森田哲広 B. B. Log
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森田哲広 Big Bass Dairy

Vol.2 July 14, 2008 2008年梅雨のサーフェスゲーム


 2008年5〜7月のサーフェスゲームは水温、水位に大きく影響を受けました。


 梅雨の雨はしとしと降り続くものなのですが、近年は集中豪雨化しています。しとしと雨は琵琶湖に流入する際、温かく(雨粒が小さいため上空から地上に落ちてくるスピードが遅く空気とほぼ同じくらいまで暖められる)、水質はクリア(一定時間の雨量は少なく大部分が山の地面に吸収、濾過され湧水として河川や琵琶湖に注ぎ込む)もしくは少しの濁りで注ぎ込みます。一方、集中豪雨では雨粒が大きく重く上空から落ちてくるスピードが速く冷たい雨となります。激しい雨は地上の土やゴミを巻き上げ、洗い流すように河川から琵琶湖に流れ込みます。


 地球温暖化の影響か?2000年頃から日本は雨の降り方に変化があり、短時間に大量の雨が降り注ぐ“熱帯型”になっていると思います。今年は近年顕著な集中豪雨型の雨が多く、梅雨だけでなく春からこの傾向が見られました。


 よって琵琶湖の水位は例年より少しですが高く推移し、また琵琶湖だけではなく注ぎ込む河川、その上流のダムまでもが・・・。その上、琵琶湖のまわりの農家はほとんどが兼業農家で、その多くがゴールデンウィークに田植えを行うため、ゴールデンウィーク直前まで上流のダムの放水量を押さえ気味し、ほとんどの田んぼに苗を植え終わったGW終盤には田に効率よく水を引くために放水量を増やします。


 琵琶湖には少し遅れて濁った水が注ぎ込み増水するため瀬田川洗堰の放水量を増やすのですが、5月10、13、14、19、20、24、25、29日のまとまった雨が降り重なり5月30日から3週間以上にわたりほぼ全開と言える毎秒300トン放水となってしまいました。その影響で水温が上がらず、水中は梅雨の前なのに梅雨寒状態が続き、ウィードが南に大きく倒れ込みました。


 例年なら5月20日頃からモンスタージャック、ITジャックなどのビッグベイトフィッシングがスタートし、梅雨入り前後には高反応を示し、ビッグベイトのみで1日ガイドを楽しめるのですが、今年はビッグベイトのみでガイドを行えたのは2週遅れの6月20日頃でした。ビッグベイトへの反応はあるのですが、とにかくミスバイトが多く、このことを解消し確実にバイトに持ち込むためポッパー、ペンシルベイト、シャッドテールワームのスイミングが有効となりました。


 ミスバイトの原因は低水温とウィードの倒れ込み。低水温はバスの動きを鈍くし、ルアーを追い切れない、追い付けない原因となります。ウィードの倒れ込みは速い湖流によるもので、バスも流されないようにウィードの根元や中に入り込んでしまいます。つまり水面からバスのポジションが遠く、ルアーに気付く確率も低下し、ルアーに追い付くまでの時間がかかりヒット率も下がってしまいます。


 ポッパーやペンシルはビッグベイトにくらべリトリーブに時間をかけることができますし、ラトルサウンドやステイで確実にルアーの存在をアピールできるため有効で、6月6日に撮影したYahoo!動画“ストロング パワー ベイト VOL.14琵琶湖編”ではITジャックJr.にミスバイト連発する中、フィッシュアロー唯一のペンシルと言える“フラットジャック”で45UPを連続でキャッチしています。シャッドテールワームのTX&ノーシンカースイミングはウィードに当てながらリトリーブするためバスにアピールしやすくバスのポジションにも近いため有効です。


 私とフィッシュアローは数年前からノイジー系のビッグベイトを構想、テストしています。またウッド製のビッグペンシル、シャッドテールワームはプロト段階にありテスト、改良を行っています。


 もうすぐ梅雨明けし2008年前半のサーフェイスシーズンは終了しますが、今から秋の後半のサーフェスシーズンが楽しみです。台風の通過や水温低下に左右されますが、例年なら9月中旬頃から11月初旬がハイシーズンとなります。

森田哲広(もりた・てつひろ)

フルタイムのプロガイドとして年間釣行250日。湖上で一際目立つ182cm、85kgの体躯とは裏腹の繊細な観察眼から生まれるアプローチ&アドバイスは素にして要。ビッグベイトをメインにシーズン中に叩き出すビッグフィッシュの数は圧巻!! 06シーズンにゲストがキャッチした60cmオーバー4本中3本がビッグベイトというビッグベイトスペシャリスト。オリジナルハンドメイドルアーのみで1年間ガイドできることを目標にビッグベイト、クランクベイト、スピナーベイト、バズベイト、ワームなどを開発。山ノ下湾ガイドグループ所属。1972年、愛知県生まれ。滋賀県在住。


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