Presented by B.B.C./Biwako Bass Communications

98年5月15日

アングラーの体格、体力、経験に合わせて
1本ずつ設計するカスタムロッドの世界

 今回はアメリカ・カリフォルニア州からの話題をお届けする。

 アメリカ南部あたりの街や釣り場では、しっかりとしたタックルショップというのがごく少なくて、タックルを買うのならスーパーマーケットの方がはるかに便利がよい、という話はすでにこのコーナーで何度か書いたことがある。ところが、ロサンゼルスあたりではこの様相が一変して、必要なものがきっちりそろうタックルショップというのが探すのに苦労しないぐらいある。

 アメリカ国内でも、カリフォルニアの釣りのレベルの高さはかなりのもので、フロリダと並んで双璧だと言われている。もちろん、テキサスあたりのバスフィッシングのレベルの高さは相当なものだし、フライフィッシングなどもこの限りではないが、海釣りなどいろんな釣りを含めた熱心さとレベルの高さ、アングラーの多さでは、カリフォルニアとフロリダが双璧だと言うのだ。

 その一例として、カスタムメイドのフィッシングタックルがあげられる。カリフォルニアにはハンドポワードのワームファクトリーがたくさんあって、家内工業的に実に精巧で豊富な種類のワームが作られているのは前に紹介した通りだ。これはバスフィッシングの例だが、海釣りの分野では、ロッドのカスタムメイドやリールのチューニングが盛んに行われている。今回紹介するのは、そんな海釣り用のタックルのカスタムメイドの話だ。

 ロサンゼルスのタックルショップは、バス用のタックルも置いてはいるが、どちらかというと海釣りのタックルがメインだというショップが圧倒的に多い。その中に、お客の注文に合わせてロッドをカスタムメイドするショップがかなりの割合である。

 今回取材したのは、そんなショップの一つで、カスタムメイドロッドでは草分けと言われる、ヨーズ・カスタムロッド・アンド・フィッシングタックルだ。なにしろ店の名前の最初の方にカスタムロッドと入っていることからも他のショップとの違いがうかがわれると思うが、ヨーズが創業したときはカスタムロッド専門だった。

 ヨーズはロサンゼルスからすぐ南のガーデナという街にある。創業は1967年のことで、現在のオーナーのマーティン・ヨシダさんのお父さんで日系二世のヨシロー・ヨシダさんが趣味で作っていたロッドをほしがる人が多くなったために、現在の場所からすぐ近くで店を開いた。

 それから30年以上に渡ってロッドを作り続けてきたわけだが、息子さんの代になっても技術は衰えるどころか、ますます評価が高まりつつある。カリフォルニア州内からだけでなく、遠くはニューヨークあたりかも注文が来て、常時100本前後のバックオーダーをかかえながら仕事をしているそうだ。

 ヨーズのロッドの特徴は、仕上げの美しさもさることながら、その扱いやすさと耐久性にある。扱いやすさという点では、ロッドの設計は注文したアングラー1人1人に合わせすべて異なる。150種類以上あるブランクスの中から、まず釣り方と使用ラインに合わせて選び出し、それをアングラーの身長、体重、年齢、体力、肘から指先までの長さなどに合わせてカットした上でリールの位置などを決めていく。そのため、オーダーはファックスなどでも受けるが、理想を言えば店に出向いて、アングラー本人がブランクスを曲げたりしながら行った方がよいそうだ。

 ロッドの制作作業を見ていると、実に手際がいい。ガイドの位置を決めるのにメジャーは使うが、どのガイドをティップから何インチの位置に付けるかはすべて頭の中に入っているから、マーキングはあっという間に終わる。リールシートなどは、アングラーから注文を受けたときに作ったカルテ通りに取り付けられる。なにしろ二代目のヨーさんは毎年2000本のロッドを作り続けていて、これまでに作ったロッドは60000本を越えるのだそうだ。

 そんなカスタムロッドの値段は、普通の部品を使って普通に仕上げた場合、280〜400ドル。もちろん、対象魚や釣り方に合わせて様々なアレンジが可能だ。これを日本の製品とくらべて高いと思うか安いと思うかはアングラー次第。興味を持たれた方はいきなりロスへ注文しに行く前に、ファックス(アメリカ310-532-8495)で問い合わせてみることをお勧めする。日本語の問い合わせにも、時間はかかるが返事をしてくれると約束してくれたので、英語が苦手な方もどうぞご安心を……。

B.B.C.ホット情報データベースへ
B.B.C.ホット情報のテーマ別インデックスへ