Presented by B.B.C./Biwako Bass Communications

Editorial
Vol.72(07/12/07)

外来生物法は何のため?

 長野県内水面漁場管理委員会が12月5日に開いた会合で、県内全域の河川、湖沼で原則的にバスやブルーギルのリリースを禁止する方針を固めたというニュースをmns.産経ニュース、新毎web、長野日報ネット版などネット各紙がいっせいに伝えた。この件に関しては長野日報ネット版の記事が一番詳しいので、そちらをごらんいただければだいたいのことはわかると思う。

 要点は三つ。まず第一に、同委員会は03年にもリリース禁止を決めたが、当時の田中康夫前知事は決定の経緯と有効性に問題があるとしてこれを取り消した。漁場管理委員会の決定を知事が覆すなんて、そうあることではない。あれから5年たって、バスアングラーと釣り業界の意見を聞いてくれた知事はもういない。

 第二に、漁業権者からリリース禁止の解除申請があった水域については、一定の条件を満たせば解除できる規定が設けられるらしい。これにより野尻湖や木崎湖はリリース禁止の対象外となる可能性があるが、バスやギルの流出防止などにどれぐらい厳しい条件が付くかは今のところわからない。それと、小さな池など漁業権の対象でない水域までリリース禁止になるのかどうかもニュースを見る限りはっきりしない。

 第三に、今回の会合では方針を固めただけで、年度内に開く次回委員会で開始時期やリリース禁止解除の条件などを含めた具体的な内容を決めることになっている。それを知事が認めて正式決定となる。つまり、まだ確定ではなく、かすかではあるが変更の余地が残されている。さて、バスアングラーと釣り業界はどう動く? あるいは動かないか?

 この決定はつまり、特定外来生物被害防止法ではバスやギルの拡散は防げないから、やっぱりリリース禁止にしようってことだよね。だったら外来生物法はいったい何のためにあるんだろうか。もっぱら駆除に税金を使うため? 当時の小池百合子環境大臣が専門家会合の合意を無視してバスの特定外来生物指定をごり押ししたのは、やっぱり大臣の実績作りだけが目的だったのか? 環境省さんも、なめられたもんですなあ。

 先に紹介した長野日報の記事にバス利用者の代表として真嶋茂さんの意見が出ている。「魚が生態系を変えるのではなく、人間が環境を変えたために起こった問題だ。被害者はブラックバスとブルーギル。冷静な話し合いのもと問題解決の糸口が見つかることを期待する」その真嶋さんの肩書きが面白い。日本釣振興会外来魚委員会オブザーバー!! 「オブザーバー」って、いったい何やねん!?

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