Presented by B.B.C./Biwako Bass Communications

Editorial
Vol.66(07/07/02)

頭の体操みたいな話

 しばらくカジキ釣りが続いて頭がボケボケになりかけてるので、軽く頭の体操をしてみたい。

 「国の天然記念物のイタセンパラの稚魚が2年連続で確認されないなど、環境が悪化している淀川のワンドについて、国土交通省淀川河川事務所が、今後10年で現在の46カ所から約90カ所に倍増する方針を決めた」「今年度は城北ワンド群に近い大阪市旭区と大阪府枚方市内の淀川沿いに約2億円をかけて4カ所のワンドを整備。さらに平成28年度までに45カ所程度を造る予定で、全体の事業規模は数十億円になるという」(6月19日付Sankei WEBから引用)

 ワンドというのは、かつて淀川を船が往き来していた時代に流勢をコントロールするために作られた突堤状の石積み構造物のまわりに土砂が堆積してできた池のこと。一部が本流とつながっていたり、湧き水の往き来があったりして水質がよく、魚が豊富で、タナゴの一種で希少種のイタセンパラの国内最大の生息地であった。そのワンドが河川整備でどんどんつぶされ、イタセンパラも少なくなって、人工ワンドが作られたりしたが、それでも保護することができず、大々的にワンドを復活する計画を国交省淀川河川事務所がぶち上げたという話。

 これとよく似た話がしばらく前にあったよね。滋賀県の琵琶湖南湖に浚渫でできた穴を埋め戻そうという話(Editorial Vol.65)。どちらも億単位の税金を使って、淀川では人工的に作られた環境を人の手でかえたら魚が少なくなったから、それをまた人の手で元に戻すという。琵琶湖では人がいろんな目的で南湖の底に穴を掘ったのがよくないから、埋め戻すという。自然に人の手を加えて、片方は一段階前の人工状態に戻し、片方は元の自然状態に戻す。まあ、できるかどうかはわからないんだけどね。特に琵琶湖の方は、完全に元に戻そうと思ったらいったいどれぐらいの税金を注ぎ込まないといけないことか……。

 ハリヨというトゲウオの仲間の希少種がいる。湧き水が流れる清流にしか住まず、山間部の水田地帯に細々と生息していたのが、環境の変化で少なくなった。そこで保護地域を指定し、生息に適した環境を維持する努力をしたり、ビオトープを作ったりして、各地で手厚く保護されている。そこで思うのだが、人が介入する以前の谷でハリヨはどんな生活をしていたのだろうか。淀川のイタセンパラは、ワンドができる前はどこに住んでいたのだろうか。そこに人の手が加わることによって彼らの生活がかわり、そこにまた人の手が加わったことで数が減ったはずなのだが、その間のどの段階が彼らと人の双方にとって最も幸せなのかという話は聞いたことがない。

 淀川と琵琶湖に共通しているのは、環境回復を名目に億単位の莫大な税金を使う公共事業を始めようとしている点。日本の優秀な官僚は、さすがに考えることが違うね。偉いっ!!

 ところで、琵琶湖南湖でまだ浚渫をやってるのは、ボートで釣りに出てるバスアングラーならよくご存じのはず。税金使って埋め戻すはずの穴をまだ掘ってるって、いったい何やってんだか。カジキ釣りで頭ボケボケのキャプテン服部でも、それぐらいは気が付いてるんだけど、日本の優秀な官僚は気付いてませんか?

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