当に琵琶湖の環境改善の役に立てたいんだったら、ボートショーのブースで大々的に訴えても、訴え過ぎということはない。自分達がやってることをちゃんと説明する自信があるんだったら、そうするべきである。

 それをしないのは、やはり先にも書いたように、大きな問題がたくさんあるのを承知の上で、気が進まないのを仕方なく、嫌々、渋々やってる、と言うよりは、やらされてるからであろう。でなかったら、こんなアホな展示でボートショーの一角を占めるのは世間に恥をさらしてるようなもの。中学か高校の生物部にでもスペースを使わせてあげた方がよほどましである。あっ!! 某研究所の先生方の薫陶を受けながら滋賀県の中学や高校でがんばってる聡明な生物部員の研究発表だと、やっぱりどんなことがあっても外来魚は駆除しないといけないとか、釣り禁止にしないといけないとか、そういう内容になってしまう恐れがあるから、これも今となっては刺激があり過ぎて、ボートショーではまずいかなあ?

 実際のところは、検査、登録費用の一部助成にしても、今のところは予算案に計上しただけで決まったわけではない。そんなものを大々的に告知したり説明したりはできないというのが本当のところかもしれないのだが、それなら最初から、できもしないことを言うのが間違ってる。つまり、何もできないんだったらボートショーなんかに出てこない方がましという八方ふさがりな滋賀県の現状が、こういう場所では覆い隠しようもなくさらけ出されてしまうのである。

 今回のボートショーにおける滋賀県と小型船協会の展示は、琵琶湖を取り巻く滋賀県の複雑な裏事情が見え隠れしたという意味でのみ価値があったと言うべきか。それでも著者は出展者に聞いてみたい。「で、本当は何がしたかったの?」と……。

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