Presented by B.B.C./Biwako Bass Communications

Editorial
Vol.42(04/06/07)

これからのバストーナメントのあり方

 5月30日に滋賀県琵琶湖で開催されたビワコオープン2004第2戦のウエイインの様子を見に行った。琵琶湖のバストーナメントは02年10月27日のLBBC(Lake Biwa Bassfishing Conpetition)以来約1年半ぶり。100艇以上のボートが参加するトーナメントに限定すると98年10月以来だから、なんと約5年半ぶりである。

 リリース禁止のかなり以前からトーナメント取材を積極的にしなくなった理由は、トーナメントの規模がエスカレートし過ぎたからである。南湖に500隻以上のボートが繰り出すようなトーナメントの情報を伝えても、それが一般アングラーの役に立つだろうか。むしろ、伝えれば伝えるだけ規模の拡大を助長して、一般アングラーの居場所がなくなるだけである。その結果がどんなことになるか。琵琶湖岸の自然環境を破壊して作られた小高い造成地にある博物館だか研究所だかの研究室の窓からその様子を眺めた研究者の1人が、「やはりこのようなことは禁止しなけらばならない!!」と固く決意したとしても不思議ではない。トーナメント主催者が、私達はゴミを捨てるようなことはしてない、マナーについては日頃からうるさく言ってるなどとどんなに強く主張したところで、その責任を免れるものではない。だから話題としてトーナメントのことを取り上げても、こんなにたくさんのボートが釣りに出て南湖は大入り満員になってた、○○プロはがんばって釣ってきた、○○プロはダメだったというような話ばかりで、どこでどんな釣り方をして釣ってきたかというようなことはほとんど書いていない。

 もちろんリリース禁止以降は琵琶湖で開催されるバストーナメントをまったく取材してないわけだが、それをなぜ1年以上たった今頃になって再開したかと言うと、琵琶湖のバスフィッシングの状況がかなり落ち着いてきて、適正な内容と規模のトーナメントならありかなと思えるようになったからだ。このことは、取材に行かないトーナメントが適正ではないという意味ではないし、今回以前に取材に行かなかったトーナメントが適正でなかったということでもない。1年以上に渡って様子を見続けてきて、そろそろ琵琶湖で開催されてるトーナメントのことをその内容によっては肯定的に伝えてもいいかなと思える環境が整ってきたからである。

 リリース禁止条例施行後のバストーナメントについて、その開催形態をどうするかということがリリース禁止のかなり以前、条例が成立した時点から検討されてきた。いち早く外来魚の駆除に協力するトーナメントの開催に動いた人達もいるし、なんとかリリース禁止を回避する方法を考え出そうとしたバスアングラーの集団もあった。中には、妥協を拒んだがゆえに開催できなくなったシリーズ戦もあるが、それもトーナメント組織のあり方としては否定できないと思う。

 そのような難しい問題の正解例、つまりリリース禁止下のバストーナメントの一つのあり方を示したのがビワコオープンである。03年6月22日に開催された最初の試合に参加したバスアングラーは85人。8月10日の第2戦は約2倍の166人に参加者が増え、04年は170〜180人台を維持している。リミットはバス3尾で、キーパーサイズは最初20cmだったのが後に25cmに引き上げられた。04年の第2戦はバスがよく釣れそうだから35cmにしようという意見が出たが、少しでも多くの参加選手がウエイインできた方が楽しんでもらえるのではという判断で25cmのままになったそうだ。トーナメントエリアは、北限が安曇川と沖島北端を結んだライン、南限が瀬田川共同橋の範囲内。上位成績はバス3尾で5〜6kg台のハイスコアがめずらしくない。その一方で、楽しみに徹してる参加者も多い。カップルや親子連れの参加者もいる。

 特徴的なのはスタートの方法で、トーナメントのサポーターとして登録された各マリーナやレンタルボート店でタックルチェックをすませた後、決まった時間にいっせいにスタートする。これはスタート地点にいったん集合する面倒をなくし、早朝の待ち時間を最小限にし、騒音や引き波の影響を分散すると同時に、運営スタッフの大部分がサポーター各店で働いていることから、スタートをすませてから会場に駆け付けて設営すれば間に合うという利点もある。参加者はマリーナのメンバーかレンタルボート店でボートを借りる以外にビジターも認められる。いずれにしてもサポーター各店からの参加選手として登録されるわけで、その各店の上位選手の合計ウエイトで競うチーム戦もある。このチーム戦は最初は上位3人の合計ウエイトだったのが、参加者が増えたことを受けて初年度の第3戦から上位10人になった。10人の合計ともなると優勝成績は20〜40kg台という熾烈な戦いで、チーム戦に勝つことが現在は一つのステータスになっている。このように多彩な楽しみを取り込んだビワコオープンは、リリース禁止以降にスタートしたシリーズ戦として最も成功していると言ってよいだろう。

 実際、5月30日のビワコオープン2004第2戦もいろんな選手が参加していた。もちろん有名なバスプロもいるし、本気バリバリで勝つために出てきてる選手もいる。その一方で、マリーナやレンタルボート店のトーナメントの延長ぐらいのつもりで出てきてる選手も多い。それと、もう一つ目立ったのは、琵琶湖で開催されなくなったメジャートーナメントシリーズへの出場を断念した選手が出てきてるケースが少なくないことだ。そういう選手達にとって、ビワコオープンは絶好の受け皿になっているのだろう。彼らは、ちょっと前まではバリバリのトーナメンターだったはずだが、ビワコオープンではなぜかのんびりムード。それでもトーナメントの雰囲気は満喫しているのだろう。ウエイイン会場での生き生きとした表情は、やはり琵琶湖のバスフィッシングが大好きで、試合に出るのをやめられない、根っからのバストーナメントフリークである。

 リリース禁止条例の施行を迎えるにあたって、各マリーナやレンタルボート店では客離れの防衛策としてトーナメントの開催が盛んになった。それがけっこう成功して、バスアングラーをつなぎ止める一つの方策になったが、それだけではやはり楽しみが拡がらないということで企画されたのがビワコオープンだ。マリーナやレンタルボート店をサポーターとする独特の運営形態はそこから生まれた。つまり、現在の琵琶湖のバスフィッシングを取り巻く様々な問題に対処しつつ、いかに柔軟な発想で効率よく運営するか、参加選手に喜んでもらえる内容にするかと知恵を絞りに絞った結果、現在の形になったのである。サポーター各店の集合体による運営だから、トーナメントに参加してくる選手は同時にお客さんでもある。当然ないがしろにはできないから、参加選手のことを第一に考えてるのはもちろんなのだが、ここでよく思い出していただきたい。そんなこと一切考えもしないバストーナメントが過去の琵琶湖にはあったんじゃないか。選手のことを考えてないトーナメント団体に、一般アングラーのことなんか考えられるわけがない。そのあげくが最初に書いたようなことだとしたら、気付くのがあまりにも遅過ぎた。一漁協がバスの漁業権を取って、まるで自分達の湖であるかのように営業してる釣り場と、琵琶湖のような釣り場を一緒にしたのが間違いだったのかもしれないということである。

 リリース禁止下の琵琶湖におけるバストーナメントの試行錯誤は、ビワコオープンだけではない。リリース禁止反対訴訟で有名な浅野大和さんが代表として運営するNBCチャプター京都では、新しい試みとして指定数のバスを釣った時点で即帰着という大胆なルールを試験的に採用したトーナメントを開催している。例えば、リミットを3尾として、ノンキーも含めて5尾釣ったら、その時点で即試合終了、帰着するというようなルールを設定して、それで試合がどうなるか、そのルールをどのように改良していったらよいかの実験をしてるわけだ。

 現在、各マリーナ、レンタルボート店レベルも含めて、琵琶湖で開催されている様々なトーナメントが、そのあるべき姿を求めて様々な試行錯誤を続けている。中には駆除に積極的に協力するようなトーナメントもなくはないし、大規模トーナメントを再開しようとする動きも垣間見えるが、だからと言ってすべてを否定的に捉える段階はすでに過ぎたと判断してよいだろう。要はバランスとコントロールである。琵琶湖のバストーナメントでこれから問題となるのは、琵琶湖のバスアングラー自身による調整や抑制の働く余地があるかどうかと、琵琶湖のバスフィッシング環境に合わせた柔軟な運営が可能かどうかである。その意味では、日本全国たった一つのトーナメント形態という時代は、もはや過ぎ去ったのかもしれない。

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