Presented by B.B.C./Biwako Bass Communications

97年3月28日

ゴミ除去のために年間3000万円以上かかる
兵庫県青野ダムの環境問題についての取材報告

 ここ数年、兵庫県青野ダムで釣り場のゴミやめいわく駐車の問題がかなり深刻化している。これらの問題を解決するために、今年4月から青野ダム湖利用適正化推進会議が設けられることになり、兵庫県の平成9年度予算に盛り込まれた。この件については前々回の本欄でも簡単に紹介した通りだが、3月25日に青野ダムを管理している兵庫県の出先機関である北摂整備局土木課へ取材に出かけたので、さらに詳しくお伝えしたいと思う。

 青野ダムは三田市内の丘陵地にある中規模のダムだ。完成したのは87年のことだから、比較的新しいダムと言える。蓄えられた水は上水道や工業用水、潅漑用水などに利用されるほか、洪水調節の役割もはたしている。

 三田市は大阪、神戸などの大都市から近く釣りに行くにはとても便利な場所だ。青野ダムのまわりは傾斜が緩やかな丘陵地だから、湖岸もほとんどは足場がよく、バスの岸釣りにもってこいの地形を備えている。

 青野ダムでバスが釣れ始めたのは完成直後のことで、その後は次第にアングラーの評判が高まるばかりだった。その理由は、やはりバスがよく釣れることと、岸釣りがしやすい釣り場の割には規模が大きいので、何カ所ものポイントを移動したり、いろんなタイプのポイントを狙ったりといったバスフィッシング本来の楽しみ方ができるからだろう。

 ところが、アングラーの数が増えるにつれた、様々な問題が起こるようになってきた。これがそのような問題かというと、湖周辺に捨てられた大量のゴミやめいわく駐車などが中心で、料理の火の不始末によるボヤ騒ぎや農道の路肩をつぶされたりというようなことも起こっている。また、野鳥や水鳥の数が減っているというデータもある。

 青野ダムへやってくるアングラーの数については去年のゴールデンウィークに兵庫県が調査してたデータがある。それによると、4月27日から5月3日の7日間に青野ダムへ釣りにきていたアングラーの数は合計7789人、周辺の駐車台数は2889台、浮かんでいたボートの数はカヌーなども含めて539隻。単純に平均すれば、1日に1000人以上のアングラーと400台以上の車が集まり、約75隻のボートが浮かんでいたということだ。

 ゴミの問題は、すべてアングラーが捨てたものではないが、その始末に膨大な費用がかかっているのも事実である。兵庫県では青野ダム周辺の清掃のために、年間実に3000万円以上の予算を投入しているそうだ。

 現在、青野ダムでは週末のパトロールの強化や立て看板を建てるなど、アングラーに協力を呼びかける活動が行われている。また、アングラーの中からも積極的にボランティア活動としてゴミの回収をするグループがいくつも現れている。

 ところが、それではとても間に合わないのが実状だ。そこで、現在起こっている様々な問題を少しでも改善し、将来に渡ってバランスよく利用していくための足がかりとして、青野ダム湖利用適正化推進会議が設けられることになった。

 会議の構成は、兵庫県や三田市など自治体の代表、地元の代表、学識経験者、自然保護段階の代表などに加えて、アングラーやカヌーイストといった利用者の代表も参加する。活動は4月中ごろにスタートし、年度内に5回から6回の会議が予定されている。兵庫県ではこのために約500万円の予算を組んでおり、資料の収集や調査、様々な提言を行う。

 気になるアングラーの代表者に誰が選ばれるかは、取材の時点でもまだ決まっていなかった。現在、適当な人を探している最中だ。それと、もう一つ気になる釣り禁止の問題だが、青野ダムについては兵庫県としても市民に開かれた湖を目指して利用の適正化を進めており、明日にも釣り禁止になるようなことはないという返事だった。

 ただし、鳥類の保護などのとの兼ね合いから、一部が釣り禁止になったり、特定の期間だけ立入禁止のエリアが設けられることは十分にあり得る。このあたりの判断に関して、青野ダム湖利用適正化推進会議の活動の成果が大きな影響力を持つことになるわけだが、最悪の結果を招かないためにも、アングラー自身のマナーの向上が一刻も早く求められている。

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