Presented by B.B.C./Biwako Bass Communications

Editorial
Vol.49(05/02/20)

全日本釣り団体協議会の提案

 特定外来生物選定にあたっての環境大臣の暴挙やパブリックコメントの話題の陰に隠れて、その意義の大きさの割に、ちゃんとバスアングラーに伝わってないニュースがある。2月8日に開かれた水産政策審議会資源管理分科会で、全日本釣り団体協議会が漁業法の第5種共同漁業権について一部改訂を提案した。内水面における漁業権は増殖が免許の条件とする現行の規定を大幅に緩和し、維持管理を行うだけでも漁業権を取得できるようにする改訂案を提出したのである。

 これがどのような意味を持つかと言うと、現行法の元で内水面で漁業権を所得し維持するには増殖の義務が伴う、つまり稚魚や卵、場合によっては成魚を放流しないといけなかったのが、全釣り協案通りに改訂されれば、水産資源や水域環境の維持管理を行うだけでよくなる。例えばバスの漁業権を新たに取得しようとするときに、放流用のバスを確保できなくても、維持管理を行うだけで取得できるようになるということである。

 バスが特定外来生物に指定された状況の下で、バスフィッシングができるフィールドをどのように確保していくか、ゾーンニングを具体的にどのように進めていくかというときに、この改訂は窮余の一策になるかもしれない。あるいは、バスが特定外来生物に指定されなかったとしても、将来的にバスが安定して釣れるフィールドを確保するためには、きわめて有効であろう。もちろんバス以外の魚にも効用はある。日本で実現するには何10年、何100年かかるかわからないライセンス制はもう一つ先の話として、まずは増殖義務を伴わない漁業権取得釣り場を増やし、現在は環境整備協力金や清掃協力金などの形で徴収されてる、へたしたら違法の恐れさえあるかもしれないのにアングラーはおとなしく黙って払ってるお金を正式に入漁料として徴収できるようにした方が、釣り場の確保と釣り環境の向上にはよほど有効なはず。つまり、日本の法制度と内水面漁業の現状に歩み寄った簡易ライセンス制のようなものを構築する道が開ける。全釣り協の狙いをわかりやすく言えば、そういうことになるのではなかろうか。

 だったら現在すでに環境整備協力金や清掃協力金などを徴収してる内水面の釣り場は、近い将来、新たな漁業権取得釣り場の有力候補として真っ先に名乗りを上げることになる可能性があるわけだから、そういう釣り場が全国にどれぐらいあるか、その対象魚は何なのかというようなことを例えばBass Fan Netが全釣り協に協力してアンケート調査するなんてことはできないものだろうか。そんなことを水産省が調べようとしても、環境整備協力金や清掃協力金なんてものは表に出し難い性質のお金だから、正確なことはわかりそうにない。そんなことに期待するよりも、アングラーが自発的に調べ上げてリストを作り、この現状をどうするつもりなんだと全釣り協を通じて水産省に話を持って行く方が、よほど成果が期待できると思うのだがいかがだろうか。

 バスが特定外来生物に指定されることを前提に話をするなら、そうなったときにゾーンニングと防除をどのように両立させていくかという点においても漁業権取得は有効である。入漁料を徴収するには、そのためのシステムを構築し、人員を配置しないといけない。バスを生きたまま持ち出すこをそのシステム上で監視するのは簡単なことである。持ち出しを止めることができれば、他の水域に放流されることもなくなるわけだから、そのメリットは大きい。税金を使って監視したり駆除したりするのと、すでにそこにいるバスを資源をして有効利用した上で拡散を防ぐのとでは、上下大きな違いである。

 バスフィッシングに限ったことではない。バスが釣れなくなったら、初めての釣りは近くの池でバスっていう人がいなくなってしまう。そしたら、バスからほかの釣りにステップアップする人もいなくなってしまう。現在の日本に、バスフィッシングのように手軽に始めることのできる釣りがほかにあるだろうか。それがなくなるのだから、釣りそのものが衰退するのは陽を見るより明らか。と言うか、すでに始まるべくして始まっていた釣りという遊びの衰退をなんとかくい止めていたのがバスフィッシングだったと解釈する方が正解かもしれない。

 バスが釣れなくなったら、フナでもモロコでも何でもいいから釣ればいいじゃないかというのはド素人考えというもの。バスが拡がる前に、フナやモロコがよく釣れて立ち入り禁止でない湖や池、川がどれだけあったか。琵琶湖でモロコが釣れたか。近所の池や小川で子供でもフナが釣れて、自由に釣りができたか。そんなの空想の世界の話でしかない。ほんと、釣りを知らないやつほど、そういうことを平気で言うし、それを簡単に信じ込む人が大勢いるから、世の中油断できない。

 それともう一つは、バスフィッシングが若者を引き付けるかっこいい遊びだということもとても重要。小さな子供にオモチャがわりにリールを与えたら、教えもしないのに勝手にハンドルをクルクル回していつまでも機嫌よく遊んでる。小学校高学年から中学生ぐらいになったら、竿1本の釣りよりもリールを使う釣りをやりたくて仕方なくなる。もっと小さい子供でも、使えもしないのにリールを使って釣りたがって、やらせてみたら糸をグチャグチャにして、それでも喜んでるものだ。そんな釣りができる淡水の釣りものって、バス以外に何があるか。それが子供でもできるか。大人になってから釣りを始める人と、子供の頃から釣りに親しんでた人と、いったいどちらが多いか。

 海釣りでもいいじゃないかって!? ええい、面倒くさいけど、ついでに説明しちゃおう。四面海に囲まれた日本なんて言い方があるけど、普段から海に接して暮らしてる人がどれぐらいいるか。その海ではたして釣りができるか。魚が釣れるか。お金はどっちがかかるか。もっと細かいことまで言えば、タックルの手入れが面倒くさい。フックが錆びる。仕掛けは毎回作りなおさないといけない。エサも事前に用意しておかないといけない。そういう釣りを若い人達がしたがるかどうか。だから海でもシーバスやエギング、メバル、ジギングなどルアー釣りがポピュラーなんだけど、大部分はバスフィッシングからステップアップした人達だ。あんた知ってるかい。この頃の子供は、港の防波堤でウキ釣りするのだって、バスタックルを使ってるんだよ。そんな現場も見たことないくせに、想像だけでもの言うんじゃないよ。

 というようなことで、バスフィッシングがなくなったら日本の釣りはお先真っ暗。あらゆる釣りをする人は減る一方。アユや渓流、コイ、フナ、ワカサギなどの入漁券を買ってくれる人もいなくなるから、今でも足腰ガタガタ点滴人工呼吸状態の内水面漁業はアッと言う間に立ちゆかなくなる。まあ、駆除でしばらくは食いつなぐのかもしれないが、それも永久には続かない。その先にあるのは、利用する者も管理する者も誰もいなくなった湖や川、池。人の歓声が聞こえることは二度とない。聞こえるのは風と水の音か、あるいはダンプとブルドーザーの騒音か。

 バスの漁業権を取得して入漁料を徴収することができるようになれば、その収益を他の魚種の増殖に回すこともできる。この冬好調のワカサギ釣り場で、バスフィッシングとの両立に成功してる例は枚挙に暇がない。特にここ数年は、バスでうまくやってる釣り場ほどワカサギ釣りでも大成功する傾向にある。ワカサギだけでない。ヘラブナやコイ、トラウト類などとの共存も十分可能であろう。このような方法で水域を維持管理していくのと、無目的な駆除やリリース禁止で荒廃させてしまうのとでは、これまたたいへんな違い。もちろん、その中間の何もしない水域や、資源量をコントロールするために駆除を続けて外来魚を減らすことを目標にする水域、希少生物保護のために徹底駆除する水域などもあってしかるべきだが、駆除やリリース禁止ばかりですべてがうまくいくわけがない。

 極端な話、大部分の釣り場からバスアングラーが閉め出されるようなことになれば、それでバスフィッシングが衰退して終わりというようなことがあり得るだろうか。自発的に釣り場のゴミ拾いに参加し、パブリックコメントや意見メール、ファックスを送り、滋賀県釣り団体協議会やBass Fan Netに登録するような熱烈なバスアングラーが何万、何10万、何100万といるのに、そんな彼ら、彼女らが簡単にバスフィッシングをあきらめたりするだろうか。

 あきらめないとしたら、その受け皿はどうする。もし十分な釣り場を確保することができず、どこへ釣りに行っても押し合いへし合いで魚は釣れない。おまけに監視の目は厳しく、ちょっと怪しいことしたら犯罪者扱いで、釣りをしててもぜんぜん面白くない。なんでこんなことになったんだ!! 誰のせいだ!! なんてことになったら、その先は考えるだけでも恐ろしい。過去に外来魚が原因で絶滅した在来生物などいなかったのが、特定外来生物被害防止法が施行されたおかげで……。

 そんなことにならないようにするための受け皿としての釣り場はどれぐらい必要だろうか。そういうことを調べるのにも、Bass Fan Netが役に立つかもしれない。例えばBass Fan Netに10万人が登録してるとして、ショップや釣り場に来るアングラーにBass Fan Netに入ってるかどうかを聞いてその割合を調べれば、バスアングラーの総数がおよそわかる。釣りに行く頻度やどんな釣り場へ行ってるかということをアンケートで調べれば、必要な釣り場の総量を見積もることができる。これでも滋賀県などがやってる琵琶湖の魚の資源両調査なんかにくらべれば、よほど科学的だし制度も高いと思うのだがいかがだろうか。

 一方、釣り場の実態調査も最初の方で書いたような方法ですすめる。まあ、別にBass Fan Netでなくてもかまわない。ほかに有効な方法があれば、それでも結構。その両方の摺り合わせで、ゾーンニングの全体像が浮かび上がってくる。その中で、新規にバスの漁業権取得をめざす釣り場はどことどこか。管理釣り場はどれぐらいあるか。新たな候補はあるか。それ以外の、まあそのままでも大丈夫という釣り場はどれぐらい確保できるか。あるいはできないのか。これぐらい具体的な設計図がないことには話が始まらない。

 こんなデータなら、環境省も水産庁も喉から手がでるほどほしいはず。それをバスアングラーと釣り業界が先に手に入れてしまえば、相手も話し合いのテーブルに着かざるを得ないんじゃないか。全釣り協や日本釣振興会にまかせたら100年かかるって言うんだったら、Bass Fan Netで勝手に始めちゃえばいい。ある程度データが集まったら、全釣り協や日釣振も乗って来ざるを得なくなる。これでやっとバスアングラーと全釣り協、日釣振の正三角形ができあがって、環境省や水産庁との話し合いが正常な形で再スタートすることになる。

 そんなこと、とても無理とお思いだろうか。確かにたいへんかもしれないけど、昨年あたりからの全釣り協や日釣振、さらには釣りメディアの動きを注意深く見てたら、かなりアングラー主導になってきてるというか、アングラーが勝手に始めたことの後追いでいろんな動きが始まるようになってきてるから、仕事は大きいけど始めてみれば意外や意外、一気にドカンといくかもしれない。なにせ、Bass Fan Netのような規格外OSで動く、どこまで膨張するかわからない組織がたった2日足らずでできちゃうぐらいだからね。

 とまあ、いろいろ書いてきたが、こういうことを考えるようになったのには二つの理由があって、一つはBass Fan Net。もう一つは、全釣り協が水産庁に提案した漁業法の改正。世の中には本当に面白いことを考える人がいるもんだ。釣りの世界もまんざら捨てたもんじゃないというわけで、この二つを組み合わせたらどんなことができるかと考え始めたら、いろんな新兵器と新戦略の構想が次から次へと浮かび上がってきて、このようなことになった次第。これを架空の話と面白おかしく読み飛ばすか、有意義な提案として分析しつつ熟読するかは、皆さんの判断におまかせしたい。

 それと、ここで書いたことすべて、Bass Fan Netに膨大な数のメンバーが集まり、パブリックコメントも十分な質と量が提出され、しかもやる気があって自発的に動いてくれるバスアングラーが大勢いてくれるという3条件がそろって初めて可能になる話だということをお忘れなく。できるかできないかと言う前に、Bass Fan Netにどれぐらいの登録があるか、パブリックコメントがどれぐらい提出されるか、結果を見せるのが先ではなかろうか。それができなかったら明日はないと思って、とにかく今はがんばるしかない。

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