Teck Performer Vol.3

杉戸繁伸
対デカバス最強リグ

Teck Performer

■基本はテキサスリグから

 テキサスリグ。バスを釣る上で、このリグを知らないアングラーはまずいないだろうと思うし、ワームフィッシングを成立させる上で必ず必要とされるリグである。ソフトベイトはシンカーやフックとの組み合わせ次第でフロリダ、キャロライナ、スプリット、ダウンショットに変身するが、その原型になるのはやはりテキサスリグ。最も汎用性がある奥深いリグであり、琵琶湖のアーリーサマーからサマーシーズンにビッグバスを仕留めるためには、今やこれなしには考えられないと言ってもよいほどの定番となった最強リグでもある。

 さて、テキサスリグに代表されるリグへのワームのセッティングですが、オフセットフックをワームの頭から刺し、一度抜く。そして、一回ひねって再度フックの先をワームの中に入れて完了となるわけで、フックの先端部分がワームの中に隠れてしまうところが最大の特徴。その意図するところは、カバーの中を釣ることができる、すなわち障害物回避能力に優れているという点に尽きます。

 皆さんもすでにご存じとは思いますが、バスという魚は何らかのカバーや変化をとても好む習性があります。ですから効率よく魚を釣っていこうと思うと、カバーや何らかの変化を釣っていくことが自然な流れで、特に琵琶湖においてはいまや全域に拡大しているウィードをいかに釣っていくかが重要なファクターになっている。そうなると障害物回避能力に長けているこのフックセットが最も効率的かつ汎用性を持つことになるわけです。

■テキサスリグの問題点

 でも、ここで一つ疑問に思いませんか!? テキサスリグが優れている点に障害物回避能力がありますが、それは言いかえれば、魚へのフッキング能力と反比例するということです。ウィードにも絡まないということは魚へも掛かりにくいということ。これは仕方ないことで、何かを得れば何かを犠牲にするトレードオフの関係にあります。

 テキサスリグのフックセットにおいては、フッキングによる力が加わると、まずワームがフックからズレ、その後、ワームに隠れていたフックポイントが飛び出し、魚の口内に刺さる仕組みとなっています。口内に刺さる前に、いろんな動きが連続で起こり、それらがスムーズにいかないと、しっかりしたフッキングができません。ですからこのスムーズな連続動作を得るには、ワームとフックのバランス、フックの形状などすべてのバランスが重要となるわけです。

■「掛ける・掛かる」ための新しいオフセットフック

 今回、まったく新しいフックをデザインするにあたり、まず「掛ける・掛かる」というコンセプトからスタートしました。そこで、日米のプロスタッフ達が、トーナメントでとりあえず1本ほしいときにオフセットではなくストレートフックを使用する、あるいは通常のオフセットフックをペンチで少し外側に曲げて使用していたことに着目し、「掛ける・掛かる」を具体的に形にしていきました。そうやって誕生したフックが、バルキースピアとスキニーリップ兄弟です。


バルキースピア


スキニーリップ


形状の比較

■バルキースピア

 バルキースピアのフック形状を見ると、何らかの違和感を感じるかもしれません。見ての通り、ハリ先がかなり外側を向いており、まさに従来のオフセットフックをペンチで外側に曲げた形です。この形状では、強い力が掛かるとフックが伸びてしまうように思われますが、バルキースピアはヘビーワイヤを使うことによって強度を保てるギリギリのアッパー角度になっています。さらにヘビーワイヤでも貫通力が鈍らないようにフッ素コーティングを施しました。

 これにより、琵琶湖などで多用するホッグ系などのバルキーワームで、合わせた時に起こるすっぽ抜けが明らかに減少。少しの力でハリ先がワームから飛び出し、理想的なフッキングが可能となりました。これはフッキングにおける連続動作がスムーズに行われている証拠ですが、一度使っていただければヘビーワイヤを使用しているにも関わらず、従来より明らかに少ないパワーでフッキングが決まる、まさに「掛ける」フックであることを実感していただけると思います。

■スキニーリップ

 スキニーリップは従来のオフセットフックの全体形状でハリ先だけを外側に向けたアウトポイント採用モデル。そして、ミディアムワイヤを採用することで、初期の掛かりはさらに向上。さらにフッ素コーティングも施してあるので貫通力も従来のオフセットタイプとは別次元のものになりました。

 絶妙の角度に設定されたのアウトポイントと線径のバランスにより、細めのワームをホールドする能力を維持しつつ、フッキング性能を向上させたモデル。まさに触れれば「掛かる」フックであることを実感してもらえると思います。

■使用タックル

ベイト
ロッド シマノ・ファーレンハイトPV-172MH
リール シマノ・アンタレスDC7
ライン サンライン・FCスナイパー16lb
フック カルティバ・バルキースピア#4/0〜3/0
シンカー カンジー・センキンバレット7g
ワーム バークレイ・パワーホッグ4、デスアダー5in

スピニング
ロッド シマノ・ファイナルディメンションPV-2610ML
リール シマノ・07ステラ2500
ライン サンライン・FCスナイパー8lb
フック カルティバ・スキニーリップ#2/0
ワーム リングワーム

■使い分けと注意点

 名前の通り、バルキータイプのワームを使用し、そこそこのサイズの魚を狙うのであれば、バルキースピアで決まりですね。ただヘビーワイヤを使用しているので、フッキングの際にはきちんと糸フケを取って合わせを入れてやる、つまり掛ける動作が必要です。ですからラインも最低でもフロロ12ポンド以上は必要。琵琶湖なら14ポンド以上がお勧めです。

 そして、細めのワームを使用してのテキサス、ダウンショット、スプリットなどにはスキニーリップを使用します。こちらの方は、レギュラーワイヤを使用しているので、初期掛かりはかなりよく、スイープ系のフッキングを要する釣りのときには迷わずスキニーリップでOKでしょう。

■ワームのセッティング

 最後に注意点として一つ。バルキースピアは見ての通り、ハリ先がかなり外側に向いているので、従来のオフセットタイプのワームセットとは少し異なります。従来のタイプならハリ先がラインアイと同方向なので、ハリ先をいったんワームから出して、再度皮一枚刺しなおしをしていたと思いますが、バルキースピアの場合はハリ先を一度ワームから出した後、戻すようにします。


バルキースピアのワームセッティング
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 慣れればワームから一度も出さず、ハリ先をワームの中の適当な位置で止めるだけでOK。力が加われば、すぐにハリ先が外に出ようとするので、ワームの中に格納しておくだけで十分です。慣れるまでは真っ直ぐに刺し難いかもしれませんので、実際釣り場に行く前に少し練習してみることをお勧めします。

 この春から私のガイド情報ブログで常時、バルキースピアのフッキング位置や釣れ具合を報告させてもらっています。使用ワームやフックサイズなどのデータも掲載しているので、テキサスリグをどんな状況でどんな使い方をしてるかについては、そちらを参考にしてください。いよいよこれからが琵琶湖のテキサスリグ本番。どんどん情報をアップしていきますので、乞うご期待!!

解説
杉戸繁伸
(すぎと・しげのぶ)

1970年生まれ。滋賀県大津市在住。週末及び休日主体のフィッシングガイドとして大津市今堅田のリブレに所属。琵琶湖では20年以上のキャリアを持ち、ラバージグ、ジグヘッドリグ、ミノー、バイブレーションプラグ、クランクベイト、スピナーベイトなどを使った沖のウィードエリアや浚渫エリアでの釣りを得意としている。元JBプロとして94年4月に河口湖で開催されたJBプロトーナメントで、発売3日後のベビーシャッドを使って優勝したことはあまりにも有名。ハネラバの開発者で、シマノ・ファイナルディメンジョン開発チームの一員でもあり、そのタックル評価能力は高く評価されている。

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