格言、名言、箴言のインデックスへ

■05/12/03

映像系エンジニアでアナリストの小寺信良さんのコラムは、Bassingかわら版で何度か紹介したことがある。オタクの存在感が世の移りかわりとともに希薄になり、いまやキモオタに取ってかわられたことを解説したIT media11月14日付アンカーディスクのコラム「キモオタの発祥に見るコンテンツ社会の臨界点」は、ものの見方があいかわらず鋭い!!「例えば社員が20〜30人ぐらいの企業があったとする。そこには社長以下専務、部長、課長、係長、主任といった役職があることだろう。例え平社員と社長の席が物理的に5メートルしか離れてなくても、いきなり平社員が社長に直談判しにいったら、『お前バカか?』ということになる。意見を通すには、それなりの筋道を通ってウエに上げていかなければならないというのが、社会の決まりなのである。(改行)だがインターネットでは、相手の情報を捕捉できる限り、誰にでもいきなりダイレクトに意見を投げることができる。その利便性がプラスに機能しているうちは有効なツールなのだが、『公』に対して『私』のままで投げつけたり、実像に対して虚像で投げつけたりすると、マイナスとなる。(改行)直にアクセスできる手段があるからといって、それを実際にやってしまうのと、オフィシャルな連絡手段を介してアポイントを取って接近していくのとでは、その行動の社会性は大きく違うのである」

■05/09/30

アーネスト・ヘミングウエイの没後に遺稿をまとめて刊行された「海流のなかの島々(新潮文庫)」の上巻第1章ビミニ。主人公トマス・ハドソンの次男デイヴィッドが1000ポンドオーバーのメカジキと6時間以上ファイトし、ランディング寸前にリーダー切れでバラした後の感想。「奴を釣り落としたことなんて屁とも思っちゃいない。今の僕は、記録なんてどうでもいいんだ。記録がどうこうなんて、前にそう思い込んでいただけ。今は奴も大丈夫で僕も大丈夫なことが嬉しい。敵じゃないんだから、僕たち」ヘミングウエイがこの台詞に込めたリアリズムを理解できるアングラーが日本にどれぐらいいるだろうか。そんなレベルからはるか遠い所にいる人達が、他人がリリースするのしないのと頭の中だけで考えた理屈をこね回したあげく、それを他人に押し付けようとしてるのって、まったくもって滑稽でしかない。

■05/08/30

ここ数カ月、ほぼ月二ペースで映画を観に行ってるので、映画ネタが続く。「君は現場を知らない」というのは、躍る大捜査線シリーズの枝分かれ作品「容疑者室井慎次」の中で柳葉敏郎演ずる室井慎次が自分を訴えた相手側の弁護士、灰島秀樹に対して投げかけた言葉。灰島弁護士は東大3年で司法試験に合格。警察の不正を暴くという大義名分をかざして室井を徹底的に追い詰めるが、実は訴訟パラノイアと言われる存在で……あとは映画をごらんいただきたいのだが、ここまで書いたら、なぜこの言葉を格言、名言、箴言で取り上げたかわかるよね。生物多様性パラノイアと駆除パラノイアの皆さんへ。君は現場を知らない!!

■05/07/29

スターウオーズ・エピソードIIIのワンシーン。パルパティーン議長に最高特権を与えることを認めた元老院議会でパドメ・アミダラがつぶやくセリフ。原語は「This is how liberty dies. With thunderous applause.」で、プロの翻訳者に失礼を顧みず意味を汲み取りやすいように訳すなら、「自由はこうやって死んでいくんだわ。万雷の拍手喝采とともにね」という感じか……。グアムのシネマコンプレックスで観たときから気になってて、日本公開を待って早くアップしたかったんだけど、英語版を観ただけでは自信がなかったので、日本語字幕版で確認するまでお待ちいただいた次第。同じ映画でアナキン・スカイウオーカーには「If you're not with me, then you're my enemy.(俺と一緒でなければ、おまえは敵だ)」という台詞がある。これらはテロとの戦いを訴えるブッシュ大統領を皮肉っているとも言われる。それに対してジョージ・ルーカス監督は、筋書きは30年前に作ったものであり類似点は単なる偶然に過ぎないとして、カンヌ映画祭の記者会見で「民主主義が独裁制になるとき、いつも同じようなパターンをたどるってことに気付いたんだ。外部からの脅威があり、より強い統率力が必要になる。不正がはびこり、議会が正常に機能しない、などね」と語っている。

■05/07/05

生物の体の大きい小さいで生理や体の構造、運動の法則などがどのように変化するかを考察した中公新書の一節。「食べる量は体重の4分の3乗に比例する」も同義。つまり、体重が増えるのに比例してたくさん食べるわけではなく、例えば体重500gのバスと50gのブルーギルをくらべると、体重差は10倍だがバスはギルの約5.6倍のエサしか食べない。5kgのバスと50gのギルなら、バスはギルの約32倍のエサしか食べない。バスとギルが在来魚に与える影響を評価するときには、こういうことも当然考慮しないといけない。専門家なら知っててあたりまえの基本中の基本。知ってて知らないふりしてる人も大勢いるけどね。

■05/05/21

日本推理作家協会賞受賞の長編小説のラストシーン。主人公のアフリカ民俗学者、大生部多一郎と妻のやり取り。「ね。愛してる?」と問いかける妻に、「うむ、……愛しとるよ」「ほんとに?」「学者は、嘘はつかん。よく過ちをおかすだけだ」と答える大生部。このネタを教えてくれたのはFB's代表の福原毅さんで、場所は水口憲哉東京海洋大学名誉教授がバス駆除派をメッタ切りにしたBasSymposium会場。同じ言葉が「学者は嘘はつかない。たまに過ちをおかすだけだ」などのように微妙に形をかえて何回か出てくる。ということは、作者に強いこだわりがあったのかも。05年5月19日に開催された奈良県内水面漁業協同組合の第2回シンポジウムをきっかけに、この言葉を引用するにあたって、文庫本3冊、合計900ページに及ぶ小説を和歌山県新宮市のブックマーケットで買ってきて読破。都合600円の出費と約10時間を要した。他人の言葉をBBSに簡単に引用してる人達も、最低限これぐらいの努力はしてほしいね。

■05/04/08

世界中のありとあらゆるものを食べ歩いたノンフィクション「もの食う人びと(角川文庫)」の中で、元共同通信の著者、辺見庸はしばしば戦争や貧困について語る。「政治が『敵』と『味方』をこしらえる」というのは、クロアチアの紛争について語った言葉だが、万事象に通じるように思える。

■05/01/27

WBSホームページの名物コラム、吉田幸二さんの霞オヤジの罵州雑言その258に出てきた言葉。とにかく今すぐにでも罵州雑言を読んでみてほしい。Bassingかわら版の賢明な読者諸兄には、それ以上の説明は必要ないはず。バスフィッシングを守るための闘いの合い言葉として、これから当分の間、この言葉をかわら版のトップページに掲げておくことにする。

■05/01/20

バビロンプロジェクトが進行中の東京湾に突如出現した怪物、廃棄物13号の育ての親である東都生物研究所の栗栖博士が、対策を検討中の東京湾怪生物対策本部に駆け付けていきなり口にしたセリフ。正確には「いやはやどうも…学者が3人集まるとなにも決まらないというのは本当ですな」(コミック第8巻184ページ)。Bassingかわら版をごらんのバスアングラーの皆さんには、これ以上の説明は不要だよね。機動警察パトレイバーは和歌山県新宮市のブックマーケットでコミック全巻22冊セットを1760円で売ってたのを買って、1月20日にたまたま第8巻を読んでたら、このセリフが出てきた。なんというタイミングのよさ……。それにしてもコミック1冊80円は安い!! 清水國明さんがコマーシャルに出てるブックオフでなかったのは残念だけど……。

格言、名言、箴言のインデックスへ