Presented by B.B.C./Biwako Bass Communications

Editorial
Vol.47(05/02/18)

パブリックコメントの意義

 特定外来生物被害防止法の指定リストにバスを含める方針をめぐって、日本釣振興会の代表者2人が2月9日に環境大臣と面談。これで問題解決に向けて何らかの糸口が見えるかと思ったら、面談はわずか10分ほどで終わったそうだ。それぞれの紹介やら何やらもあることを考えれば、たった10分でどれほどの話ができるか。おそらく新聞記事に出てた以上の深い話にはならなかったであろう。環境大臣にすれば、今のタイミングで釣り関係者と突っ込んだ話をして、痛くもない腹を探られたくなかったか、あるいは腹に痛みを感じてる病状を見せたくなかったのかもしれない。バスの特定外来生物リスト入りで生じた不安を少しでも解いてほしいというバスアングラーの淡い期待は、これで断ち切られた。

 永久に断ち切られたままなのか、断絶は一時的なもので、そのうち話し合いが再開されるのかはわからない。現在は特定外来生物選定に関するパブリックコメント募集の真っ最中であり、環境省のロードマップ通りに事が進めば、パブコメの集計を待って指定種を最終決定、閣議で了承を取り付けた後、6月には特定外来生物被害防止法が施行されることになる。「バスは法律の目玉で、まず指定することが望ましい」という環境大臣の言い方を素直に解釈するなら、最初にバスの指定ありきなわけだから、パブコメでどれだけ反対意見が多かろうと、指定するしないの議論はなかったことにして、ブルドーザー式に法施行まで押し切ってしまうであろう。話し合いが始まるとしても、その後のことになるのではなかろうか。

 となれば、パブコメにどういう意義を見いだすかが問題になってくる。「どうせ指定されちゃうんだからパブコメなんか出しても無駄だよ」と逃げるのは楽だが、そんなことは絶対にない。事実、リリース禁止にはなっても特に大きな問題なくバスフィッシングを続けることができてる琵琶湖の例もあるじゃないか。リリース禁止にもいろいろあって、膨大な監視員を配置して釣ったバスをリリースしたらすぐに飛んで来て厳重注意するようなリリース禁止もあれば、現在の琵琶湖のようにバスアングラーに対しては特に何もしないまま「バス釣り愛好者の皆さんにもご理解いただくことができて非常にうまくいってる」ことにしておくようなリリース禁止もある。琵琶湖でリリース禁止が決まろうかというときに、状況をそこまで押し返すことができたのは、バスアングラーの猛烈な反対があったればこそ。署名やパブコメによる反対は、決して無駄にはなってないのである。

 特定外来生物被害防止法に関するパブコメ募集はこれが2回目。昨年7月から8月にかけて行われた特定外来生物被害防止基本方針案に対するパブコメ募集では、述べ1万2700件の意見が寄せられ、うちバスの指定に反対する意見が7785件もあった。環境省がこのとき募集したのは基本方針案に対する意見で、それぞれの種を指定するかどうかについて意見を聞いたわけではなかった。それにもかかわらず、バスの指定に反対する意見、つまり、このパブコメではルール違反とも言うべき意見がこれだけ集まったのである。これには環境省の担当官も驚いたことだろう。なにしろパブコメ募集で1000単位の意見が集まるのは異例中の異例だから、環境省がバスの指定について腫れ物に触るような扱いをするようになったのも無理はないのである。

 この7785件という数字について、バスアングラーの総数を考えればお話にならない少なさということが言われているが、筆者はまったくそうは思わない。なぜなら、去年のパブコメ募集のときは既存メディアによる有効な告知が皆無に等しく、諸団体の動きも後手々々に回り、バスアングラーが意見を提出したのは、ほとんどネット経由で知ったか、口コミで伝わったのがきっかけだったからだ。たったそれだけのことで、これだけの意見が提出されたのだから、これは目を見張る数字と言っても過言ではない。

 その効果は環境省だけでなく、釣り関係者の意識もかえさせた。それまではほとんど何もしなかったバス専門誌が、競って特定外来生物の問題を取り上げるようになったのも、このときのパブコメの効果がきわめて大きい。あえて言うなら、琵琶湖のリリース禁止のときは何もしてくれなかったバス専門誌が、やっと目を覚ましたのである。さすがに万単位の発行部数を誇る雑誌の影響力は大したもので、多くの有名バスアングラーもこの問題を意識するようになった。そうなるとテレビや携帯サイトも乗ってくる。このような経過があって現在に至ってるわけで、今回のパブコメについては月刊4誌が足並みをそろえて早々と1月末発売号にパブコメ用紙を掲載したぐらいだから、7785×10=7万や8万の意見提出がなかったら、後から来たメディアはコマーシャリズム以外に何の存在価値もないことになってしまう。それと、こういう経過も知らないで7785件が多いの少ないのと言ってる後から来た有名アングラーがいるとしたら、これは、はっきり言ってめちゃ恥ずかしいよ。

 バスが特定外来生物に指定されても、それですぐに釣り禁止やリリース禁止になるわけではない。その点は、どれだけ強調しても、し過ぎることはないだろう。ただし、指定後にバスフィッシングの自由がどれぐらい確保できるかは、これからの話し合いにかかってくるから話は別だ。結果次第では、現在も一部で行われてる無目的な駆除やリリース禁止が全国に拡大する最悪の事態になる可能性だってなくはない。すでにそのための猛烈な運動を繰り広げてる利権団体もあるぐらいだから油断はできない。例えば、パブコメ募集開始直後に環境省が要項を改訂し、一つの意見に複数の署名を可能にしたのなんかは、安易な方法で意見提出者の数を稼ごうと考えた指定支持側の某利権団体が出したアイデアじゃないのか。そのアイデアに環境省が歩み寄ったのではないかと考えられるほどだ。

 その話し合いを少しでも有利に進めるためのパブコメなら、どういう意見が必要かはおのずと理解できるだろう。B.B.C.ホット情報に参考例として掲載した意見は、最低ラインと理解していただきたい。本当はもっと具体的に、バスアングラーとしてどのようなことが困るか、どんな問題が起こってくるかの例示が必要なのである。いくつか例をあげてみよう。

例1>環境省は防除と言ってるが、新聞記事などでは駆除に言いかえられている。言葉の定義をはっきりさせて、ちゃんと周知してほしい。

例2>バスを飼ってる人は、他の指定候補生物を飼ってる人よりはるかにたくさんいる。このままだと法施行前にどこかへ逃がす人がたくさん出てくる可能性がある。どうすればいいか、ちゃんと説明してほしい。

例3>バス釣り場として非常にうまくいってる檜原湖(野尻湖、池原、七色ダムなども)のオオクチバス、コクチバスは駆除の対象にしないでほしい。

例4>管理釣り場存続の道を残してほしい。新規開業もできるようにしてほしい。

例5>内水面漁業法でバスの漁業権が認められてる湖では増殖と放流が不可欠。そのための繁殖、移動、放流が禁止されることのないように、実効ある除外規定を設けてほしい。

例6>バスの漁業権の新規取得を認められるようにしてほしい。

例7>滋賀県は琵琶湖の外来魚駆除が非常にうまくいってると説明し、外来魚が01年にくらべて35%減少したというデータを出している。その上さらに多くの予算を投入して駆除を進めてもコストパフォーマンスが悪くなる可能性があり、きちんとした資源量調査と駆除事業をどのように進めていくかの見通しが不可欠。それがないまま環境省の予算を投入することはやめてほしい。

例8>トーナメントでウエイインするために利根川から霞ケ浦へ移動することを認めてほしい。

例9>すでに飼ってるバスをフィッシングショーなどの展示用に移動することを認めてほしい。

もっと極端な例としては

例10>すでにリリースが禁止された釣り場で釣ったバスを漁業権が認められてる湖や管理釣り場などへ移動、放流することを認めてほしい。

例11>深泥ケ池(早崎内湖ビオトープ、伊豆沼なども)のバスとギルだったら捕獲に協力することはやぶさかではないが、そのときは漁業権が認められた水域や管理釣り場などへ移動することを認めてほしい。

 最後の二つの例については、人によって異論があるかもしれない。そういうことも含めて、パブコメ提出にあたっては将来の日本のバスフィッシング像をしっかり見据えた上で自分の意見をまとめる必要がある。この文章をここまでお読みいただいた方なら、それぐらいのことはできるはず。と言うか、ぜひそこまで踏み込んだ意見を提出してほしい。パブコメを数出すことも無意味ではないが、それと同時にしっかりした意見も出さないと、量ばかりで質がともなわないということになってしまう。それではいけないから改めてお願いする次第である。

 というわけでB.B.C.ホット情報の例文とは別に、ここでは上級者向けの例を並べてみた。このような意見に自分なりの肉付けをして、ぜひしっかりした意見を提出していただきたい。もちろん数の方もがんばらないといけないから、そっちは友人、知人、家族、親戚、会社の同僚、同級生、ショップやガイドのお客さん、何でもありでお願いしまくる。意見の内容は簡単でいい。その例は、すでにB.B.C.ホット情報に掲載した通り。

 しっかりした意見を提出できるかどうかは、自分が普段どれぐらい勉強してるかにかかっている。大勢の人にお願いして協力してもらえるかどうかは、自分が言うことを本気で聞いてくれる人がどれぐらいいるかと、その人達をちゃんと説得できるかどうかにかかっている。単に釣りがうまい、お金儲けがうまいだけで人望のない人には、そんなことできるわけないから、支配の及ぶ限られた人達に命令して言うことを聞かせるぐらいが関の山。そんな人達が、バスの拡散はコントロールできるなんて今さら言い出しても、信用してもらえるわけがない。

 バスアングラーが今問われているのは、そういう本当の人と人のつながりが自分達にあるのかないのか、釣りという遊びの単なる消費者ではない社会的責任を果たすことができる文化活動の担い手がどれぐらいいるかということである。つまりバスアングラーすべての全人格、全人望が問われているのである。そのことを改めて意識した上で、パブコメ提出にもうひとがんばりもふたがんばりもしないと、本当に今のままだとやばいよ。

 ここであげた例文のうち最後の二つについては、説明しておかないといけないことがあるので、ちょっときつい話になるかもしれないけど、近いうちに書かせていただく。こういう話が好きな方はお楽しみに。

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