Presented by B.B.C./Biwako Bass Communications

98年12月3日

アメリカだからこんな仕事も成立する
ボートのプロペラ修理専門工場

 ボートのメンテナンスというと、日本ではボートを買ったディーラーにまかせることがほとんどだと思います。滋賀県大津市のバスボートマリーナ、リブレの中にあるバイタルスピリットは、ハイパフォーマンスボートのセッティングとリペア専門のファクトリーですけど、こういう専門的な仕事をしている工場は日本にはそんなに多くありません。

 ボートの普及率が日本とくらべてケタ違いのアメリカでは、ボート関係のいろんな専門職が仕事として成立しています。例えば、バスボートのエレクトリックモーターの修理を専門にやっている、トローリングモータードクターなんていう仕事があります。今回、ネバダ州のラスベガスへ行った折に取材したのは、そんな仕事の一つ、ボートのプロペラの修理を専門にやっている、R&R Prop Shopというファクトリーです。

 R&R Prop Shopは、ラスベガスのすぐ南のヘンダーソンという街にあります。ラスベガスからレイクミードへ行くには、インターステート15号線や515号線からレイクミードドライブを通ることが多いんですけど、R&Rはこのレイクミードドライブに面したインダストリアルパークという軽工業団地に入っていて、規模は日本の小さな町工場ぐらいです。

 R&R Prop Shopの入り口を入ってまず驚くのが、壁一面にプロペラがかけてあることです。壊れたプロペラをすぐにかえたいというオーダーに応えるために、ポピュラーな品物を在庫してるんですけど、ストックは100個以上あるという話でした。値段や日本の約3分の2から半分ぐらいです。

 奥へ行くと工場になります。プロペラの修理が専門ですから、工場内は専用の特殊な機械や工具ばかりです。プロペラの形を修正するためのゲージとかもよくそろっています。この工場で、例えば欠けたり曲がったりしたプロペラを修理すると、そんなにひどいのでなければ、2時間ぐらいでできるという話でした。プロペラを何かにぶつけて、ひどく欠けさせたりしてしまうと、日本では修理できないことも少なくないんですけど、アメリカでは「たいていのクラッシュはなおせる」と工場の人は言ってました。

 それともう一つ、アメリカでできて日本でできないのが、ブッシュをスリップさせてしまったプロペラのリペアです。ボートの走行中にプロペラに何かがからまったりしたときに、エンジンのギアやシャフトを壊さないように安全装置が働くようになっています。バスボートクラスのプロペラには、ゴム製のブッシュが入っていて、無理な力がかかると、このブッシュがスリップしてプロペラが空回りするようになっています。

 一回スリップさせたプロペラは、ブッシュを取りかえないと使えないんですけど、バスボートのようにハイパワーで走るボートのプロペラのブッシュを取りかえてくれる工場は現在の日本にはありませんし、部品も工具も手に入りません。つまり、10万円以上もするプロペラが、1回スリップさせると二度と使えなくなってしまうわけです。

 R&R Prop Shopでブッシュを交換してもらうと、たいてい100ドル以内でできるそうです。「日本ではスリップしたプロペラは二度と使えないんだ」と言うと、工場の人は驚いた顔をして、「信じられない」と言ってました。

 今回、R&R Prop Shopを訪ねて、交換用のブッシュやいろんな専用工具を作っている会社があることがわかったので、ごく近い将来、日本でも同じようなりペアができるようになると思います。バイタルスピリットさんあたりが、やってくれないでしょうかね。

R&R Prop Shop
670 Professional Suite 406, Henderson, NE
TEL702-564-7502

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