Presented by B.B.C./Biwako Bass Communications

05/03/24

外来生物法施行規則の
さらなる問題点

 琵琶湖には滋賀県が設置した外来魚駆除イケスがあちこちにあります。これって、バスを対象に含めた特定外来生物被害防止法が施行されたら、バスアングラーが所有権を放棄してイケスに入れたバスは、すなわち滋賀県が管理責任を負う滋賀県の所有物なわけですから、特定外来生物をイケスで飼った滋賀県と県知事は犯罪者ですね。犯罪者になりたくなかったら、滋賀県はイケス一つ一つに対して法施行後1年以内に許可を取らないといけません。だけど、いつ誰が何尾放り込むかわからない外来魚を飼う許可なんて、いったいどうやって取るんでしょうか。それができなかったら、すべてのイケスを撤去しないといけないことになります。

 駆除イケスが琵琶湖のあちこちにあるとは言っても、すべての釣り場に便利よく設置されてるわけではありません。イケスの設置にあたって、バスアングラーの利便なんかほとんど考えられてないのは、すでに多くの指摘がある通りです。それでも滋賀県の外来魚駆除政策に協力したいと心から思ってるごく一部の人達のうち、自分の手では殺したくない人は、バスやブルーギルをバケツやビニール袋に生かしてイケスのある所まで運んでます。外来魚をバケツやビニール袋で運んでるのが駆除イケスへ入れるためか、どこかへ移動するためかなんて誰に区別できるでしょうか。外来生物法が施行されたら、犯罪になる恐れ大です。

 これらの問題をすっきりさせる方法として、外来魚を一時的に飼うためのイケスを使う駆除モデルを新法下の防除事業として認可を受けることが考えられます。おそらく1年以内にそうすることになるんでしょうけど、それでもやはり大きな問題が残ります。個々のバスアングラーがバスを生きたまま運ぶのをどう扱うかは、規定では処理しきれないんじゃないでしょうか。それと、琵琶湖の各マリーナやレンタルボート店などにあるイケスについてはどうするんでしょうか。滋賀県はリリース禁止条例を無理矢理施行したときに、それらのイケスに運び込んだバスをどうすればよいかとの問い合わせに対して、各自の責任で始末してほしいと回答してます。つまり、そういうイケスがあることを認知してるわけです。外来生物法が施行されたら、そのイケスにいるバスやギルはどうしたらいいか、もう一度、滋賀県に聞いてみないといけませんね。

 バストーナメントのうち、ボートを使う場合はバスをライブウエルで移動しても同じ水域内だからオーケーということになりそうなんですけど、岸釣りトーナメントでバスを生かしたまま運んで来たら、上と同じ理由で犯罪になります。一つの大きな水域でやる岸釣りトーナメントならまだ逃れようもあるんでしょうけど、野池や川など複数の水域を含んだエリア設定の岸釣りトーナメントでバスを生かしたまま持ち運ぶと、これは今のままの外来生物法の規定だと間違いなく犯罪になってしまいます。検量が終わってから元の川や池にリリースするかどうかなんて、バスを運んでる段階で誰も証明なんかできませんからね。ウエイイン会場近くで検問でもやられたら、軒並み現行犯逮捕です。

 WBSホームページの人気コラム罵州雑言で吉田幸二さんが指摘してる通り、日本では淡水魚を食べる前に泥抜きや臭い抜きの目的で一時的にきれいな水で飼うことがよくあるんですけど、これも許可を取っておかないと犯罪になります。料理屋さんが生業維持のために飼うんだったら許可を取るぐらいの手間暇は仕方ないかもしれないんですけど、バスやギル、チャネルキャットフィッシュを釣った人が生かしたまま家へ持って帰って泥抜きしてから食べるのに、いちいち許可を取る人なんていませんよね。

 加藤誠司プロが指摘してる通り、外来生物法とその施行規則には、これ以外にも多くの問題点があります。その多くは、釣りの対象や観光資源、食材として現に利用されてる淡水魚を法の対象として規制するには、あまりにも不備が多過ぎることが原因です。専門家による会合の結論を環境大臣が独断でひっくり返して以降、特定外来生物選定に関するパブリックコメントを募集した以外に何の議論も意見聴取も行わないまま、今の段階で施行規則案が出てきて、それに対するパブリックコメントの募集が現在行われてます。これっていったいどういうことでしょうか。もしかしたらバスアングラーと釣り業界を罠にはめようとしてるのかもしれません。

 官僚の立場からすれば、環境大臣の責任で今のようなことになってるわけですから、後は野となれ山となれ。湖や池がただの水溜まりになろうと、川が単なる排水路になろうと、これはもう自分達の責任ではありません。環境大臣の現在の姿勢は、バスとバスアングラーが嫌いな人達だけが集まったフォーラムにノコノコと出て行ったことではっきりしてますしね。だったら手っ取り早く強引に結論に持って行っちゃえばいいじゃんということで、パブコメで寄せられた問題点をうまく押さえ込めるように、先に施行規則案を作って発表してしまい、そのパブコメ募集が終わってから、しらじらしく特定外来生物選定パブコメの結果を発表、施行規則のパブコメの結果が出た段階で閣議決定、法施行というロードマップで事を進めようとしてるのかもしれません。話し合いはすべての段取りが終わった後で、形だけ行えばそれでよいということですね。

 これが本当かどうかはわからないんですけど、施行規則案が出てきてパブコメ募集が行われたタイミングとその内容、その間、バスアングラーや釣り業界との話し合いが行われてないことを考えると、実際にそうは考えてなかったとしても、結果的にそうなってしまってます。つまり、バスアングラーの訴えを無視する方向に事が進んでる確率が高いということですね。

 それと、もう一つの問題。施行規則案は環境大臣と農林水産大臣の連名で出されてきてます。このことは加藤プロの指摘にあった防除を実施する際の問題点に強い関連があります。施行規則案では、当該大臣が都道府県に防除の公示案を送り、それに対して都道府県が意見を提出すると規定してるだけで、利用者や地元から意見聴取をするかどうかは明示されてません。ここで「環境大臣」ではなく「当該大臣」となってることに注目する必要があります。農林水産省が全国内水面漁業協同組合連合会と組んで外来魚の駆除とリリース禁止を全国に押し拡げようとするときに、農林水産大臣が都道府県に防除の公示案を送るだけで、バスフィッシングの地元やバスアングラーの意見なんか聞くことなく、何でもできるようなことになってしまうかもしれないということです。しかも、そのときに環境省や環境大臣は手を汚さなくてもすむという、よくできた規定になってます。これは、恐れがあるとか可能性があるとかの問題ではなく、今まで国や地方自治体がやってきたことを考えれば、施行規則に利用者や地元からの意見聴取が明示されてない以上、そうなってしまうでしょうね。

 このように多くの問題をはらんだままの施行規則が出てきてしまった原因は、やはり環境大臣の非民主的暴挙から始まってると言わざるを得ません。もう話し合いなんかいらない、私がすべてを決めるって言うんですから、それ以上何を言っても無駄って感じですね。そういう論点からすれば、こんな不備だらけの施行規則案は白紙に戻して、もう一度会合を再開するよう提案するのがパブコメとしては正論なんでしょうけど、それだけでは意見として効果が薄いように思います。

 そういう意見も出す一方、上に書いたような具体的な問題点を指摘し、どのようにかえてほしいか、どういう項目を付け加えるべきか、どの項目は削除すべきかという意見をしっかり述べる必要があります。滋賀県がやったみたいに、それをすっかり無視したらしたで、そんなことするからひどいことになったじゃないか!! いったいどうするの!? 何だったら知恵貸そうか???って言えますからね。そういう先のことも頭に置きながら、ことあるたびにパブコメは数ではないって言われたことも忘れないようにしながら、とりあえず今目の前で進行中の状況を少しでもよい方向へ向けるために、せっかく募集してくれてるパブコメはちゃんと送りましょう。

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