Presented by B.B.C./Biwako Bass Communications

96年8月16日

韓国のトップアングラー
パク・ユンウクさん
に話を聞いたぞ

8月11日、山梨県河口湖で史上初の日韓親善バス釣り大会が開催された。この大会は、韓国で最初の本格的なバストーナメント団体、K.B.F.(Korean Bass Federation)が昨年夏に誕生したのを受けて開催されたもので、韓国からは60人の選手とKBFの役員らが来日した。その一員としてやってきた韓国のトップアングラー、パク・ユンウクさんに韓国のルアーフィッシングの現状と日本のブームを見ての印象を聞いた。

パク・ユンウク
韓国を代表するルアーアングラーの1人で、バスフィッシングのほかソルトウオーター、渓流などの釣りにも詳しい。雑誌連載、ビデオなどでも活躍。1年間に5、6回の来日を続け、アメリカへも度々行くなど、韓国の釣り界に新しい情報をもたらす橋渡し役でもある。ソウル市在住。

B.B.C. 今、日本はすごくバスフィッシングがブームなのですが、韓国の状況というのはどうなのですか?

パク 今、韓国も毎年約30%くらいバスフィッシングをする人が増えている状況です。韓国の人口が約4500万人、そのうち約10%が釣りをする人で、ルアーフィッシングをする人が約3万人。そして、その約半分がブラックバスフィッシングをしています。

B.B.C. 韓国にはフィールドがたくさんあるのですか?

パク ブラックバスは全国的に広がっていまして、今はもう済州島にまで入っているのではないかといううわさが流れているくらいです。現在、バスの害魚論も韓国で出ていますし、バスの釣り場自体は徐々に増えている状況です。バスが広がりだしたのは、やはり放流もあるが、養殖していたものが網を破って出たのがきっかけで、安東(湖)というレイク(9月に開かれる日韓親善バストーナメントの開催地)もそういうことで広まってしまったし、もっと南の方にある雲岩湖というリザーバーも、やはり同じような環境でバスが流れだしたのです。釜山の空港周りに川があり、その川にも全部入っているのです。それも、やはりバスを養殖していたものが大水(洪水かなんか)で流れてしまって広がったのです。韓国では、そういうケースが一番多いんです。

B.B.C. タックルとかメディアなんかの環境はどうなのですか?
パク タックル類は、ほぼリアルタイムに入ってきています。アメリカからも結構入ってきていますし、日本製はシマノが一番強力に入ってきています。

B.B.C. 韓国製というのは今、どうなのですか?

パク 韓国のメーカーは今、やっとロッドとかを開発して出している状況です。リールもアメリカ向けに、OEMで出しているものを、ちょっと変えて韓国向きに出しています。メーカー側もバスに関心を持ち出して、どんどん製品を出しているといった感じですね。

B.B.C. トーナメントがかなり盛んになってきているのですね?

パク トーナメントは、今年にK.B.F.というトーナメント団体ができ、それによって月1回のトーナメントを行う。基本的ルールはJBとB.A.S.S.のルールをよい点だけ取り寄せて作っている。だから日本と若干違うところがあります。

B.B.C. トーナメンターは一体何人くらいいるのですか?

パク K.B.F.という団体に登録しているトーナメンターは約100人くらい。来年にはまた100人くらい増えるはずです。実際、その中からトーナメントに出ているのは約60人くらい。

B.B.C. そのトーナメントというのは、あちらこちらの釣り場(レイク)でやるトレイルなのですか?

パク 当初は何カ所か動いてやったのですけれど、やはり規模の大きいところでやろうじゃないかということで、安東(湖)というところにほぼ決定しまして、そこと南にある雲岩(湖)の両方を行ったりきたりしています。

B.B.C. それはボートを使ってやるのですね?

パク みんなボートを使ってやりますが、なぜその場所にしたかというと、ソウルからちょっと下がったところなんですよ。だから南の釜山とか、そういう地域にいる人もきやすいということもありまして、やはりそっちでやろうということになったんです。

B.B.C. ということは、トーナメント自体は選手は全国規模で集まってくるという形なのですか?

パク そうです。全国区ということになりました。

B.B.C. ボートはカートッパー?

パク 今、アルミとインフレタブルボートで、バスボートは来年からたぶん入ってくると思います。

B.B.C. 日本でも最初は河口(湖)でトーナメントをやり出して、琵琶湖へきたばっかりのときなんかアルミボートがかなり多かったんですよね。

パク やはり同じでしょう。今はゴムボートが一番多いんですが、徐々にアルミが増えてきて、それがバスボートにかわるといった形になると思うんですよ。ただレイク自体が日本に比べかなり小さいので、日本のような大型のバスボートはたぶん入ってこないんじゃないでしょうか、と思っています。

B.B.C. ほとんどリザーバーなのですか?

パク 全部リザーバーと思ってもらっていいです。自然湖と言うのは、ほとんどないといった感じです。

B.B.C. 今回、来日された方のタックルなどを見ていると、結構しっかりしているし、タックルボックスなんかもよく整理していて、しっかりしたいいルアーをそろえてられるなあと思ったのですが……。ですから来日されてもそんなに驚かれていないのではないかと思うのですが?

パク いや、韓国でなかなか手に入らないものがいっぱいあるんですよ。例えば、今、日本でも大流行のラッキークラフトのステイシーなんかも、韓国にもある程度の数を輸入したのですが、一瞬にしてなくなった。やはり、釣れる(釣れるルアーは皆、わかっている)からラッキークラフトのステイシーを探しているんじゃないですかね。

B.B.C. 来日されて、買い物に行く時間はあるのですか?

パク 時間がありましたらキャリルに行きたいんですよ。皆、そういうことを楽しみにしています。本当は時間があったら、ポパイとかに行きたかったのですが、ちょっと無理です。残念ですね。

B.B.C. 今回、河口湖で釣りをした感想はどうですか?

パク 一言でタフです。それと魚がちょっと小さいですね。

B.B.C. 韓国はよく釣れるのですか?

パク 僕が釣りをした中では、安東(湖)でのことなのですが48〜53cmセンチまでを30尾。そういう釣りを僕は初めてしました。だから皆さんがこられたときも、たぶん期待はずれということはないでしょう。ポットベリーがたくさんでたんです。

B.B.C. 日本もアメリカのバスフィッシングを見ながら始めて、ただアメリカのバスフィッシングよりも日本のバスフィッシングの方が、アメリカのお手本があったということで進歩が早いんですよ。パクさんと初めて会ったのが、3年くらい前になると思うんですよ。あの時、パクさんと初めてお目にかかって、その年のクラシックに5人代表の方が来られていたということから考えても、その当時から比べてかなり急速に韓国のバスフィッシング自体も盛んになってきているし進歩していると感じるのですが……。実際、皆さんの様子を見てそう思ったのですけれども……。

パク やはりバスフィッシングというのが、体を動かす釣りですから、みんな面白いというのかなあ、積極的に自分から挑んで釣りに行くという形で盛んになってきているんじゃないですか。それと日本がアメリカを見本にして釣りが上達してきたというんですか、日本は韓国と情景的に同じなんですよ。だから韓国はどちらかというと日本よりかメリットがある点は、アメリカ、日本をお手本に釣りができるところにある。両方のいい点だけとり入れて、それに韓国的な釣りをつくりだしていくというところがあるんです。韓国は今現在が、一番いい時期です。タックルとかは全部完備されていて、なおかつ場荒れしていない。だから魚がよく釣れるということがありますね。

B.B.C. 日本でよく釣れるフィールドで、そのフィールドがよかったときは、まだタックル的に完璧でなかったというのがかなりあるんですよね。だから、琵琶湖でよく釣れていた当時、今のようなすごくよいタックルがあったら、もっと凄かったのと違うのかということを皆、言うんですよ。それ以前の、池原がよく釣れていた時でもそうだし、関東でも同じようなことがあったのです。それが韓国では今、いい状況を迎え、お国の方が経済的にも余裕が出てきて、これから凄いブームを迎えると思うのですが……。

パク やはり韓国も(日本はだいぶ前ですけれど)国民総生産(GNP)が1万ドルを越え出すと、皆レジャーに向かって走っちゃうんですよ。ちょうどそれとこのブラックバスフィッシングなんかとうまくかみ合ってしまって、やはり皆、ほとんどボートを買ったりなど、そういうレジャー(釣り関係)にどんどん力を入れていますね。

B.B.C. パクさん自身のトーナメントの成績はどうなのですか?

パク 今年はトーナメントに出てないんです。このK.B.F.という団体を後ろからサポートして、ある程度のレベルまで上げた段階で、自分はトーナメントに参加したいよということで、韓国内でPRをやっているんですよ。トーナメントに対するスポンサーを集めたりとか、そういう仕事を一年中やって、来年はちゃんと前線に出ますということで態勢を整えています。

B.B.C. 以前からビデオを出されたりとか、雑誌なんかもずっと継続して、活躍されてますが、今までこのような形でずっと引っ張ってきておられて、今どっとメジャーになってきているところなんですかね?

パク 自分が日本語ができ、どんどん日本にきているということもありまして、日本の情報をリアルタイムに韓国に紹介でき、また、そうしています。自分が今、連載している記事の中にも、そういうのをどんどんとり入れて、皆にブラックバスフィッシングの面白さをどんどん教えてやりたいと、そしてポピュラーにしたいというのが自分の気持ちですので、まあ今後もそういった関係の仕事をやっていこうと思っています。

B.B.C. 日本でもここ数年なんですが、アメリカのことを本当に皆が注目して、トーナメンターが実際BSSなんか行くようになって、本当に生の情報とか凄く新しい、強い情報が入ってくるようになったというのがあります。そういうこともあって、凄く日本の釣りというのが質的にかなりかわっているということが、今現在あるんですが、そういっったところでやっぱり韓国でも、これから釣りがメジャーになっていくプロセスの中で、やっぱりアメリカとか日本からの知識を吸収して、バスフィッシングって本当にどんなものなのかというのがあるじゃないですか? それをうまくコーディネイトしていったら面白いなぁと思うんです。やはりパクさんなんかもそれを頑張ってやってもらわないと、ということなんですよ。

パク そうですね。自分は皆に対してバスフィッシングを教えるときは、基本はどこへ行っても一緒だよと。ただ、行く湖に合わして状況がかわっていることにどう対応していくかだけ頭の中で考えていけば魚は釣れるんじゃないかと……。実際、今日(日韓親善バストーナメント)も、のん気だったけれど基本通りやれば魚は釣れた。韓国のバサーというのは、テクニック的な面でいえば、日本に比べるとまだ、はるかに低いです。ちょうど10年前の日本のようです。それに対してタックルだけが先走ってしまって、結局それを使いこなしていないというのがありますんで、やはりアメリカや日本からのいい情報、いいテクニック、どうやったらルアーを完璧に使いこなせるかというのを教えていきたいというふうには考えています。

B.B.C. 日韓親善バストーナメントが日本で開催され、今度は9月に日本から代表選手が行くわけでしょう。これが機会となって、近い国ですからどんどんアングラー同志の交流が盛んになればいいなあと思うのですよ。それが、今度アジア選手権といった方へつながっていくのではないかと思うんですが……。

パク そうですね。まあ自分自身もトーナメントに出たいというのがあります。ただ、今年JBのウエスタンに出たいと思っていて、結局出られなかったのですが……。やはり韓国からもどんどんJBなどの日本のトーナメントに参加したり、アメリカのB.A.S.S.にも出るようになると思います。

B.B.C. ぜひ、がんばってください。

パク そうですね。どうもありがとうございます。

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