Presented by B.B.C./Biwako Bass Communications

Editorial
Vol.51(05/12/08)

琵琶湖リリース禁止条例見なおしのその先にあるもの

 琵琶湖レジャー利用適正化審議会が12月7日に滋賀県知事に提出した条例見なおし答申のうち、2ストローク船外機規制に関する主な記述は次の通り。

答申提出前に審議委員にメールで配布された修正報告からの引用---------------------

 マリーナ等との連携・協働によるプレジャーボートの管理強化を図り、プレジャーボートの利用者に対して環境対策型エンジンへの転換を着実かつ強力に働きかけることが適当です。併せて、マリーナ等に保管・係留されていない持ち込み艇についてもマリーナ等への保管・係留を推進し、その管理強化による環境対策型エンジンへの転換を確実に図ることが重要です。

 そのための方策として、マリーナ等が、環境対策型エンジンへの転換促進計画の策定など一定の厳しい条件を満たすことについて知事と協定を締結し、協定を遵守するとともに、当該マリーナ等に保管・係留されているプレジャーボートの利用者については、転換促進計画を遵守することを条件に猶予期間の特例措置を認め、持ち込み艇を含むできるだけ多くのプレジャーボートをマリーナ等の管理下に誘導することにより、環境対策型エンジンへの転換を確実に図るという方法が提案されたところです。

 しかしながら、この提案については、そのねらいどおり持ち込み艇の管理強化や環境対策型エンジンへの転換の促進に繋がるかどうかについて懸念する意見もあり、今後、県におかれては、こうした懸念も十分に踏まえ、環境対策型エンジンへの転換を確実に図るための方策について検討する必要があります。

 こうした取組により、航行規制の遵守徹底などについても、各マリーナ等を通じてプレジャーボート利用者に対して強力な働きかけが可能となり、琵琶湖への環境負荷低減を全体として進めることも期待できます。併せて、レジャー条例に加えて水上安全条例や現在県で検討中のプレジャーボートの係留保管の適正化に関する条例など関係法令を駆使して悪質なプレジャーボートの利用者の厳格な取り締まりを行うなどの取組も必要です。

 また、既存艇の環境対策型エンジンへの転換を円滑に進めるためには、金銭面が大きな問題であり、県の環境対策型エンジン転換促進助成金は助成金額が低額であることや、補助対象である乗り換え、載せ替えが少なかったため、平成16年度実績は3件にとどまっています。このため、上記の措置と併せて転換策の一層の充実が求められます。

引用終わり--------------------------------------------------------

 12月2日の審議会で一部審議委員から出された強い要望を受けて追加されたのは「しかしながら、この提案については、そのねらいどおり持ち込み艇の管理強化や環境対策型エンジンへの転換の促進に繋がるかどうかについて懸念する意見もあり、今後、県におかれては、こうした懸念も十分に踏まえ、環境対策型エンジンへの転換を確実に図るための方策について検討する必要があります。」の部分。このようは修正はあったが、文章の全体を見ると答申は明らかに、特例措置を設けた方が2ストローク船外機への転換がスムーズに進むという現実論を取っていることがわかる。

 答申提出を伝えたChunichi Web Press8日付記事Mainichi Interactive同日付記事は、使用禁止の猶予期間を延長することは「適当とは考えられない」という部分をわざわざ抜き出して強調。自分達が今まで書いてきたことと現実の乖離の狭間でのたうつ記者の苦しみがよくわかる記事になっている。それで一部審議委員や行政、一般市民が納得して、使用禁止が事実上先延べされるのであれば、バスアングラーはこれ以上騒がず実を取るのが賢明かもしれない。

 かくして答申は出た。その内容について、ここで繰り返すことはしない。Bassingかわら版の各ページでたびたび紹介してきたので、一通り目を通していただければ、いかにしてこのような答申に至ったか、事実はどういうことか、ご理解いただけるはずである。リリース禁止に罰則規定ができる、ワームは使用禁止になるなどという単なる噂話をまことしやかに伝えた自称情報通の無知ぶりも同時に明白になるであろう。

 答申を尊重した条例改正が行われるなら、琵琶湖のバスフィッシングは現状から大きな変更はなさそうである。ただし、油断は禁物。特定外来生物被害防止法先例に見られる通り、答申なんてものが参考意見に過ぎないとすれば、行政や議会はやろうと思えばどんなことでもできる。さらにリリース禁止については、希少生物保護条例の制定準備を滋賀県は進めていて、最悪の場合、琵琶湖に限定せず県内全域リリース禁止なんてこともありうる。事実、佐賀県では「環境の保全と創造に関する条例」による規制で、一部エリアを除きリリースが禁止されることになった。滋賀県は琵琶湖リリース禁止条例の見なおしでバスアングラーに油断させておいて、同じことを狙ってないとも限らないから気を緩められない。

 琵琶湖リリース禁止訴訟は11月24日の二審大阪高裁判決で、条例に従う義務がないことの確認と損害賠償などを求めた原告が敗訴。その判決で裁判長は、琵琶湖で釣りをすることは法律上の権利、利益ではないと指摘した。あんたらは野良犬や野良猫が街に勝手に住み着いてるのと同じで、琵琶湖で釣りをする権利なんかないんだよと言われたわけだ。加藤誠司プロが訴訟の初期から指摘してきた通り、訴訟の性格上、リリース禁止が合憲であるか違憲であるかの結論は白か黒かしかない。法律に照らして白黒を付ける裁判とは、かように冷酷なものである。

 ならばもし仮に、何らかの法律に則ってバスフィッシングをしているのであれば、つまりライセンス料や入漁料などの支払いを定めた法律などの裏付けの元にバスフィッシングをしているのであれば話は違ってくるのか、その点はよく吟味する必要があるだろう。その意味で、琵琶湖リリース禁止訴訟二審判決は重要な示唆を含んでいる。おそらくこれからも環境破壊と環境保護が同時進行するであろう日本の国で釣りという遊びを安心して続けていくためには、法律に基づいた権利獲得が不可欠である。その点を審議委員の1人である加藤プロに問いかけたら、「そういうことも含めて、みんながちゃんとした大人になろうよということでしょ」との大人の答えが返ってきた。答申をめぐって紛糾し1時間半の延長審議となった12月2日の審議会が終わった直後の話である。

 例えば直近の話。滋賀県知事と県議会の選挙がらみで、ある新聞が「地方自治に民意は反映されているか」なんてタイトルのシリーズ記事を企画したとしよう。琵琶湖がリリース禁止になったときに万単位の署名やパブリックコメントが無視されたことに記者の1人が問題を感じて、バスアングラーや業者にインタビューしてみようかなどと考えたとする。そのときにどう答えるか。

 過去の批判をするのは誰にでもできる簡単なことだ。本当に先のことを考えるのであれば、選ばれた回答者はそのために有効な発言をしないといけない。「琵琶湖のリリース禁止で署名やパブコメが完全無視されたのは確かだけど、まったく何の役にも立ってないわけではない。条例に強い反対があったおかげで、政治家や行政は琵琶湖のレジャーの実状に少しは目を開いてくれるようになった。問題はこれが将来どう生かされるかだ。希少生物保護条例でも署名やパブリックコメントが再び無視されるなら、それは民意を聞く気がないことの決定的裏付けである」ぐらいのことを言っておけば、滋賀県全域リリース禁止の牽制に少しは有効かもしれない。

 これとて、新聞がバスアングラーの言うことをまともに聞いてくれて、それを嘘偽りのない記事にしてくれるという希有の可能性がなければ実現しない話ではあるが……。大勢のバスアングラーがそんなの夢みたいな話だと思ってた2スト船外機の使用禁止先延べが、滋賀県の条例見なおしで実現しそうな気配でもあることだし、自分達がやるべきことをやり続ければ世の中少しずつでもよくなっていく可能性があることを信じて、2006年はみんな大人になろうよ。

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