Presented by B.B.C./Biwako Bass Communications

96年12月27日

琵琶湖中浜漁港でバスの大群発見
ハイパー常吉リグでも簡単には食わない

 96年12月22日のことだ。湖西の和邇中浜漁港をのぞいてみて驚いた。この日は天気のよい日曜日で、アングラーの数も多かったのだが、そのほとんどが常吉リグを使っている。驚いたのはそれだけではない。その常吉リグというのが、シンカーを極小さくして、シンカーとフックの間を短くしたハイパー常吉リグだったのだ。

 常吉リグというのは皆さんもよくご存知の通り、琵琶湖の岸釣りアングラーとして有名な村上晴彦さんが開発したリグで、95年ごろから岸釣りアングラーの間でブームとなり、96年はトーナメントシーンをも席巻した。村上さんが常吉リグを雑誌などで紹介し始めたのは93年ごろのことで、すでに当時、次のようなことを書いている。

 「今はよく釣れる常吉リグといえども、みんなが使うようになれば何のアドバンテージもないイモリグになってしまうだろう」

 現在の琵琶湖は、まさに村上さんの予言通りの状況で、岸釣りアングラーが10人いれば8人とか9人が常吉リグを使っているのが普通だ。これは岸釣りに限ったことではなく、ローボートからバスボートに至るまで、実に多くのアングラーが常吉リグを愛用するようになった。その結果どうなったかというと、確かにバスがよく釣れるようになったということはある。ただ、その一方で、釣れているバスのアベレージサイズが下がっているのは事実だ。

 これはアングラーが意図する、しないにかかわらず、常吉リグがそのポイントにいるすべてのサイズのバスに対して有効なリグだからである。そのためバスプロの多くは、ノンキーを避けるために、より大きなバスに向くように独自のアレンジを加えている。そうしないと、大きなバスがヒットする前に、ノンキーが釣れまくって、そのポイントが終わってしまうからだ。

 一般のアングラーにとっては、やはり確実によく釣れるということが、常吉リグの何よりも高い評価につながったのは間違いない。だからこそ、これほど多くのアングラーが愛用するようになったのだが、さすがにみんなが使うようになると、村上さんの予言通り、ただ常吉リグを使っているだけでは何のアドバンテージもなくなってしまった。その先に要求されるのは、フィールドの状況に合わせて有効なアレンジを加えることと、他のアングラーが思いも付かないような使い方、ワームのアクションのさせ方をすることだ。

 村上さん自身は、常吉リグのシンカーをごく小さく、シンカーとフックとの間隔を短くしたハイパー常吉リグを港の釣りでよく使うようになった。このリグの使い方は、底まで沈めるのではなく宙層をゆっくり引いてくる状態で、常吉リグに特有のワームのアクションを引き出してバスにバイトさせてしまおうというものだ。確かに、表層近くにサスペンドする傾向の強い真冬の港での釣りには極めて有効で、取材のときなどにも他のアングラーにほとんどバイトがないのに村上さん1人が入れ食いということが何度もあった。

 ところが、ハイパー常吉リグもかなり有名になってきて、この冬の琵琶湖ではもはや岸釣りアングラーの常識に近くなった。実際のところは、同じリグを使ってはいても、本当に使いこなせていないアングラーがほとんどのようだ。

 このとき中浜漁港には、びっくりするぐらいたくさんのバスがいた。漁港の岸壁から下をのぞくと、25cmぐらいまでのバスがそれこそ群れになって泳いでいた。アングラーの中には入れ食いの人もいたが、多くは食わせるのに苦労しているようで、すでに簡単に釣れる状態ではないようだ。

 96年12月末の時点で、中浜漁港以外に湖西の北小松漁港や湖東の片山漁港などでも多くのバスが確認されている。ただし、どちらも最初のうちはルアーによくヒットしたが、すぐに釣るのが難しくなったそうだ。南湖の雄琴港は一時かなり上向きになったが、12月後半になって平静を取り戻している。1年前に大フィーバーとなったなぎさ漁港と膳所の舟だまりは、この冬は少し遅れ気味で、まだ爆釣の気配はない。水位、水温ともに平年より高めのため、各ポイントとも釣れ始めのタイミングをとらえるのは難しそうだ。

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