Presented by B.B.C./Biwako Bass Communications

Editorial
Vol.55(06/04/15)

禁止漁法の実態

 岩手県漁業取締事務所は昨年9月中旬に大船渡沖で開催されたさんりくビルフィッシュトーナメントの参加艇2隻に対し漁業規則に基づく警告を文書で発した。同トーナメントは93年から開催されている。同事務所は「当初から大会主催者や参加者に対し口頭で注意を繰り返してきたが、まったく改善されていない」と説明し、「大会が続くなら、今後はさらに踏み込んだ措置を取らざるを得ない」と強硬姿勢を示す。これに対してジャパンゲームフィッシュ協会(JGFA)は「警告までするようなケースではない」と困惑を隠さない。河北新報社Kolnet4月9日付記事より)

 漁業調整規則による遊漁者の引き縄釣り禁止については、すでに水産庁長官から見なおし指示が出されている。沖縄で全面開放、静岡と長崎は関係機関の承認を得て認可、高知と福島は大会開催の場合に限り認可する改正が行われ、現在東京都でも開放に向かう動きがあるが、それ以外の道府県では遅々として話し合いが進まない。否。こういう書き方は正確ではない。大半の道府県では担当部署が水産庁長官の指示に従って開放に向けた話し合いを進めようとする動きは見られないのが現状である。

 そんな状況の中で岩手県漁業取締事務所が警告を発したのは、これは長官指示に対するあからさまな反抗か、あるいは大型クルーザーに乗ってる人達が気にくわないゆえの嫌がらせか、もしかしたらお金の話に持ち込みたい人達からの依頼を受けたデモンストレーションか。いずれにしても、状況を把握してる者にとっては不可解な出来事である。水産庁に対しトローリング開放に向けた働きかけを続けてきたJGFAが「警告までするようなケースではない」と困惑するのは、そういう事情があるからだ。

 と、こんなことを書くと、「自分が漁業調整規則違反のトローリングで魚釣ってるくせに何言うとるねん。琵琶湖の漁業者の馬力規制違反をとやかく言えた口か」なんてことをすぐに言いたがる匿名諸氏がおられるかもしれないから、さらにご説明を……。

 場所を和歌山に移してみる。ここでも遊漁者の引き縄釣り禁止は同じであるらしい。らしいというのは、漁業調整規則に目を通してみても非漁民(これもまた差別的呼称として見なおし指示が出ている)は竿釣および手釣(まき餌釣を除く)、たも網および手網、投網(船を使用しないものに限る)、は具、歩行徒手採捕以外の漁具または漁法により水産動植物を採捕してはならないという規制はあるが、明瞭にトローリングを禁止する条項は見当たらないからである。しかしながら、県の指導やパンフレットなどを見る限り、トローリングは禁止漁法とされているから、ほかに決まりがあるのかもしれない。ここではそういうことにしておく。

 だったら岩手と同じように警告が発せられる可能性はあるのかどうか。まあ、専門家会合の結論を環境大臣が簡単にひっくり返したり、審議会の答申を滋賀県が無視したりするような非道なことがごく普通に起こる国のことだから、絶対にないとは言えない。しかしながら、7月にもなれば毎週のようにビルフィッシュトーナメントが開催され、その中には地元の町や漁協が後援団体になり、開会式で町長や組合長があいさつをするトーナメントもある。そんな和歌山で当該部署が警告を発したとすれば、それは町や組合、町長や組合長に恥をかかせる行為にほかならない。日本の権力行使システムの中で、そういうことが起こり得るかどうかの問題である。

 ビルフィッシュトーナメントの最中に串本大島沖を走っていると、決まって海上保安庁の巡視船が出てきて、近くで減速してしばらく観察し、何することもなくそのまま走り去って行く。去年の8月にトローリング中に土左衛門を見付けたときは、保安庁へ連絡後、現場確保しながら2時間待機させられて、こちらはトローリングタックルも何もかも出しっぱなしだったが、やって来た巡視艇の乗員は何も言わなかった。まあそんな感じだから、いまさらトローリングに対して警告を発するなんてことは起こり得ないのではなかろうか。

 それでも、もし警告されたらどうする。最悪の場合、現行犯で検挙されたらどうするか。水産庁長官の見なおし通達が出ているにもかかわらず行政の怠慢で改正が遅れている時代遅れの規則に違反したからといって、あえてそれをとがめ立てしようとするのであれば、よかろう、裁判でも何でも受けて立ってやるから、やれるもんならやってみな。魚を釣る方法としての思想も効率もまったく異なる引き縄釣りとトローリングを一緒にしてる矛盾、魚種と地域を問わず一律に禁止することの前時代的乱暴さ、漁場管理委員会の制度的欠陥などなど、すべて洗いざらい裁判でぶちまけてやるさ。

 現実的には裁判するぐらいなら科料を納めて前科者になった方が簡単で安くすむだろうが、トローリング開放のきっかけとして、やるだけの価値はあるかもしれない。少なくともリリース禁止裁判より実りが多いことは確実であろう。それもまあ、先立つものがあっての話なんだけどね。かわいそうなフリーライター兼遊漁船キャプテンにはとても無理な話です、はい。

 同じ漁業調整規則で問題になってるマキエサ釣り禁止についても、和歌山でグレ釣り大会を毎年開催していた某メーカーのスタッフが、遊漁船業法の施行をきっかけに、もしかしたらやばいんじゃないかと心配して県水産課に問い合わせたことがあった。そのメーカーは大会を中止することなく、今でも毎年開催している。水産課の担当者は「どうぞやってください」とは言わなかったらしいが、まあそれに近いことを匂わせる返事を得られたから中止しなかったとのこと。その後も問題は何も起こっていない。なのに、なぜ降って湧いたように岩手でトローリングが問題になったのか。まったく青天のへきれきとはこのことである。

 岩手の一件は、誰でも時速10kmやそこらは速度制限をオーバーしながら走ってるのを警察もそれぐらいまでは大目に見てる、そういう思いやりで法運用していかないとどうにもならない不完全な法治国家で、何をとち狂ったか時速1kmオーバーで捕まえてしまった、そんなような話だ。本当は警告はしたけどまだ捕まえてないけどね。だったら話は簡単。この後、何もしなければいいだけのことだ。

 これってバスアングラーの身近な所にもあるよね。まともな議論から逃げたまま決まりを作って、やるぞー!!って宣言したけど、後になってまずいことに気が付いたから、時速20kmオーバーぐらいは大目に見てる法律や条令が……。それを勘違いして、時速1kmでもオーバーしたら捕まえろ、決めたことは完璧に実行しろと声高に叫んでる人達がいるけど、叫べば叫ぶほど、声が大きくなればなるほど現実から乖離してることが自覚できてないとしたら悲しいことだし、もし自覚しながら叫んでるのだとしたら、これはもうトローリング禁止警告の裏で暗躍してるかもしれない人達と同質と言うしかない。あるいは無知や誤解、現実逃避の結果、そんな定向進化に陥ってるのだとしたら、もはや悲劇と言うしかない。

 ここからは当ホームページの話。Bassingかわら版の最初のページで連載記事の紹介がズラリと並んでいたコーナーを先週からWeekly Access Best 10に変更した。理由は、毎日のように更新されてる連載と忘れた頃にしか更新されない連載が入り乱れてるのは見た目がよくないし、読者にとってもわかりにくいのではないかと思ったからで、それ以上の他意はない。ページのデザイン的には大してかわってないので、この文章を読んで初めて気付かれた方が多いかもしれない。ページの構成から考えて、タイトルからWhat's New?あたりまでをチェックして更新されたページをごらんになってる方が多いはずだから、そこから下の部分は多少遊んでもよかろう、4月になったことでもあるし少し気分をかえてみようかと、まあそんなところなんだけど、誰も気付いてなくて気分もかわってなかったとしたら……。読者の反応から察すると、どうもそうらしいんだよね。これって、ページの下3分の2は不要だってことか!!

 先週のベスト10首位は店長つり日記。以下、琵琶湖の湖底から、B.B.C.ホット情報、杉戸繁伸の琵琶湖ガイド情報、ケンタのブログのようなもの、下野正希プロ私設応援団、琵琶湖の畔から、Bassingかわら版Editorial、南島見釣録、つれづれなるままにの順であった。それ以前のデータを見てみると、店長つり日記と琵琶湖の湖底からは不動の1位と2位をキープ。B.B.C.ホット情報は内容と更新頻度次第で順位の変動が激しい。気まぐれですみません。琵琶湖ガイド情報は常に3位から4位に着けている。それを急追しているのが新連載ケンタのブログのようなもの。下野プロ私設応援団と琵琶湖の畔からも変動が激しいが、更新日のアクセス数は上位陣に負けていないから、B.B.C.ホット情報が落っこちてきて入れかわる可能性を常に秘めている。

 意外なのは、ダントツ首位と思われていた琵琶湖の湖底からが店長つり日記に負けているだけでなく、1日のアクセス数で杉戸プロや関根プロ、小田一朗さんのページに及ばない日がしょっちゅうあることだろうか。ダントツ首位と思われていたというのは、多くの読者から聞いた話である。まあ普通に考えて、琵琶湖の湖底からに掲載してるような情報よりも楽しい釣りの話題の方が歓迎されるというのは、いたってあたりまえのことなんだけどね。これって、楽しいバスフィッシングのホームページを目指しながらも、ここ数年の社会情勢から心ならずもくそ面白くもない情報を掲載してるけど、決してそれを目的にしてるのではなく、ほかにネタがないわけでもないBassingかわら版にとっては非常に喜ばしいことだよね。

 琵琶湖の湖底からに掲載してる情報でアクセスが多いのは、琵琶湖のリリース禁止や外来魚駆除に直結した情報。それ以上に人気があってアクセスが跳ね上がるのは、直近の例で言うと4月14日のアリゲーターガー、しばらく前なら昨年9月のピラニアのような話題だ。皆さん好きですねえというのが正直な感想である。こういう情報がアップされた日は店長つり日記に負けないぐらいのアクセスがあるが、普段はそれほどでもない。琵琶湖の湖底からは一部の人達が思い込んでるほどアクセスを集めてるわけでも、影響力があるわけでもないのだ。さらに付け加えるなら、Bassingかわら版Editorialへのアクセスはそれよりもさらに少ない。だから、そんなページの影響力を過大評価してどうこう言うのは無駄で愚かな行為でしなかい。えっ!? そんなページをやってる方こそ愚かだって!? だったらやめようか? それで一番寂しい思いをするのは誰だろうね。

 琵琶湖の湖底からの更新を停止するというエープリルフールのジョークが受けたという話を前回書いたが、本当に更新をやめたらどうなるか。多くのバスアングラーは何も困ることなく、普段通りバスフィッシングを続けるだろう。バスフィッシングを取り巻く問題に関係が深いバスアングラーも彼らなりのしっかりとした情報網を持ってるから大した影響はない。釣り業界の人達は、仕事の場が琵琶湖に近ければ近いほど影響があるかもしれないけど、それも情報が少し遅れるぐらいのことで、今や大事な情報を必要な所に伝えるネットワークはできあがっているから困るようなことはない。ネットワークから外れた所にいる人達は困るかもしれないけど、大部分は困ってるという自覚もないはず。本当に大きな影響を受けるとしたら、受け売りで知ったかぶりしないといけない立場にいるにもかかわらず自力では情報収集できない人達だろうか。さらに壊滅的影響を受ける人達がいるんだけど、それはいったい誰だろうね。

■今週の湖底から
センサー付き人工産卵床を商品化
(06/04/11)NPO法人と県水産研究開発センターと土木建築資材販売業者はどういう関係?
外来魚防除モデル事業検討会(06/04/11)釣り関係にはお呼びがかかってないらしい。環境省はもはや釣り人の協力をあきらめたか。自分から茨の道を選んでどうする。
琵琶湖の外来魚防除検討会(06/04/12)「琵琶湖への外来魚の供給源とされる内湖」って、ほんまかいな。人工産卵床を約100カ所に設置するというのは、上記センサー付き人工漁礁の記事で琵琶湖の駆除活動に100基使用される予定となってるのと符合する。つまりこの会合も先に結論ありきのできレースってことか。ここでもバスの駆除技術がだけが先行しがちなのは、もはや構造的問題か。同じ会合の目的についてびわ湖放送と京都新聞の書き方が微妙に違ってるのが面白いね。
諏訪湖のワカサギ禁漁繰り上げ解除(06/04/12)禁漁の繰り上げ解除を漁協が決めたという事実が日本の内水面事情を端的に表してる。
キンケイギク追加指定に苦慮(06/04/13)ブルーギルの拡散はバスアングラーと釣り業界のせいにできたけど、これは誰のせいにもできないよね。
ニゴロブナ復活の兆し(06/04/13)産卵期1回だけでいいから、獲るのをやめてみたら? 今すぐ南湖の湖岸沿いをボートで回ってみたら、何を言いたいのかよくわかるよ。
瀬田川に洪水注意報(06/04/14)この4月の雨の降り方はちょっと異常で、国土交通省近畿地方整備局琵琶湖河川事務所の水位調整計画を吹き飛ばしそうな勢い。
片野鴨池で外来魚駆除スタート(06/04/14)日本野鳥の会に駆除を委託したのは、随意契約か指定入札か一般入札か。
西ノ湖でアリゲーターガー捕獲(06/04/14)アリゲーターガーは9年ぶりだけど、05年だけでも11月にスポッテドガー、9月にピラニア、8月にはプレコの一種が捕獲されてる。スポッテドガーは01年と94年にも捕獲されてる。琵琶湖はペットのイヌを捨てやすい公園、ネコを捨てやすい漁港をみたいなものか。環境省と滋賀県は茨のジャングルをどうやって切り開くつもりなんだろうね。
琵琶湖の中古艇事情(06/04/15)条例見なおしが終わった後で恥ずかしげもなくこんな手遅れ記事を載せるのは、さすが朝日だけのことはある。「業界には早くから周知徹底していた。琵琶湖で使用しなければ問題はない」といういなおりは、さすが滋賀県だけのことはある。西の横綱と東の横綱ががっぷり四つに組んだら、こんな記事ができ上がるという興味深い見本。どちらも構造的問題が深刻なようで。

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