Presented by B.B.C./Biwako Bass Communications

00/09/27

B.B.C.服部がザ・ヒットを
辞めた本当の理由

 B.B.C.服部は9月27日の放送分を最後に、SUN TVのゲームフィッシング専門番組、ザ・ヒットの解説を降りました。すでに服部が出演した最後の番組が放送された後なので、このことをご存じの方も少なくないと思います。

 番組の中では、今回が最後になるというごあいさつをしただけで、辞める理由については触れませんでした。これからしばらくの間、「5年も続けた解説をなんで辞めたんだ」という質問が続くと思います。どうせ聞かれるなら、というわけではありませんが、Bassingかわら版をごらんの皆さんにだけは、番組で言えなかった辞める理由についてお話ししておきたいと思います。

 ザ・ヒットが始まったのは今から5年前の95年秋のことです。ちょうどバスフィッシングがブームのまっただ中にあった頃のことで、そんなときにゲームフィッシング専門番組の解説をするにあたって何を考えたかというと、たくさんの人達がバスフィッシングという遊びを今まさに始めようとしてるわけで、そんな人達にこの遊びの本当の面白さを知ってもらうのが自分の仕事だと思いました。

 B.B.C.服部は釣りが仕事なんですけど、バスプロなどの有名アングラーのように自分が釣りをしてる姿をメディアに出すことで直接あるいは間接的に収入を得ているわけではありません。そのあたりこのことを今でもぜんぜんわかってないというか、説明しても理解できない業界人がいまだに少なくないんですけど、本来の仕事はいろんなメディアの企画を考えたり、製作をしたり、文章を書いたり写真を撮ったりすることです。その中でも、今までなかったような企画やアイデアを基にしたメディアを立ち上げるのを最も得意としています。その好例がこのBassingかわら版だと言えば、ある程度はご理解いただけるんじゃないでしょうか。なにしろ、こんな内容の釣り関係のホームページって、ちょっとほかにはありませんからね。

 そういった仕事の中で、5年から10年ぐらいの単位で大きな目標を持つというか、自分が何をしたいのかということをできるだけ意識しながらやってきました。バスフィッシングがブームになる前は、この釣りの面白さをいろんな形でメディアに表現して、少しでも多くの人達に知ってもらうことが目標だったように思います。その目標がブームになった頃から次第に方向がかわって、新しくバスフィッシングを始めた人達にこの遊びの面白さを伝えることがメインになっていきました。このような方向性と、ザ・ヒットでの役割が合致したことから、解説の仕事を引き受けることになったわけです。

 5年から10年ぐらいの単位で目標がかわるというのは、同じことを長い間続けてられない性格なんですよね。ザ・ヒットの解説って、この先何年やっても、もう何もかわらないと思います。出てる人やテクニックやルアーがかわるだけです。それをわかりやすく伝えることも仕事といえば仕事なんですけど、こういう毎回かわり映えしないことを続けるのって、自分がやりたい仕事じゃないと思うんですよね。ザ・ヒットがこの先何年続いても、もう何も起こらないと思います。そういう仕事を続けるよりは、何か別のことを始める方が面白いはずです。新しい仕事をするためには、今までの仕事のしがらみをとりあえず断ち切ってしまわないと何も始まらないんじゃないか、というのがザ・ヒットを辞めようと思った理由その1。ポジティブな理由です。

 次にネガティブな理由。番組の中では言いたくても言えなかった理由ですね。

 ザ・ヒットの解説を始めることになったときに、次のようなことがあったらすぐに辞めようと思ってました。

●番組が放送されてることが明らかな悪影響をもたらす

 これは例えば、釣り場のゴミが増えるとかいうようなことですね。番組でどこかの釣り場が紹介されれば、そこへ行く人が増えてゴミも増えるのはあり得る話で、実際にも起こってることなんですけど、それを何とも思わず、何の手も打とうとしないようなら、そういう仕事に自分は組しないということです。ゴミの問題だけでなく、ほかにも番組の影響というのはいろんな形で現れてきますから、それを注意深く観察して、問題があれば指摘し、それが正されないようならいつでもすぐに辞めようと最初から思ってました。

●本当の釣り人ではない単なるタレントを釣り名人に押し上げるような役割をさせられる

 よくある釣り番組で、どう見てもへたくそなタレントがテレビの仕事で釣りをしてるだけなのに、わかった風な顔で釣りの面白さを語ったりしてることがありますよね。こういうのって嘘っぱちですから、その片棒を担がされるような仕事は絶対にしたくありません。へたくそでも本当に釣りが好きで、それがたまたま仕事になってるんだったらかまわないと思います。だけど、そういう人なら釣り名人のふりはしないはずです。ところがそうじゃなくて、メディアに出てるというだけで自分が釣り名人だと勘違いしてる人がけっこういます。そういう人も含めて、単なるタレントと本当のアングラーを一緒くたにする仕事はしないということです。

●テレビ番組という事業として必要な範囲を超えた利権が発生する

 特定の組織や人物が番組の内容に過剰な影響力を行使するようになったり、そこまではっきりとした動きはなくても企画や製作の段階で作る側がそのような影響力を意識しながらでないと何もできなくなったり、そういうことがメディアにはしばしば起こりがちです。ここでに注意しないといけないのは、SUN TVのようなテレビ局はスポンサーが出すお金で経営が成り立ってるということです。そのスポンサーや広告代理店がいろんなことを考え、さらにそれをバックにしたアングラーがからんでくると、様々な利権が発生します。例えば誰かがウンと言わないと誰かを番組に出すことはできないとか、はっきりとそこまではいかなくても、どこかの釣り場へ取材に行こうと思ったときに自動的に誰かと誰かしかアングラーの候補が出てこないというようなことですね。もっと漠然とした自主規制のようなことがたくさんできてきたりもします。そういうのが必要以上に多くなってきたら、面白い番組は絶対にできません。そうなったら、もはやB.B.C.服部の仕事じゃありません。さっさと辞めるだけです。

 以上のようなことを考えたときに重要なのは、自分が番組の中にいることで、マイナスの要素を少しでもプラスの方向にかえることができているかどうかです。例えばゴミの問題を例にあげると、番組で紹介された釣り場でゴミが増えないような何らかの有効な働きかけを番組の内外で自分ができてるかどうかが問題なわけです。B.B.C.服部が出演しなくてもザ・ヒットはなくならないわけで、そういう番組に自分が出てることで、ゴミばかりのひどい釣り場になるのを少しでも防げてるんだったら、それは自分がしないといけない仕事だと思います。そうじゃなくて、ただ番組の流れにまかせるだけで自分は何もできないんだったら、もはや自分は解説者としてその場所にいるべきではないと思います。

 このような様々なの要素を全体としてとらえた上で、番組をごらんいただいてるアングラーの皆さんにどれだけプラスになってるか、社会貢献ができてるかということが最終的に問題になってきます。それがマイナスで世の中の役に立ってないか、あるいは世の中に害毒を流し続けてるだけだったら自分はすぐに辞めるべきだし、プラスマイナスとんとんで誰かほかの人がやっててもかわらないんだったら、自分は別のことを始めた方が自分の仕事全体としてはプラスになる可能性がはるかに大きいはずです。

 解説者を辞めた時点でのバランスは、まあプラスマイナスとんとんか、ややマイナスぐらいのところでしょうか。番組が5年も続くと、最初の頃とはスポンサーや出演者やそのほかいろんな力関係が変化してきて、話が違うじゃないかというようなことがだんだんと増えてきます。その点は、これから先もかわりそうにありませんし、可能性としては、さらにマイナスの要素が増えてくることも、かなりの確率でありそうです。それだったら、このまま惰性で続けるんじゃなくて、きっぱりと辞めちゃった方が自分のためでもあるし、最終的にまわりまわって皆さんのためにもなるんじゃないかと思ったわけです。

 ここまでお話ししたところで、「それなら、これから何をやりたいんだ」と言われてもちょっと困るんですけどね。まあ、とりあえず番組は辞めちゃったわけですから、スポンサーのことを考える必要はなくなりました。やりたいことのアイデアはいっぱいあるんですけど、さーて、これから誰と組んで仕事しようかな。来年のフィッシングショーの頃までに、B.B.C.服部がザ・ヒットを辞めたのはこういうことがしたかったからなんだ、と思っていただけるようなことになってたらいいですね。そのあたりを目標にがんばりたいと思います。

 最後に、ザ・ヒットを応援していただき、さらにBassingかわら版をごらんいただいてる皆さん、5年間どうもありがとうございました。これからはBassingかわら版だけになりますが、どうかよろしくお願いします。

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