Presented by B.B.C./Biwako Bass Communications

Editorial
Vol.57(06/04/22)

滋賀県知事選の行方

 6月15日に告示される滋賀県知事選挙まで2カ月を切った。4月18日には大学教授の嘉田由紀子氏が正式に立候補を表明。すでに立候補を表明している現知事と県労働組合総連合議長の3人が選挙戦を闘うことになった。

 嘉田氏は埼玉県本庄市生まれ。琵琶湖研究所の元職員で、京都精華大環境社会学科教授、琵琶湖博物館研究顧問、淀川水系流域委員会委員、子どもと川とまちのフォーラム代表。今回の立候補表明にともない京都精華大教授、淀川水系流域委員会委員、琵琶湖博物館顧問を辞任した。選挙の争点として琵琶湖の環境と新幹線新駅をあげ、「いまの琵琶湖は病んでいる。生態系を守る施策が必要だ」と述べている(4月15日付asahi.com滋賀)。また、3月以降、自分の考え方をまとめた「滋賀県の未来を可能にするために」と題するリポートを県選出の国会議員や県議らに配布(14日付京都新聞電子版。現知事の政策を「イベント、スローガン県政」などと批判している。現知事は19日の定例会見で嘉田氏の立候補について、「信頼し活躍していただいてきた。ぜひ嘉田さんの環境を中心とする専門的な知識、経験をアドバイスいただきたいと思ってきただけに、率直に、ちょっと驚くとともに、残念な思いがある」と述べたそうだ(19日付京都新聞電子版

 一時は無風かなんて言われていた現知事の3期目に向けた選挙が、なんだか面白いことになってきたね。現知事は環境派の仮面を被ったバリバリの元官僚。それに対して嘉田氏は、言わばこの道の専門家。専門家にもいろんな立場があるけど、まあざっくりと分類すればそういうことだ。その専門家が、淀川水系流域委員会委員や県立琵琶湖博物館研究顧問を辞任して知事選に立候補するとは、これってクーデターみたいなものじゃないのか。琵琶湖だけじゃなくダム建設や新幹線新駅建設などなど、仮面の綻びを隠せなくなりつつある現知事への不信がこの一件に現れてると言えないだろうか。

 だとしたら、バスアングラーにとってはうれしいことと喜んではいられない。選挙になれば単純に三者択一を迫られるわけだから、どの候補者が一番ましか、バスアングラーの言うことを少しでも理解してくれるかという話になる。もちろんこれは、ほかの要素を除外すればという仮想実験的なことを書いてるわけだから、バスフィッシング以外のことはどうでもいいのかなどという低次元な突っ込みはやめていただきたい。

 ここでにわかにクローズアップされるのが、先に書いた「専門家にもいろんな立場がある」という点だ。リリース禁止にもいろいろあるのと同じで、環境派およびその専門家を一律に評価することはできない。原理主義者から妄信的リリース禁止&駆除主義者、全内漁、現知事、プロ市民、はては一部バスアングラーまで、環境のことを大切に思ってる人達として括ろうと思えば括れなくはないからね。本当に心から環境のことを考えて行動してる人達にとっては、そんな括り型は迷惑千万だろうが、その「本当」とか「心から」というのをどうやって見分けるのか。もしその見分けが可能だとして、そこから先のどこで一線を引くのか。世の中の正義や正しいとされることが時代や立場による相対基準でしかないのと同様、その一線の起点と終点、途中の曲がりくねり方は人やグループそれぞれであろう。

 釣りバリから逃れようとするゴカイやミミズのごとく、起点も終点もどこにあるかさっぱりわからない一線が激しくうごめいているような例もある。こんなのはその時、その場のご都合次第で右に左に立場をかえるコウモリ君でしかない。そのあげく、よくご理解いただいていたはずの腹心と思ってた人物に対立候補として名乗りを上げられてしまった。この事態をバスアングラーとしてはどう理解したものか。

 病んでいる琵琶湖の生態系を守る施策が必要とする嘉田氏の発言が、リリース禁止と駆除政策の強化を含むとすれば、もはや現知事を落とすためなら誰でもよいというわけにはいかない。もう1人の候補者も含めて、誰がよりベターかを真剣に考える必要があるだろう。いくら頻繁に琵琶湖へ釣りに通っていたとしても県外者には1票を投ずる権利はないので、滋賀県在住のバスアングラーの皆さんには、その点をくれぐれもよろしくお願いしたい。

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