琵琶湖の湖底から
(2007/01)

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■全国豊かな海づくり大会:11月10・11日、大津で開催 市町面積拡大で 07/01/01 Mainichi Interactive滋賀
 「第27回全国豊かな海づくり大会」が11月10、11日、大津市で開かれる。水産資源の維持や海の環境保全への意識啓発などが目的で、湖が舞台となるのは初めて。
 今大会のテーマは「この湖(うみ)を 守る約束 未来のために」。琵琶湖漁業のデモンストレーションや固有種などの放流行事の他、▽NGOなどの湖づくりの取り組み紹介やパネル展示▽宮沢賢治の「注文の多い料理店」をモチーフに、琵琶湖の厳しい現状や改善への取り組みなどを展示する「漁業・環境ミュージアム」−−などから構成される予定。

■琵琶湖:赤潮発生30年 命はぐくむ琵琶湖、次世代へ伝えよう(その1) 07/01/01 Mainichi Interactive滋賀
 琵琶湖で淡水赤潮の大発生が確認された77年(5月)から30年がたとうとしている。琵琶湖の環境悪化は赤潮によって一気に表面化、社会問題化。粉せっけんの使用を進める「せっけん運動」が大きな県民運動となり、有リン合成洗剤の使用禁止を含む琵琶湖富栄養化防止条例が制定(79年)された。さらに県琵琶湖研究所(現・県琵琶湖・環境科学研究センター)の開設(82年)などへとつながる。77年は「琵琶湖の環境保全元年」ともいえる。
 その後、一時の富栄養化はストップ。琵琶湖環境の各種指標は表面上は「横ばい」だが、近年は北湖の深層での低酸素化など別の問題が浮かび上がってきた。今年11月には、湖では初めての「全国豊かな海づくり大会」が大津市の琵琶湖岸で開かれ、琵琶湖の現状を改めて考える機会ともなりそうだ。湖(うみ)はどこへ向かおうとしているのか。過去と今を見つめ、未来を展望する。
 ◇せっけん運動 主婦の力、メーカー動かす−−「びわ湖会議」事務局長・宮川琴枝さん(76)=長浜市
 「私にとって、せっけん運動の出発点は環境問題じゃなかったのよね」
 長浜市内の古い集落にある自宅で、宮川さんが話し始めた。琵琶湖に大規模赤潮が発生する3年半ほど前に起きた石油ショック。小売店から合成洗剤が姿を消した。きついにおいに閉口しながら粉せっけんを使ううちに、それまでの皮膚のかゆみが消え、合成洗剤との区別を意識した。さらにニュースで赤潮問題を知り、「得体の知れないもの、とどっきりした」。
 リン入りの合成洗剤が一因と分かり、粉せっけん普及に取り組み始める。地元で参加していた「消費学習研究会」で実験を始めた。ラード、すす、口紅を布に浸み込ませ、合成洗剤と粉せっけんで洗濯。公民館に洗濯機を持ち込み、粉せっけんできれいに洗えることを実証してみせた。
 主婦たちを中心に、運動は全県的に広がり、洗剤メーカーは商品を無リンに切り替えた。「かつてなかったこと。行政も、うまく力を合わせてくれた」と振り返る。一方で、同時期に進んだ琵琶湖総合開発での湖岸堤建設には批判的。「何でヨシ原をつぶして、沖をコンクリで固めるのか」と反対運動もした。
 条例制定後、県内のせっけん使用率は下がり、運動そのものは下火になったようにも見える。「せっけんを使いさえすれば環境にいいというのは違う。せっけんでも合成洗剤でも、使えば使うほど水を汚す。『着たら洗う』じゃなくて、『汚れたら洗う』にしないと」
 ホタルの数などから水の状態を見、集落の協力を得てほ場整備の際に水路を自然に近い石組みに変えてもらうなど、活動の幅を広げてきた。現在、県の呼びかけで識者や市民が集まる「姉川流域環境づくりフォーラム」で活動。せっけん運動を引き継いだ形の「びわ湖会議」事務局長として、台所から生活を変えようという「エコ・キッチン革命」を提唱する。
 今は生ごみの問題に力を入れる。自宅の庭で段ボールに腐葉土や米ぬかを入れ、生ごみをたい肥化。メンバーで手分けしている“実験”の結果は、2月の発表会に持ち寄る予定だ。「ごみは行政の責任という考え方もあるけれど、まず自分で汗をかいてから、行政に役割を求めるのが筋」。自分たちの地域をつくっていくのは自分たちだ、という自負がにじむ。
 水の問題でも気になることはある。「身近な田んぼでも、昔の『田ごし』の水と違って直接、川に排水が出ていく。川や水路の周りを休耕田にすればいいんじゃないかと提案している。行政や研究者を市民の側から『どうなってるの』とつついていくことは、これからますます必要。やってみると面白いしね」。若い世代にも、行動を促している。【森田真潮】
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 ◆琵琶湖環境年表◆
1959年 7月 農薬PCPで魚、シジミ被害
  69年 5月 琵琶湖にカビ臭発生、京都市水道でカビ臭に初の苦情
  72年 6月 琵琶湖総合開発特別措置法公布
  76年 3月 琵琶湖環境権訴訟提訴
  77年 5月 赤潮大発生
     10月 合成洗剤追放全国集会を大津で開催
  78年    「びわ湖を守る粉石けん使用推進県民運動」県連絡会議結成
  79年10月 琵琶湖富栄養化防止条例公布
  82年 4月 県琵琶湖研究所開設
  82年    藻類異常繁殖で水泳場一部閉鎖など
  83年 8月 学習船「うみのこ」就航
      9月 南湖で初のアオコ発生
  84年 8月 第1回世界湖沼環境会議(琵琶湖・大津)開催
  88年10月 「よみがえれ琵琶湖」署名運動、約34万人分を添えて県議会に実効ある家庭排水対策を求める請願を提出、採択
  91年 3月 北湖の湖底で硫黄酸化細菌チオプローカを国内初確認
  94年 8月 北湖で初のアオコ発生
  97年 3月 琵琶湖総合開発事業終了
  00年 3月 琵琶湖総合保全計画「マザーレイク21」策定
  02年10月 琵琶湖レジャー利用適正化条例制定
  03年 3月 第3回世界水フォーラム(琵琶湖・淀川)を開催
  04年 3月 琵琶湖森林づくり条例制定
  06年 1月 「国際湿地再生シンポ」を大津で開催
 「滋賀の環境06」(県琵琶湖環境政策室)から引用。一部、独自に加えた項目もある

■琵琶湖:赤潮発生30年 命はぐくむ琵琶湖、次世代へ伝えよう(その2止) 07/01/01 Mainichi Interactive滋賀
◇プランクトン観察 顕微鏡で異変を察知−−県琵琶湖・環境科学研究センター環境生物担当専門員、一瀬諭さん(54)=大津市
 12月の琵琶湖北湖。沖合の実験調査船「はっけん号」の上で県琵琶湖・環境科学研究センターの職員たちが定期調査を始めた。
 「えらいええなあ。10メートル以上見えるで」。一瀬諭さんが水中に降ろした透明度を測る直径30センチの円盤を見ながらつぶやく。普段の透明度は7メートル程度だという。一瀬さんは琵琶湖のプランクトンの観察を始めて07年で30年。約500種類が頭に入っている。観察のきっかけとなったのも、この間で最も驚いた出来事も、淡水赤潮の発生だ。
 「琵琶湖は貧栄養湖できれいとされてきたのに何で……」。赤潮の大発生が初めて確認された77年5月、一瀬さんは県立衛生環境センター(当時)に異動した直後。“異変”に世論は動揺したが、発生のメカニズムすら分からない。一瀬さんたちは黄色鞭毛(べんもう)藻「ウログレナ・アメリカーナ」がどんな状態で赤潮を作り、どうなれば消えるのか、基本的な部分から調べ始めた。瀬田川と大津市内の琵琶湖で、雨の日も風の日も毎日水を採取、ウログレナの個体数や水温などを記録するうちに、赤潮発生の仕組みが見えてきた。
 赤潮発生が持つ意味とは? 「赤いからみんな危機感を持ちますよね。黄色鞭毛藻が集まって、シグナルを出している。本当に大事なのは、どこからそれが出ているか」と一瀬さん。目に見える現象が警鐘を鳴らす。さらに、見えないところで起きる異変を察知することが重要だと言う。
 地道な作業の積み重ねで分かってきたことがある。「山で春にコブシ、秋にモミジが色づくような流れが琵琶湖にもある」。顕微鏡の中に琵琶湖の四季を見て、変化の兆しを読み取る。近年、出現するプランクトンの種類が減り、78〜82年には平均18種類だったのが、00〜04年は10種類。量が最も多い種は季節ごとに異なるが、90年ごろから規則性が崩れてきている。「夏と冬の幅がなくなってきた。(琵琶湖に)季節感がなくなっているというのかなあ」
 研究室に戻った一瀬さんはこの日も顕微鏡をのぞき、プランクトンの名前が入った表に記録を書き付けた。「BODや透明度などが良くなった半面、何か質が変わってきている。生物が発するメッセージを謙虚に受け止めることが必要。琵琶湖をもう一度考える、みんなが関心を持つようになる仕組みを作っていかないと」。琵琶湖の「気象台」を30年担ってきた一瀬さんの願いだ。【服部正法】
 ◇映画で訴える 「負の記録」で開発を問う−−映像作家・中島省三さん(66)=大津市
 「空から見た琵琶湖がしょうゆ色に染まっていた」。78年5月、琵琶湖全域に赤潮が広がった日に、中島省三さんは飛行機の操縦かんを握った。カメラを構え窓を開けると、上空150メートルにまで魚が腐ったようなにおいが漂う。飛行を終えるとすぐに、当時親交のあった記者に写真を送った。
 青年会議所に所属していた70年ごろには、琵琶湖と諏訪湖(長野県)を比較し、富栄養化問題に警鐘を鳴らす映画を制作。アオコが発生し、ペンキの中を船が走るような諏訪湖。当時はずっときれいだった琵琶湖の環境は、それから10年近くで悪化。83年にはアオコも発生し、「琵琶湖も諏訪湖のようになるのか」と衝撃を受けた。
 80年、初めて自主制作した映画「俺の見た琵琶湖」が完成。以来、琵琶湖をテーマに28の映像作品を撮り続けた。開発への静かなるアンチテーゼが底流にある。声高な批判や運動とも異なる、あくまで傍流から、しかし鋭く、投げかける疑問。「映画を作ったから、琵琶湖がきれいになるわけではない。むなしさもあるが、自分の意思と、現状とのギャップがあるからこそ、撮り続けてこられたのかもしれない」
 万人受けする商業作品ではないため、1本で1000万円近くかかることもある制作費の採算は取れない。家を売るなど財産をはたきながら、変化し続ける琵琶湖の「負の記録」を残し続けてきた。「貧乏暮らしに誇りをもっている。皆貧しくなることをどうして恐れるのか。自然の多様性とともに、人間も多様性を見失っているのでは」。そう訴える中島さんの作品に現れる琵琶湖は、美しい姿ばかりでも、汚れた姿ばかりでもない。そこに映るのは、「琵琶湖」という鏡に照らし出された人間たちの姿ではなかったか。
 「行政は施策をアピールするが、どれだけ環境を破壊してきたかは言わない。開発をしてきたくせに『環境先進県』はまやかしではないか」。そう批判しつつ、開発や文明を頭ごなしに否定するつもりはない。「文明の利点もある。しかし、『共存』はしょせんきれいごと。どこかで開発に折り合いをつけねば文明自体が滅びてしまう。今、我々は足元を見つめ直すべき時にいる」【高橋隆輔】
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 ◇嘉田知事インタビュー
 環境社会学者として30年間県内を調査してきた嘉田由紀子知事(56)に、赤潮発生から今に至る琵琶湖や人々の意識の変化、「海づくり大会」への思いなどを聞いた。【聞き手・服部正法】
 ◇湖底や外来魚、状況は悪化−−問題共有の場を
 −−赤潮の意味は?
 77年の秋から冬、農家を調査した際、「せっけんを使わなあかん」という話を聴いたが、私は当事者ではなかった。その後、琵琶湖研究所の研究員として、せっけん運動にかかわった人をインタビュー。県に話を持ち込んでも(肌荒れなど)女性の健康問題と相手にされなかったが、赤潮以後は琵琶湖の環境問題とつながったという話が興味深かった。家の中の健康問題が政策につながり、女性が元気になった。一方でリンを“悪者”にしてしまった。リンが一定の量を超えることが問題であって、ある意味でモノへの誤解を生んだ。
 赤潮は琵琶湖の「悲鳴」を社会問題化したが、暮らしからは遠い。そんなころ、運動をしていた人が「問題は川だよね」と言い始めた。80年代の川の見直しが始まり、せっけん運動を体験した女性が反応した。還元主義、物質主義だけで琵琶湖を見るのでなく「ホタルや魚がいてほしい」という見方を広げるのが私の仕事だった。
 −−琵琶湖の現状は?
 (状況は)悪化している。特に湖底。(硫黄酸化細菌の)チオプローカの出現や低酸素化。30年前から「琵琶湖の危機は湖底から」と議論してきたが、その状態に近づいており危険だ。さらにここまで増えた外来魚の問題。固有種や在来種は激減し漁業が危機的な状況になるなど、大変難しい問題に直面している。
 −−海づくり大会に期待するものは?
 見つめてもらわないといけない琵琶湖の問題を共有する場にしたい。国や県の施策が必要で、湖底の耕耘(こううん)や水草の除去、外来魚やカワウの駆除、稚魚の放流などにも引き続き取り組む。同時に県民一人一人の心に訴えていく手立ても必要。昭和30年代の状態を取り戻していくきっかけになるような大会にしたい。

■諏訪湖ワカサギ16日から規制 07/01/01 長野日報ネット版
 諏訪湖のワカサギは1月16日から3月末まで釣りや漁が規制される。1月中は土、日曜日以外の釣りを禁止、漁を週2日に制限し、2―3月は全面禁漁とする。春先の採卵に向けて資源を保護することを目的とした2季連続の措置だが、釣り客からは「今季は良く釣れている。数がいるのにどうして禁漁なのか」と疑問の声も上がっている。
 「ワカサギ釣りは冬の楽しみ。良く釣れて数もいるのに。釣りができなければ、自宅で“冬眠”するしかない」。岸釣りの客でにぎわう岡谷市の釜口水門付近。毎週末に訪れるという辰野町の会社員男性(51)は、禁漁を残念がった。
 諏訪湖漁協は昨秋、県や観光、釣り団体に禁漁を提案した。春には例年より多い22億の卵を諏訪湖に放流したが、「7月豪雨で相当量のワカサギが天竜川に流れ出た懸念もあり、抱卵した魚を保護する必要がある」と説明した。
 これに対し、観光、釣り団体からは「観光面での影響が大きい」「諏訪湖にワカサギがいないと思われる」と反対意見が続出。結局、当初は1月16日以降の禁漁を打ち出した漁協が、同月中の週末は釣りを解禁するなど譲歩して落ち着いた。
 禁漁を受け入れた観光関係者だが、不満は依然根強い。好調な釣果を裏付けるように、11月時点の県水産試験場諏訪支場の調査では例年並みの資源量、成長を示しており、「数が少ないとの理由で禁漁にするならば分かるが、今回はそうではない」との受け止めが目立っている。
 一方、03年のように資源量は十分だったものの、採卵が不調だった年もあり、「資源量と採卵量との相関は得られていない」(同支場)のが現状だ。漁協の中沢章組合長は「全体の数が少ないため、1匹当たりの餌が増え、成長が良くなっていることも考えられる。永続的に資源を利用していくためにも禁漁が必要だ」と理解を求めている。
 同支場によると、12月時点の資源量は2130万尾で過去10年で最も少なかったが、「接岸してカウントできないワカサギもいる。11月調査の結果から資源量は例年並みにあるだろう」という。

■湖はどこへ:赤潮発生30年後の琵琶湖/1 湖底で何が 07/01/04 Mainichi Interactive滋賀
◇深層水に変化の兆し−−謎の物質「メタロゲニウム」、新たな調査項目に
 昨年12月の琵琶湖北湖。波に揺れる実験調査船「はっけん号」の船上で、県琵琶湖・環境科学研究センターの職員たちが定期観測をしていた。水深別に水質を把握したりする調査だが、最近は新たな調査項目が加わった。筒型の採水器を湖底まで下ろし湖底表面の泥も採集する。「メタロゲニウムを調べるためなんです」。同センターの一瀬諭・環境生物担当専門員が言った。
 メタロゲニウムは20マイクロメートル程度の大きさの微粒子。マンガン酸化物の構造体だが、微生物なのか他の物なのかも不明の謎の物質だ。琵琶湖では02年10〜12月、北湖の深層の広い範囲で目立って観察されるようになった。湖底の泥の表面でマンガンが酸化し沈降するというメカニズムが、湖底付近の低酸素化の進行によって機能しにくくなり、発生につながっているのではないかとも推測される。
 琵琶湖北湖の低酸素化が長く指摘されてきた。91年には低酸素状態で発生するとみられる硫黄酸化細菌「チオプローカ」が北湖の湖底で国内で初確認された。04年冬には深層の水中の酸素(溶存酸素)が通常の8割程度しか回復しない状況も観察されるなど、進行を懸念する声が高まっている。一方、メタロゲニウムは05年夏には深層の酸素がある程度含まれる場所でも多く見られたり、冬期に大量に観察されることもあるなど、発生の傾向を少しずつ変化させながらすっかり“定着”してしまった。湖底付近で何が起きているのか。
 市民、学生らによる「20年目の琵琶湖調査団」(団長、石田紀郎・京都学園大教授)の03年の調査で、南湖の湖底泥中の窒素が85年から約20年間で約1・5倍となったことも判明。湖底に栄養塩が蓄積していることをうかがわせる結果となった。さらに深層水にも変化の兆しがあるようだ。
 同センターの熊谷道夫・琵琶湖研究部門長が、県水産試験場や同センターの観測データを精査し、北湖の水深80〜90メートルの水中の栄養塩「リン酸態リン」と「硝酸態窒素」の濃度の経年変化を分析した。リンは70年ごろまで、窒素は55年ごろまではほぼゼロ。ところがいずれもその後は右肩上がりで、リンは最近30年で2〜3倍程度、窒素は50年で5倍程度になっている。
 77年の淡水赤潮の大発生を契機に琵琶湖の富栄養化が注目され、県民、行政ともに琵琶湖の環境保全の機運が高まって、さまざまな対策が取られてきた。琵琶湖の富栄養化は収まり今では「横ばい」とされているが、深層の半世紀の変化に着目した熊谷さんのまとめでは、湖底付近での栄養塩の堆積(たいせき)を感じさせる。地球温暖化の影響で、表層と深層の水の循環が不完全になっている可能性を指摘する熊谷さんは「湖水の全体が混ざり、深水層でも酸素を回復するという琵琶湖のこれまでの状態が、混ざりあわないというこれまでと違う姿に変化している途中なのかもしれない」と危ぐを深めている。【服部正法】
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 琵琶湖で淡水赤潮が大発生してちょうど30年。琵琶湖の環境はどのような課題を抱えているのか。現状を報告する。

■湖岸でグルメ、装い一新 浜大津の観光活性化へ「実験」 07/01/04 京都新聞電子版
 大津商工会議所や大津市などは大津市の浜大津地区の観光活性化を図るため今年、琵琶湖岸でオープンカフェやレストランの設置に乗り出す。琵琶湖岸は、河川法などで占用や商業利用が制限されているが、実験的に取り組む予定で、実施主体となる産学官の協議会設立を目指す。
 オープンカフェなどの設置が計画されているのは、大津港から琵琶湖ホール、大津プリンスホテルにかけての湖岸。飲食店舗のほか、挙式ができる教会などの施設も検討されている。店舗数や面積などは未定だ。
 琵琶湖岸にオープンカフェなどを設ける計画は、大津市の浜大津観光協会が2005年6月末、国の構造改革特区制度に提案した。国は、国土交通省が04年度から実施している社会実験の制度を利用して実現が可能という見解を示した。
 それを受け、同観光協会や大津商工会議所は、河川管理者の県や、なぎさ公園の管理者である市にオープンカフェなどの設置を認めるよう要望。06年12月中旬には同会議所の幹部と大津市、滋賀県の担当者計10人が、05年秋から川沿いでオープンカフェが営業している広島市を訪れた。
 大津市は「市が管理するなぎさ公園内ならば、積極的に支援したい」としており、協議会が設立されれば、設置場所の利用計画を策定し、オープンカフェなどを営業する出店者の募集や選定、地元住民との調整を行う。
 大津商工会議所の宮崎君武会頭は「なぎさ公園一帯から見える琵琶湖の風景は素晴らしく、多くの集客が見込める。地域の活性化につなげたい」と話している。

■湖はどこへ:赤潮発生30年後の琵琶湖/2 難分解性有機物 07/01/06 Mainichi Interactive滋賀
◇蓄積、下水処理水に由来?−−魚に合う「水質改善」へ、汚濁メカニズム解くカギ
 琵琶湖の水質悪化が社会問題化して以降、県はさまざまな対策に取り組んできた。「琵琶湖富栄養化防止条例」で有リン合成洗剤の使用などを禁じ、リンや窒素の排出を規制。事業所などの排出も厳しく規制し、積極的に整備を進めた下水道ではリンや窒素の高度処理を導入してきた。流入による環境負荷は低下し、70〜80年代をピークとして、その後の水質悪化はおおむね抑えられたはずだった。しかし、琵琶湖を長年見つめてきた研究者や漁師らから、数字上の「水質改善」には理解を示しながらも「(水の)質が変わってきている」「魚に合わなくなっている」などという声がが聞こえてくる。
 よく指摘される二つのグラフがある。琵琶湖のBOD(生物化学的酸素要求量)とCOD(化学的酸素要求量)の経年変化だ。いずれも水中の有機物の量、つまり水の汚れを示す環境指標で、BODは水中の有機物を微生物が分解する際に消費する酸素量を表す。一方、CODは水中の有機物を酸化剤で酸化させる際の消費量を示す。二つの指標は同じ傾向を示すのが普通だが、琵琶湖では保全対策の結果、両指標とも低下してきたものの85年ごろを境に、CODが上昇傾向に転じた。このBODとCODの“乖離(かいり)現象”が長く謎とされてきた。
 COD値の上昇は、霞ケ浦、十和田湖や富山湾などでも見られる傾向。生物が分解できる有機物が減っている一方で、分解が難しい「難分解性有機物」が蓄積している可能性が考えられ、県は最近になって特にこの物質に注目している。これまでさまざまな対策を講じてきたのに、必ずしも環境が改善したとは言えない状況を解く、有力なカギと考えているようだ。
 昨年11月15日に開かれた県議会の環境対策特別委。湖沼における難分解性有機物研究の第一人者の今井章雄・国立環境研究所(茨城県つくば市)湖沼環境研究室長が参考人として招かれた。今井室長は霞ケ浦で行ってきた研究内容を説明。溶存態の難分解性有機物を調べた結果、霞ケ浦では同有機物の相当部分が下水処理水に由来しているとの結論を得たことなどを報告した。
 琵琶湖でも、下水の影響が大きいのかどうかは未解明だが、今後の大きな問題提起になることは考えられる。実際、「琵琶湖を本当に良くするには、下水を流入させないことが必要なのでは」と語る研究者もいる。
 湖の保全のモデルともされるタホ湖(米)では60年代前半ごろ、処理水を湖に流入させる下水道計画が予定されたが、処理水を研究者らが調査して湖への汚濁負荷となることを証明。計画が変更されたエピソードが知られている。
 難分解性有機物を通じて、琵琶湖の汚濁メカニズムの未解明部分を探る作業は、従来の保全対策の転換点になるかもしれない。

■現場目線の研究者からの報告〜書評「自然産業の世紀」 07/01/06 JanJan
 正月に読んだ「自然産業の世紀」(創森社・アミタ持続可能経済研究所編)には考えさせられた。なにしろ、京都にあるこの民間研究所は、自らをシンクタンクと呼ばない。「現場主義を貫き行動するシンクタンク」だとして、「ドゥタンク」と称している。
 「人類はどこから来て、どこに行くのだろうか」という壮大なテーマを掲げて、持続可能な社会とは何かを徹底して論理的に実践的に追求する、そんなドゥタンクなのだ。設立は2005年7月。京都市上京区室町道にある築150年の京町屋に研究所を構えている。
 本の中身を紹介する。琵琶湖では、外来魚のブラックバスが幅を利かせている。ルアーでのバス釣りファン(バサー)に分け入って、市民らで構成する「外来魚バスターズ」が、スズキのエビまき釣りを応用してブラックバスの大物をどんどん釣り上げる。バサーたちは釣りの魚信を楽しんでまた湖に放す(C&R=キャッチ・アンド・リリース)。バスターズたちの楽しみは駆除だ。バスの大物が駆除され、制圧力が失われると、在来魚のフナを中心とするコイ科の中型魚が勢力を取り戻し、ブルーギルや小型のバスを駆逐する。だから、湖の生態系を守るためには、大物バスをまず釣り上げ駆除する必要があるのだ。
 バスを湖に放流したのは誰か。琵琶湖と言わず、日本中の湖沼にバスが放たれた。バス釣りブームが起き、もうけた者たちがいる。そして05年6月に外来生物法が施行され、バスはその1次指定種となる。なぜ法律までつくらなければならなかったのか。「密放流の上に成立したブラックバス釣り産業の問題だ」と断じる。話は駆除のためのエコマネーへと展開していく。実は03年から3年計画で行政が予算をつけ、実際にエコマネーが実施される。するとホームレスの人々が琵琶湖に来て、簡単な釣り竿とミミズをエサに外来魚を釣りまくる「意外な活躍を見せた」と紹介している。
 内容は生態系にまつわる事例から、衣料にも及ぶ。京都のある「裁縫カフェ」の話から、オーガニック・コットンの話が展開される。コットン(綿)は栽培に大量の農薬と化学肥料を使い、さらに製品加工に蛍光増白剤などの化学薬品を使用する。この量が半端ではない。しかし、少々コストはかかるが、農薬を使わない栽培方法が進んでいる。スポーツ衣料の最大手・ナイキもこのオーガニック・コットンを採用し、10年までにすべての綿製品をオーガニックに切り替えるという。もう綿衣料の国際的なトレンドは決まっているのだ。
 ところで、タイトルにある「自然産業」とは何か。今の日本の自然資源を長く、継続的に利用して発展させるさまざまな経済活動を定義する。アジア・モンスーンの恵まれた気象環境の中で、農薬を散布しない安心で安全な米作りを、我々の先祖は何千年にもわたってしてきたではないか。そんな風に本は読者に語りかける。
 研究所が出版した本というと「机上の物語」の印象が強く、すぐ飽きがくる。しかし、ドゥタンクを目指すだけあって、本の記述は現場目線に徹していて具体的、かつ面白い。話の切り出しはローカルのネタながら、論理の展開はグローバルに広がっていく。(宇野文夫) 【服部正法】

■1月で最も強い風 彦根市 滋賀県各地 強風と雪 07/01/07 京都新聞電子版
 滋賀県内は7日、強風と雪に見舞われた。彦根地方気象台によると、彦根市内で1月の観測史上、最も強い最大瞬間風速27・2メートルを記録した。
 大津市におの浜2丁目の市街地では、昼すぎまで吹雪が続いた。市民は横殴りの強風と雪を傘で防ぎながら、足早に通り過ぎた。1−3センチの雪が積もり、足下に注意しながら歩く人もいた。
 同気象台によると、冬型の気圧配置となり、北海道上空の低気圧から寒気が流れ込んだため、県内も強い風と雪になった。大津市の最低気温は0・6度で、前日より4・3度低かったが、平年並みという。
 余呉町中河内の積雪は午後6時現在、30センチとなっている。

■湖はどこへ:赤潮発生30年後の琵琶湖/3 水草 07/01/07 Mainichi Interactive滋賀
◇異常繁茂で問題山積−−追いつかない刈り取り除去、付加価値見いだし解決へ
 昨年夏から初秋にかけての琵琶湖南湖。大津市の膳所城跡公園付近の沖合は、水面を覆い尽くした水草によって一面に「浮島」が広がり、その上を水鳥が歩くような光景が広がっていた。
 94年の大渇水を機に一気に繁茂したとみられる水草だが、ここ数年の夏場は特に多い状況だ。南湖の水草は戦前も繁茂していたと言われているが、県立琵琶湖博物館の芳賀裕樹・主任学芸員らが過去と現在の記録を精査したところ、水草の現存量(乾燥重量)は多かった1936年が約4000トン。50〜70年代にかけては500〜800トン程度と少なく推移し、94年を境に増加。02年には約1万700トン(誤差はプラスマイナス約3000トン)と過去最大となり、分布面積は南湖全体の4分の3に近い43平方キロとなったことが判明した。
 水草は魚類の産卵、生息場所となり生態系には重要だが、近年の異常繁茂は、船の航行を妨げたり、成長とともに切れて浮遊する「流れ藻」が吹き寄せられて湖岸周辺を埋め尽くし、悪臭を放つなど、多くの問題を引き起こす。住民や漁業者、市町からの要請を受けて、県は水草刈り取り機で除去しているが、解決には至らない。
 「負」の側面の一方で、水草繁茂は著しい透明度の向上という、プラスの影響をもたらしているとみられる。南湖は水深が平均4メートル程度。これまで2メートル程度だった透明度が最近では、湖底近くまで見えるほどだという。植物プランクトンの生育に必要な窒素やリンなどの栄養塩類を、水草が奪うことでプランクトンの量が減ることが原因と考えられる。
 しかし最近、さまざまな問題が浮かび上がってきた。県琵琶湖・環境科学研究センターの一瀬諭・環境生物担当専門員らの研究では、浮遊する「流れ藻」が種類によっては大量の窒素やリンを水中に放出している可能性があると分かった。
 さらに、芳賀さんらの研究では、水草の量が多い場所で湖底付近の水中の酸素(溶存酸素)の濃度が低下する傾向があることが判明した。琵琶湖でこれまで問題とされてきたのは、最大水深約104メートルと深い北湖での溶存酸素濃度の低下。浅い南湖は心配はないと思われてきたが、水草の異常繁茂が水の流れを停滞させ、酸素が回復しにくくなっている可能性がある。また、水域によっては水の停滞でアオコが発生しやすくなっている可能性も指摘される。
 県は今年度、水草問題の作業部会を立ち上げ、これまでの研究成果の整理・活用に乗り出した。昨年9月には大津で市民参加の水草刈り取りイベントを開き、意識啓発を図った。問題解決への課題の一つは「刈り取った後、どうするか」。現在は刈り取り後に乾燥させて農地に還元するが、新たな有効利用法の模索が始まり、03年度からバイオガス燃料や土壌改良材としての製品化の研究が、今年度からは除草剤などへの活用研究がそれぞれ進められている。
 水草に「付加価値」を見いだして問題解決につなげようという方向が実を結ぶか。取り組みは緒に就いたばかりだ。【服部正法】

■湖はどこへ:赤潮発生30年後の琵琶湖/4 外来魚 07/01/09 Mainichi Interactive滋賀
◇生態系回復へ模索続く−−駆除本格化で減少傾向
 「今年は湖北地方でスジエビが随分捕れているようですね。竹生島のあたりでは、私も実際に見てみましたがすごい数でした」。県の外来魚駆除担当者は言う。
 スジエビはブラックバスやブルーギルなどの外来魚が好んで捕食することから、近年漁獲が減少を続けてきた。しかし、湖北地方を中心に今年は「よく捕れた」という漁師の声が多い。これまでの減少要因が外来魚であること、産卵期に配慮した水位操作や稚魚の放流など生態系回復の施策の影響が比較的表れにくい湖北地方が中心の変化であることなどから、外来魚駆除の影響が大きいとみられている。
 県の外来魚駆除事業は02年ごろから本格化。06年春の外来魚の推定資源量は1700トンで、04年の1900トンから2年続けて100トンずつ減少するなど、効果は上がっているようだ。しかし、動物愛護的な視点などからの批判も根強い。
 外来魚問題に取り組む琵琶湖博物館の中井克樹・主任学芸員は「生態系は、地域に固有の生物の組み合わせで、将来まで残り続けるという歴史の『お墨付き』をもらったもの。それがグローバリゼーションの中で画一化していく流れがあり、待ったをかける必要がある」と、駆除の根拠を説く。琵琶湖は世界で4番目に古いとされる古代湖で、豊かな生物多様性をはぐくんできた。本来琵琶湖にしか生息しない固有種も多く、現代人の娯楽や開発によって生態系を損なうことは簡単に許されることではない。
 もし今、回復の手を打たなければどうなるのだろう。中井学芸員は「最近はブラックバスが減り、ブルーギルが増えている。ブルーギルはブラックバスよりも餌とするものの範囲が広く、在来種の魚が減った現在の琵琶湖でも、さらに増えていく可能性がある」と分析する。
 しかし、厳しい県の財政状況の中、駆除に充てられる予算はピーク時より既に減少している。また、駆除が進むほどに、効率的に駆除するための新たな工夫が求められる。県水産試験場では外来魚の生態解明の実験を行い、駆除に役立つデータを蓄積。県水産課を通じて駆除に取り組む漁師に助言している。同試験場は効果的な漁具の開発や、繁殖抑制の方策にも意欲を見せる。
 「命を奪う以上、正当な理由が必要。この状況を作ったのは人間で、原因者として回復する責任があるのではないか。それぞれの命との距離感をうまくとり、状況に応じて厳しく生殺与奪の判断をしていかねばならない」と中井学芸員は言う。
 外来魚は今、琵琶湖の生態系を圧迫している。しかし、外来魚という“悪者退治”だけでは生態系は回復しない。外来魚駆除を考えることを通じ、我々人間の日々の営みを省みることが必要ではないか。【高橋隆輔】

■湖はどこへ:赤潮発生30年後の琵琶湖/5止 水位操作 07/01/10 Mainichi Interactive滋賀
◇試行錯誤で卵を守る−−魚の大群回復へ、湖岸の整備も
 琵琶湖から水が流出する唯一の河川、瀬田川の流量を調節する瀬田川洗堰(あらいぜき)は南郷洗堰と交代する形で1961年に完成した。琵琶湖辺や下流地域を水害から守り、渇水時には琵琶湖の水位低下を防いでいる。洗堰の開閉操作を受け持つのが国土交通省琵琶湖河川事務所。第一義的な役割は水害を防ぐための水位調節だ。
 92年以降、操作上の大原則となっているのは、毎年6月16日に基準水位より20センチ低い水位を作ること。梅雨や台風などでの水位の急激な上昇に備えるための措置だが、この操作は琵琶湖の生態系にも少なからず影響を与えている。
 ホンモロコ、ニゴロブナなど固有種を含む在来のコイ科魚類は▽水温が高く酸素が豊富▽恒常的な水域でないため天敵が少ない−−などの理由から、水位が上昇した水域を産卵場所として好む。しかし、コイ科魚類の産卵期にあたる4〜6月は水位上昇を防ごうとする時期。せっかく生まれた卵が水位操作によって乾燥し、ふ化できなくなる現象が多発してしまう。
 03年から操作法の試行錯誤や継続監視を行った末、同事務所は産卵、ふ化の時間を確保するため、自然に水位が上昇してから7日間、水位を維持する手法にたどり着いた。06年は放流量を増やすほどの急激な水位上昇が少なかったこともあり、高島市新旭町針江の湖岸で調査した結果、干上がった卵は全体のわずか1・6%だった。
 自然条件に左右されるとはいえ、卵を殺さない水位操作法がほぼ確立されたといえる。同事務所河川環境課の佐久間維美課長は「現在の課題は水位低下に伴って孤立する水域で仔魚(しぎょ)が死んでしまうのを防ぐこと」と次のステップについて語る。この現象は夏場の水の使用量の増加や晴天続きによっても起きるため、洗堰の水位操作だけで解決できるわけではない。
 05年から、同事務所や地元NPOなどが中心となり、「うおじま」と呼ばれる産卵に向かう魚の大群を回復させようという「高島市うおじまプロジェクト」が展開され、さまざまな湖岸の環境整備が進められている。その一環として、産卵・ふ化の期間だけ、琵琶湖への流入河川に堰を設けて孤立しやすい水域に水を流し、干上がることを防ぐ仕組みが同市新旭町の針江や深溝の琵琶湖岸に作られた。休耕田と行き来する魚道の整備、ヨシ帯の保護などの取り組みも併せて進め、休耕田に絶滅危惧(きぐ)種の固有種スジシマドジョウが泳ぎ始めるなど、早くも成果が見られる。
 このような転換には97年の河川法改正で、河川の管理目的として環境の整備や保全が加えられたことが大きい。佐久間課長は「環境問題への対処は分からないことだらけで、まず試し、その変化をとらえて進めていく必要がある。基本的に過去のデータに基づいて進める土木に、環境という視点が加えられたことで、今後大きく変わってくるだろう」と話す。
 人間生活を便利にするため、土木技術は歴史とともに発達してきた。そのあまりに急速な発展が、近年、自然に打撃を与えた側面もあったが、時代の要請が変化することに伴い、土木事業のあり方も確実に変化してきている。【高橋隆輔】=おわり

■ブラックバス食べちゃおう 飯能で2月3日 捕獲後、調理法を伝授 07/01/10 WEB埼玉
 飯能市下名栗の名栗湖(有間ダム)で二月三日午前十時から、外来魚種であるブラックバスを刺し網で捕獲し、調理法を学ぶイベント「一日猟師〜ブラックバスをたべちゃいました〜」が開かれる。
 冬のエコツアーシリーズの一環。生態系などについて考えるのが狙い。埼玉漁業協同組合連合会の矢澤元啓さんをガイドに、捕獲したブラックバスを、名栗カヌー工房で天ぷら、フライ、くんせいやムニエルなどに調理して試食するという。
 参加費八千円(ガイド料、昼食費、カヌーレンタル代、保険料)。定員は十五人(申し込み順)。タオル、雨具、着替え、防寒服持参。宿泊希望者には近くの民宿を紹介する。申し込み、問い合わせは名栗カヌー工房(TEL042・979・1117)へ。

■琵琶湖の南湖再生へスクラム 滋賀県や国など プロジェクト本格始動 07/01/11 京都新聞電子版
 琵琶湖の南湖の再生に向け、滋賀県や国、大津市などが連携して湖岸域の環境整備や水草の繁茂対策などの課題に取り組む「南湖再生プロジェクト」が本格的に動き出した。琵琶湖固有の在来魚が豊富に生息する「琵琶湖のゆりかご」を将来像に掲げ、事業化を目指す。
 このプロジェクトは、近畿6府県や国などでつくる「琵琶湖・淀川流域圏の再生協議会」が2005年3月、国の第六次都市再生プロジェクトを受けて策定した再生計画の1つ。
 南湖で近年、問題となっている漁獲量の減少やヨシ帯の保全、外来魚の繁殖、水草の異常繁茂などを解決するため、県や大津市のほか、水産庁、国交通省近畿地方整備局、農水省近畿農政局、水資源機構が昨年12月中旬にワーキンググループを発足させ、具体的な課題の検討に入った。
 事務局の近畿地方整備局琵琶湖河川事務所によると、従来は関係機関の間に「管轄区間の壁」があり、琵琶湖の課題について各機関が個別に対応してきた。このため、ワーキンググループで各機関の事業内容を調整し、有効な対策については、国の08年度予算の概算要求で事業化を目指すことにした。琵琶湖河川事務所の河村賢二所長は「一体となった取り組みで効果的に成果を出し、ニゴロブナやホンモロコが安く供給できる湖に再生させたい」と話している。

■淀川水系整備:「瀬田川洗堰の全閉解消」訴える−−琵琶湖対策特別委で知事 07/01/10 Mainichi Interactive滋賀
◇あす河川整備検討小委での発言説明
 県議会の琵琶湖淀川水系問題対策特別委員会が10日開かれた。淀川水系の整備方針を話し合う国の社会資本整備審議会河川分科会の河川整備基本方針検討小委員会が12日に1年2カ月ぶりに開かれることになったことを受け、県議が同検討小委の委員の1人となる嘉田由紀子知事の姿勢などを尋ねた。嘉田知事は従来、県が主張してきた瀬田川洗堰(あらいぜき)の全閉解消を同小委で訴えることなどを説明した。
 同小委は、長期的な河川の整備基本方針の作成に際し意見を述べる機関。県側は特別委で、これまでの検討小委の開催状況や審議内容などを報告。嘉田知事は12日に出席した際に述べる予定の内容を示した。【服部正法】

■彦根市漁連・職務強要:元会長を背任容疑で再逮捕 漁連名義で小切手振り出す 07/01/10 Mainichi Interactive滋賀
 彦根市漁連の元会長らによる職務強要事件に関連し、県警捜査2課と彦根署は10日、同漁連元会長の藤野清被告(69)=職務強要、恐喝罪などで起訴=を背任容疑で再逮捕した。
 調べでは、藤野容疑者は彦根市内の銀行からだまし取った同漁連名義の小切手帳を利用し、05年9月下旬と10月初旬の2度、広島県内の会社に同漁連名義で総額1億3000万円の小切手を振り出した疑い。
 調べに対して、藤野容疑者は「間違いありません」と容疑を認め、酵素を利用した水質浄化を掲げるこの会社と共同で「水質浄化のプラント事業を進めるための契約金にしようとした」と供述しているという。【豊田将志】

■FRP再利用で小型船を解体 愛荘町の産廃工場で始まる 07/01/11 京都新聞電子版
 レジャー用船舶メーカーでつくる日本舟艇工業会は、ガラス繊維強化プラスチック(FRP)でできた小型船舶のリサイクルシステムを昨年10月、関西地方で立ち上げたのに伴い、11日から滋賀県愛荘町の産廃処理工場で船の解体作業を始めた。今後は京都、滋賀で廃船となるFRP製の小型船(全長15メートル未満)はすべて同工場で処理し、その後セメントの原料などに再利用する。
 ボートなどの廃船は、これまで船の所有者が産廃業者などに依頼して処理していたが、一部が不法投棄され、問題となっていた。同工業会は、資源循環や不法投棄防止を目的に、2005年11月から九州や中国地方などで同システムを始動。昨年10月からは運用地区を関西を含む29府県に拡大した。
 リサイクルには、船の大きさによって約3−25万円の料金と運搬費用がかかる。京都、滋賀では、昨年10月から受け付けを行い、12隻の申し込みがあった。この日は、エンジンなどを取り外したボートの船体を、破砕機で1メートルほどの破片に砕いた。
 同工業会リサイクル運営部会は「今後は、自治体と協力して、不法投棄されたFRP船もリサイクルしたい」としている。

■2業者にボート撤去命じる 滋賀県、琵琶湖岸の不法占用で 07/01/11 京都新聞電子版
 滋賀県は11日、琵琶湖岸を不法に占用しているとして、貸し船業などを営む大津市雄琴5丁目の2業者に対し、河川法に基づいて、モーターボートなどを来月12日までに撤去するよう命じる監督処分を行った。
 監督処分を受けたのは、「オーシャンクラブ琵琶湖」(海周直人代表)と「ジェニーマリン」(樋上陽堂代表)。
 県によると、2業者は県知事の許可を得ず、2000年から営業を始め、約1700平方メートルの土地に浮桟橋などを設け、ジェットスキー35台やモーターボート8隻などを置いている、という。

■不法占用で撤去命令 琵琶湖岸 県がマリーナ2業者に 07/01/12 Chunichi Web Press滋賀
【湖南】琵琶湖岸を不法に占用しているとして、県は11日、河川法に基づき、大津市雄琴のマリーナ業者「オーシャンクラブ琵琶湖」と「ジェニーマリン」に撤去命令を出した。
 県琵琶湖不法占用対策室によると、2業者は河川法の許可なく、水上バイクやモーターボート、門扉、土間コンクリートなどを設置して約1700平方メートルを占用している。
 県は、2業者が営業を開始した2000年1月以来、これまでに5回、文書による指導や警告を行ってきた。しかし、是正されないことから、撤去命令を出した。
 命令に基づく撤去の期限は2月12日まで。原状回復が認められない場合は、県は行政代執行に基づく処分に踏み切る方針。
 県は昨年9月、同じように湖岸を不法占用していた大津市荒川のマリーナ業者の施設を行政代執行で初めて撤去した。(本安幸則)

■琵琶湖岸不法占用:2業者に船舶や桟橋撤去命じる−−県 07/01/12 Mainichi Interactive滋賀
 琵琶湖岸を河川法の許可を受けずに不法占用しているとして、県は11日、大津市雄琴5の二つのマリーナ業者に対し、船舶や桟橋などを撤去するよう命じる監督処分を行ったと発表した。履行期限の2月12日までに撤去されない場合、行政代執行の対象となる。
 県によると、2業者は00年1月ごろから現地でマリーナ業を開始し、計約1700平方メートルを許可なく占用、これまで計5回にわたり文書で指導・警告をしてきたが是正されていないという。【服部正法】

■瀬田川洗堰の全閉見直し 国交省提案 07/01/12 Yomiuri On Line関西発
◆淀川決壊防止、100年来の規則
 大阪や京都を河川のはんらんによる水害から守るため、琵琶湖からの放流量を調節する瀬田川洗堰(あらいぜき)(大津市)を豪雨時に全閉すると定めた操作規則について、国土交通省は「撤廃」の方針を固め、12日午前、東京で開かれた国交相の諮問機関「淀川水系河川整備基本方針」検討小委員会で明らかにした。全閉操作は1896年(明治29年)に明治政府が定めたもので、見直しは滋賀県側にとって1世紀余に及ぶ悲願。国交省は当時より河川整備が格段に進んだことに加え、「洪水のリスクを流域全体で分担すべき」との考えから規則撤廃の方針を固めた。小委員会の論議を経て最終的な対応が決定される。
 全閉操作は大阪府枚方市の淀川の基準点の水位が基準を3メートル超えた場合などに行われる。実際の操作は戦後だけでも計7回行われた。湖岸で度々浸水被害が出ており、滋賀県は「下流の安全が県民の一方的な犠牲の上に成り立っている」として規則撤廃を国に要請してきた。
 国は従来、下流の堤防決壊を防ぐには全閉は必要との立場だったが、瀬田川の洗堰下流部分の河川改修が進んだ現状などを踏まえ、規則は不要と判断した。
 ただ、従来の治水計画は全閉を前提としており、今後、洗堰下流の河川については堤防強化などのさらなる対策が必要となる。規則が撤廃されても決壊の恐れが強まった場合には全閉することもある、という。
 この日の小委員会では、地元委員として参加した嘉田由紀子・滋賀県知事は「県民の長年の願いをくみ取っていただいた」と評価し、大阪府の代表も「基本理念に賛同する」と述べたが、京都府の代表は「慎重に取り扱うべき」と難色を示した。

■流域6府県、治水で協力 安全度向上を確認 洗堰全閉撤廃 07/01/13 京都新聞電子版
 国土交通省が12日、洪水時に瀬田川洗堰(大津市)を閉め切る「全閉操作」を撤廃し、琵琶湖周辺など一部地域の犠牲を前提とした治水対策から、流域全体でリスクを分担する方向に転換する基本理念案を示したことについて、滋賀県や京都府など流域の2府4県は、流域全体で治水安全度の向上を目指す方向性に異論がなかった。ただ、下流の宇治市は「宇治川の治水がどうなるか見えてこない」と懸念を示した。
「天ケ瀬ダム危機的状況も」 宇治市は懸念
 「全閉操作」の撤廃方針については、滋賀県が明治時代から求めている。嘉田由紀子知事は「人為的な水がめとして扱われてきた琵琶湖がようやく自然の湖と認められた。歴史的な1日」と評価。全閉解消を河川整備基本方針に明記するとともに、宇治川の改修など下流の条件整備を進めるよう訴えた。
 京都府は「(堰を開ける)程度によっては、これまでの治水対策との整合性が取れなくなる可能性もある」と指摘し、水系全体の治水対策への影響を十分検討するよう求めた。
 一方、宇治市は「(大津市内の)大戸川ダムをつくらないまま全閉操作が撤廃されれば、(宇治川上流の)天ケ瀬ダムは危機的な状況に陥る」と、国交省の方針に不信感を示した。
 川幅が狭い桂川の保津峡(京都府亀岡市)、木津川の岩倉峡(三重県伊賀市)の開削を「極力行わないことが望ましい」とした国交省の見解については、京都府が「ダムなどの治水対策はいずれも保津峡の開削が前提。洪水被害を繰り返し受けた地元には受け入れがたい」と難色を示した。

■知事「歴史的な転換」 07/01/13 asahi.com滋賀
【瀬田川洗堰の全閉操作撤廃へ】
 洪水になった時、琵琶湖から下流の京都、大阪を水害から守るために定められた瀬田川洗堰(あらい・ぜき)(大津市)の「全閉操作」規則が今後、見直されることになった。「歴史的な転換です」。ほぼ1世紀の間、揺るがなかった規則の見直しを12日、国土交通省が表明し、嘉田由紀子知事は手放しで喜んだ。淀川水系の治水は、上下流域全体で考えるという方針に沿って、「全閉操作」の規則撤廃が実現に向けて大きく動き出した。
 この日、国土交通相の諮問機関、社会資本整備審議会の河川整備基本方針検討小委員会が同省で開かれた。淀川水系についての論議は4回目。この席で、同省が基本方針を策定するための基本理念案を示した。
 同省側は、洗堰の上流と下流を分離した治水システムになっている現状を見直し、「かつては琵琶湖から常に流れ出していたことにかんがみ、洗堰の全閉操作は行わないこととする」と同案に明記。ただし、下流域で堤防が決壊する恐れがある場合は、放流制限や全閉操作をするとした。
 また、湖岸の約1万6500ヘクタールが浸水した1896(明治29)年の洪水に対応するハード、ソフト両面の対策を取ることも明示。このほか、琵琶湖固有種の魚が産卵できるよう、生態系を考慮した水位調整を図ることなどが盛り込まれた。
 委員会に出席した嘉田知事は「101年間の滋賀県民の思いをくみ取っていただいた」と全閉操作の見直し方針を評価したうえで、策定を目指している河川整備基本方針に明記するよう要望。また、「琵琶湖はダム湖ではなく、生きた水系の心臓部。上流、下流が助け合い、命と暮らしを守る運命共同体となる施策が必要だ」と述べた。
 基本理念案には、流域全体で洪水時の負荷を軽減するため、ダムを含めた対策を取ることも明記された。国交省は05年、丹生ダムの規模縮小、大戸川ダムの中止方針を表明したが、同省は「ダムの規模縮小、中止の方針は20〜30年の計画であり、百年の計となる基本方針とはビジョンが違う」とした。

■きれいな琵琶湖「ヨシ刈り」で守ろう 守山 市民120人が参加 07/01/14 京都新聞電子版
 水質保全などに大きな役割を果たすヨシ原を守ろうと、滋賀県守山市今浜町のなぎさ公園で14日、市民ボランティアによるヨシ刈りが行われた。参加者はかまを手に、枯れて茶色くなった湖岸のヨシを根元から刈り取っていった。
 春にヨシの芽吹きを促すため、守山市の琵琶湖岸の企業などでつくる「守山湖岸振興会」が呼び掛け、市民120人が参加した。長靴をはいて約2000平方メートルのヨシ原に入った参加者は、高さ3メートルにもなるヨシの根元をつかみ、かまで丁寧に刈り取った。
 2時間ほどで作業を終えると、ヨシが百束近く積み上がった。同振興会の太田眞事務局長(56)は「春には元気に芽吹いてほしい」と話していた。
 刈り取ったヨシは近くのみさき公園で乾かし、5月に行う環境イベントでヨシ笛や和紙づくりの材料として活用する。

■諏訪湖ワカサギ16日から規制 2−3月は全面禁猟 07/01/14 長野日報ネット版
 諏訪湖漁協(中沢章組合長)は16日から、諏訪湖のワカサギ釣りや漁を規制する。今春の採卵を前に資源を保護する目的。31日まで土、日曜日以外の釣りを禁止とし、漁は週2日に制限する。2―3月は全面禁漁とする。
 諏訪湖のワカサギ禁漁は2季連続。昨季は年明けから実施したが、「小正月までのレジャー需要に配慮した」(漁協)として、開始時期を1月中旬に移した。さらに観光団体の反対を受け、同月中は週末に限って釣りを解禁することにした。
 結氷時は安全面も考慮し、釣り、漁を禁止。結氷したとの判断は、県と漁協、諏訪湖釣舟組合の3者で行う。規制は昨季と同様に採卵終了時点で解除する。
 一方、県は、採卵河川の上川、砥川の河口部分で、遡(そ)上に影響が出ないよう、堆積土砂のしゅんせつ作業を進めている。漁協の採卵は2月に始まるため、今月下旬には終了させる予定だ。

■「保護、釣り両立は可能」 アカメ愛好家が会議 07/01/15 高知新聞ネット版
 県の絶滅危惧(きぐ)種に指定され、今後、捕獲禁止となる可能性もある魚、アカメ。こうした状況に対し、釣りと保護の両立を探ろうと“釣り人会議”が14日、高知市桟橋通4丁目の市立自由民権記念館で開かれた。
 アカメはスズキの仲間で1メートル以上に育つ日本固有の魚。主な生息地も本県と宮崎県の沿岸や河川に限られ、「幻の魚」と紹介されてきた。宮崎県では昨年4月、条例でアカメなど希少動植物の捕獲が禁止された。
 本県も同年7月、同様の条例を施行。現在、捕獲禁止種の選定を進めている。これを受け、「釣りができる方法を模索しよう」とアカメ釣りに詳しい長野博光さん(56)=安芸市、農業=らが今回の会議を開いた。
 約30人が参加。長野さんが講演し、「釣り人へのアンケートなどでは(1983年から98年まで)542匹が捕獲されている」と言及。会場の釣り人たちも「よく釣れている」と報告し、中には「仲間と年間220匹釣った」という人も。釣った後は逃がしているという人がほとんどで、絶滅の危機にはひんしていないとの声が相次いだ。
 一方で「分布域も狭く、特殊な魚であることには間違いない」と保護に関する意見も続出。幼魚保護については「幼魚が育つ場所は捕獲禁止にし、釣りができる場所と分けられないか」との声も出された。
 長野さんらは近く、会議の議事録を県に提出。「保護種選びの参考にして」と話している。

■彦根漁連元会長らが起訴事実認める 職務強要などで初公判 07/01/16 京都新聞電子版
 滋賀県の彦根市漁業協同組合連合会の幹部による一連の事件で、職務強要などの罪に問われた同漁連元会長藤野清被告(69)と同漁連役員村長人之被告(46)の初公判が16日、大津地裁彦根支部(天野智子裁判官)であり、2人は起訴事実を認めた。
 検察側は冒頭陳述で「村長被告は会社の利益を上げようと、藤野被告に琵琶湖の環境問題を取り上げ、圧力をかけるように協力を求めた」と指摘した。
 起訴状によると、2人は2004年7月、水資源機構発注の工事を村長被告が経営する建設会社に受注させようと米原市の湖北管理所で所長に迫るなどしたとされる。

■湖上交通:災害時輸送に活用検討 大津、彦根、大浦の3港が耐震化計画 07/01/17 Mainichi Interactive滋賀
 阪神大震災から17日で12年。琵琶湖西岸断層帯が通り、大地震の可能性が指摘される県内でも、地震が起きた時の備えが進められている。県は、地震の被害で道路の寸断や渋滞が発生し陸上輸送網が混乱した場合でも、物資や人の輸送をストップさせないよう、琵琶湖の湖上交通の活用を検討。有事の使用に耐えるため、大津、彦根、大浦(西浅井町)の3港の耐震化計画に着手している。県の中央に広い水域を抱える地域事情から、成果に期待が寄せられている。【高橋隆輔】
 ◇岸壁の補強や土壌データ調査
 陸上交通がまひした際の輸送路は、ヘリコプターなどによる空輸が最も機動的。しかし、大量の物資や災害地入りする人員の輸送では、水上交通にも優位性があり、阪神大震災では、神戸−大阪間の海上交通が活用された。
 県は95年1月17日の震災後の96年度に湖岸10、陸上15の広域輸送拠点を設定。さまざまな地域からの物資受け入れなどを想定し、3港の耐震化を計画している。大津、彦根の2港では既に調査を終え、今年度中をめどに岸壁の補強工事の詳細設計を終える予定。大浦港でも、土壌データなどを調査している。
 また、輸送用船舶を確保するため、県漁協、琵琶湖汽船、オーミマリンの3者と協定を締結。年1〜2回、湖上輸送も想定した災害訓練を行っている。

■守山のレジャー施設跡地 来春、大型SC開業へ 07/01/17 Chunichi Web Press滋賀
【湖南】2年前から遊休地となっている滋賀県守山市今浜町の琵琶湖岸で、大型ショッピングセンター(SC)の建設計画が進められていることが分かった。10万平方メートル以上の敷地に、200以上の専門店が入る予定で、来春の開業を目指している。隣接する草津市の湖岸では、ほぼ同時期のオープンを目標に、西日本最大級となるSCの計画が進んでおり、琵琶湖周辺で集客合戦が熱を帯びる。
 守山市のSCを計画しているのは、大和システム(大阪市)と、オウミ都市開発(草津市)。
 計画では、地上2階建て、延べ床面積7万平方メートルのセンターを建設。県内初となるブランド品のアウトレットモールをはじめ、衣料や飲食店、複数の映画館が入る。
 住民票発行や介護支援などの行政サービスの窓口や医療施設も備え、観覧車や遊覧船乗り場も整備する。駐車場は約3000台を予定している。
 今後、大規模小売店舗立地法に基づき、県と守山市に届け出て、地元住民対象の説明会を開く。計画について大和システムは「コメントできる段階にない」としている。
 建設予定地に1998年10月に開業した犬と触れ合うレジャー施設「びわ湖わんわん王国」は2005年1月に閉鎖。敷地は運営していた商社から昨年末、大和システムなど2社に売却された。
 このSCの南約14キロの草津市新浜町では、スーパー大手「イオン」(千葉市)のグループ会社「イオンモール」(同)が来年4月以降をめどに、SC開業の準備を進めている。約18万平方メートルの敷地に約8万平方メートルのセンター、4000台以上の駐車場を整備する。

■琵琶湖の漁業・養殖業、過去10年最低 05年総生産額 アユ漁獲減少 07/01/17 京都新聞電子版
 2005年の琵琶湖の漁業・養殖業の総生産額が13億7400万円で、前年に比べて12・1%減少して過去10年間で最も低かったことが、近畿農政局のまとめで分かった。
 漁業は前年比11・6%減の13億6300万円だった。アユ苗の生産額が前年の4億9300万円から2億7300万円に急落したのが響いた。アユ苗生産額の急激なダウンは、04年秋に相次いだ台風の影響でアユの卵が被害を受け、漁獲量が落ち込んだためとみられる。
 他の魚介類は、ホンモロコ2700万円(前年比50%増)▽セタシジミ5300万円(同20・5%増)▽ブラックバス3500万円(同59・1%増)▽テナガエビ2000万円(25・9%減少)−などとなっている。淡水真珠貝やアユなどの養殖業も、前年比50%減の1100万円に落ち込んだ。

■瀬田川洗堰全閉撤廃、あらためて歓迎 嘉田知事「ダム問題とは別」 07/01/17 京都新聞電子版
 淀川水系の河川整備基本方針の基本理念として、国が瀬田川洗堰(大津市)の全閉操作を解消する考えを示したことに対し、滋賀県の嘉田由紀子知事は17日の記者会見で「上流が犠牲になることによって下流を守るという方針が見直され、取水リスクを上下流がともに担うという基本方針が出たことは大変重要だ」と述べ、あらためて国の意向を歓迎した。
 全閉解消に伴い、ダム建設ありきの議論を懸念する声が高まっていることについては「基本方針と2、30年の具体的な整備計画を立てる河川整備計画は別。整備計画における個別ダムの問題とは切り離して考えるべき」との見解を示した。
 その上で、宇治川や淀川などの洪水調整を担う大戸川ダム(大津市)計画は「国と下流府県との調整の中で決まってくること」と述べ、将来的に必要とする国の考えに沿う意向に変わりがないとの認識を示した。

■知事、あらためて歓迎 瀬田川洗堰の閉鎖見直し 07/01/18 Chunichi Web Press滋賀
【湖南】国土交通省が豪雨時に行ってきた「瀬田川洗堰(あらいぜき)」(大津市)の閉鎖を見直す方針を示したのを受け、嘉田由紀子知事は17日の定例会見で「治水リスクを上下流ともに担う基本方針が出たことは大変大きい」とあらためて歓迎した。
 全閉解消の方針が示されたことで、下流の洪水調整を担うことになる大戸川ダム(大津市)建設を求める声が強まる可能性があることについては、「国が示したのは理念を盛り込んだ基本方針。20−30年の具体的計画を立てる河川整備計画での個別ダムとは切り離して考えるべき」と言及。その一方で、大戸川ダムについては「国の考えに沿って、将来的には必要」との考えを示した。
 一方、目片信・大津市長は会見で、閉鎖解除によって下流域で高まる浸水リスクを軽減するためにも、計画中の大戸川ダム(同市)は「必要」とする立場をあらためて示した。
 目片市長は、洗堰の操作に触れ、「開けっ放しでは下流がもたず、閉めっぱなしでは上流がもたない」と指摘。大戸川は洗堰より下流の瀬田川に流入することから、「(ダムで)一時出水を止めることが、琵琶湖を守り、全閉解除につながる」と指摘した。
 大戸川ダムをめぐっては05年7月、国交省近畿地方整備局が「当面実施しない」と建設の方針を転換している。(本安幸則、勝山友紀)

■絶滅危惧・淡水魚のDNA分析に着手…富山大と氷見市 07/01/18 Yomiuri On Line
 環境省のレッドデータブックで絶滅危惧(きぐ)種に指定されている国天然記念物の淡水魚「イタセンパラ」について、富山県氷見市教育委員会と富山大が、氷見市内の仏生寺(ぶっしょうじ)川、万尾(もお)川の両水系と大阪・淀川水系に生息する個体のDNA分析を始めた。
 近年、生息が確認されているのはこの3水系だけ。水系ごとの差が小さければ、各水系間での人工繁殖も可能になる。分析結果は3月末ごろまでに出る見込み。
 イタセンパラは日本固有のタナゴ類で、オスは繁殖期の秋に鮮やかな紅色に染まることで知られる。
 かつては琵琶湖や愛知・岐阜両県の濃尾平野の河川などでも広く見られたが、1990年代半ば以降、今回分析する3水系以外で確認例がない。淀川水系も国による昨年5月の調査で、稚魚は1匹も見つからなかった。氷見市でもブラックバスに食べられるなどして減少しているという。
 氷見市教委と富山大理学部生物学科の山崎裕治助手は、環境省と文化庁の許可を得て市内の両川からそれぞれ稚魚40匹を捕獲。大阪府の水生生物センターが飼育していた淀川水系の40匹分の尾びれ先端部分の組織を入手し、細胞からDNAを取り出して比較する。
 市教委などによると、各水系間の遺伝的な違いを把握することで、それぞれの固有性を壊す交配を防いだり、種の保存に向けた繁殖方法の確立に役だったりするという。近畿大学農学部環境管理学科の細谷和海教授(魚類学)は「保護活動を続ける上で、各水系の遺伝子レベルでの調査は不可欠だ」と話している。

■「大漁」に大喜び 東近江、児童らが漁業体験 07/01/18 京都新聞電子版
 滋賀県東近江市の市原小の児童が18日、同市の大同川でエリ漁を体験、児童たちは自分たちの手で網を引き揚げ、魚の種類などを学んだ。
 自然の大切さを体感しようと、能登川漁協の協力で初めて実施、この日は3年生19人が参加した。
 児童らは同市伊庭町のカヌーランドから漁船で出発。大同川に仕掛けられた「エリ」の設置場所までくると、船の上から手分けして網を引き揚げ、ニゴロブナやブラックバス約50匹がかかっているのを見つけ、大喜びした。船上で、在来種と外来種を分けたり、名前を確認したりし、川西潤君(9つ)は「見たこともない魚がいっぱいいた」と話していた。
 このあと児童たちは、同漁協の事務所で、田井中一男組合長から琵琶湖についての話を聞いたほか、能登川博物館で米炊き体験などもした。

■琵琶湖でえり漁体験 東近江の市原小3年生 07/01/19 Chunichi Web Press滋賀
【湖東】東近江市市原小学校の3年生19人が18日、社会科の校外学習として同市伊庭町の伊庭内湖を訪れ、琵琶湖独特の漁法「えり漁」を体験したり、内湖や琵琶湖を漁船で回り、湖の自然環境について学んだ。
 同小は鈴鹿山系の近くに位置し琵琶湖から離れているが、市町合併で誕生した東近江市が湖に面するようになったため能登川漁協の協力を受けて漁業体験をした。
 児童らは漁船に乗り込み、組合員の案内で伊庭内湖(大同川)に仕掛けられたブラックバスやブルーギルなど外来魚捕獲用の「えり」を見学。えりの中では、外来魚やフナ、ワタカなど約50匹をたも網ですくい、歓声を上げていた。
 このあと組合長の田井中一男さん(65)から外来魚の繁殖、水質の悪化などで琵琶湖の漁獲量が激減していること、魚の住みやすい環境を守ることが人間の住みやすい環境を守ることにつながる−などの説明を熱心に聞いていた。(前嶋英則)

■セタシジミとニゴロブナに漁獲制限 琵琶湖漁業調整委など 07/01/19 京都新聞電子版
 学識経験者や漁業者でつくる琵琶湖海区漁業調整委員会と滋賀県内水面漁場管理委員会は19日、殻長(かくちょう)1・8センチ以下のセタシジミと、全長22センチ以下のニゴロブナの漁獲を禁止する指示を出した。琵琶湖の在来種の資源保護を進めるため、現在の県漁業調整規則より厳しい制限を設けた。
 指示は、セタシジミについては2月1日から、ニゴロブナは4月1日から実施される。違反した場合の罰則は、最高1年以下の懲役または50万円以下の罰金となり、規則違反の罰則(6カ月以下の懲役か10万円以下の罰金)より重くなる。資源回復の見込みが立つまで継続される。
 同規則では、殻長1・5センチ以下のセタシジミ、全長15センチ以下のニゴロブナの漁獲を禁じている。県漁連は1・8センチ以下のセタシジミ、18センチ以下のニゴロブナをとらないよう自主規制を呼び掛けているが、県水産課は「守られているとは言い難い状態」という。
 琵琶湖では1950年代には約5000トンあったセタシジミの漁獲量は2000年には約80トンまで減少した。「ふなずし」の材料になるニゴロブナも1960年代には約500トンとれたが、産卵場所の減少や外来魚の食害などでここ10年間は30−40トン台に落ち込んでいる。

■セタシジミとニゴロブナ保護へ漁獲規制指示 琵琶湖海区漁業調整委など 07/01/20 Chunichi Web Press滋賀
【広域】琵琶湖のセタシジミとニゴロブナを保護するため、琵琶湖海区漁業調整委員会と県内水面漁場管理委員会は19日、漁獲規制の委員会指示を出した。
 委員会指示によると、ニゴロブナは、さお釣りなどで捕る場合を除き、全長22センチ以下を採捕禁止とした。これまで漁業者が自主規制してきた18センチ以下より厳しい内容で、4月1日から施行する。
 セタシジミは、自主規制と同様に殻長1・8センチ以下は採捕禁止。対象となる漁法は貝びき網、貝掻(かき)網漁で、2月1日から施行される。
 違反して捕ったニゴロブナ、セタシジミ、その製品を所持、販売することも禁止している。
 委員会指示に法的拘束力はないが、指示に従わない者に対し、委員会の申請に基づき知事命令が出された場合は、漁業法に基づく罰則(1年以下の懲役もしくは50万円以下の罰金、または拘留、科料)が科せられる。
 県によると、ニゴロブナの漁獲量は1988年の198トンをピークに減少。近年は40トン以下で推移している。セタシジミも1950年代の5000トンから05年には161トンまで減少している。
 県は、本年度から11年度までの6年間で、現在の2・5−3倍の資源量を目指す資源回復計画を進めている。(本安幸則)

■草津の園児らホンモロコに舌鼓 琵琶湖の固有魚、保育所の給食に登場 07/01/20 Chunichi Web Press滋賀
【湖南】草津市立の6保育所で19日、市が特産品に育てようとしている琵琶湖の固有魚「ホンモロコ」が給食のメニューに登場した。
 地元の味覚に親しんでもらおうと、昨年に続いて企画。大豆と合わせて甘辛く煮たモロコが園児たちの前に並んだ。
 草津町の第2保育所では、1歳児から5歳児クラスの28人が珍しそうにモロコを見つめ、口に運んだ。田村夏希ちゃん(6つ)は「少し硬かったけど、おいしかった」と笑顔を浮かべていた。
 市は2004年、休耕田を活用し、養殖の研究に着手。本年度は250キロを生産している。(池田知之)

■ガメラ発見!? 松阪の高束池でワニガメ捕獲 07/01/20 Chunichi Web Press三重
【松阪・紀勢】映画「大怪獣ガメラ」のモデルとされ、どう猛で飼育には許可が必要なカミツキガメ科のワニガメが18日、松阪市飯南町粥見の高束池で捕獲された。冬眠の入りかけのようで、やや元気がないという。
 見つかったワニガメは体長が80センチ、甲羅の長さは42センチで、池に釣りに来ていた同市内の男性会社員が網で引っ張り上げた。軽トラックで同市飯南地域振興局に持ち込み、翌19日に松阪保健所が受け取った。
 ワニガメは北米南部の淡水に生息し、体長は大きなもので1メートル。あごの力が非常に強く、魚や小動物を捕食する。ペットとして販売されているが、2000年12月の動物愛護管理法改正で特定動物に指定され、飼育には県の許可が要る。
 当面は松阪保健所で預かって引き取り手を探すが、思わぬ珍客に「どう扱えばいいのか分からない」と困り果てている。(永山陽平)

■ブラックバスを肥料に 県秋田地域振興局、今春にも野菜栽培へ 07/01/20 さきがけ on The Web
 ブラックバスなど水揚げしても商品にならない八郎湖の魚を魚粉肥料として活用しようと、県秋田地域振興局は外来魚などの利用化事業を本格的にスタートさせる。既に魚粉肥料の試験加工に成功しており、今後は県内の農家や研究団体、野菜を扱う流通業者らと検討した上で、早ければ今春から大潟村の農家グループの野菜栽培に試験活用する。
 同振興局は「外来魚駆除で生態系も保全でき、地域資源の循環で有機農産物に付加価値がつけられれば地域振興になる」と期待している。
 事業は、未利用魚の体に含まれたチッ素やリンなど八郎湖の富栄養化の原因物質を間接的に回収して八郎湖の水質浄化を図る狙いもある。
 成分分析の結果、3大要素のチッ素、リン、カリの分量、安全性とも問題なかった。魚の3割はブラックバスで、他はコイやフナ、ライギョだった。新年度は魚粉肥料2トンの製造を目標に、製造経費の算出、野菜の品質効果の実証とPR販売などを行い、ビジネスモデルの構築を進める計画。同振興局は「モデルがうまくいけば、未利用魚活用を広げたい」としている。

■ブルーギル 産卵初期にたたけ 07/01/20 Sankei Web
 湖沼や河川でコイやフナの卵を食べるなど在来魚に被害を与える外来魚のブルーギルは、繁殖期の初期の卵ほど孵化(ふか)して育ちやすい−という調査結果を、沢田裕一・滋賀県立大助教授(生態学)と同大学院生の中尾博行さんらがまとめた。水温の上昇が遅い琵琶湖では夏が繁殖期だが、特に産卵を始める6月に駆除すると効果的ではないかという。
琵琶湖は6月 滋賀県立大調査
 中尾さんらは平成14、15年に、滋賀県西浅井町の琵琶湖で湖岸から約10メートル、幅約130メートルの浅瀬を調査した。
 それによると、ブルーギルは水温が約20度になる6月から8月にかけ産卵。水深約0.5〜2メートルの浅瀬に雄が尾びれですり鉢状に穴を掘って「産卵床」を作り、そこに雌が卵を産み、雄は孵化数日後まで卵を守る。複数のブルーギルが隣接して産卵床を作り、集団(コロニー)を形成する。
 調査で確認した産卵床は1日平均で、6月が41個、7月が8個、8月が7個。コロニーの規模は6月が最大だった。卵が孵化して育った繁殖成功率は6月は約75%、7、8月は50%前後だった。
 中尾さんは「集団で産卵すれば外周部しか襲われない。より大きく育ってから寒い冬を迎えられるよう早く産卵するのだろう」と話している。
 滋賀県によると、18年春には推計で琵琶湖にブルーギルが1300トン、ブラックバスが400トン生息。県は駆除した漁業者に1キロ当たり350円を補助、17年度は計約420トンを駆除した。県水産課は「実際に6月の駆除量は多く、産卵初期にたたく必要を示すデータだ」と話している。

■外来魚駆除、研究事例を報告 草津で情報交換会 07/01/21 京都新聞電子版
 ブラックバスやブルーギルの有効な駆除方法を共有する「外来魚情報交換会」が21日、滋賀県草津市の市民交流プラザであった。研究機関など県内外の18団体が参加し、琵琶湖や淀川水系で外来魚を駆除する有効な方法として、人工産卵床を泥底に設けてふ化する前に卵を取り除く方法などが発表された。
 外来魚問題に取り組む市民団体「琵琶湖を戻す会」(事務局・大阪市中央区)が主催した。
 この日、大阪府水生生物センター(寝屋川市)は、人工産卵床を利用した駆除方法について「水の透明度が低く、外来魚の産卵が確認できない場所では最も効率的」と報告し、岸辺から約5メートル、水深約1メートルの泥底に設けるのがより効果的とした。ブラックバスとブルーギルの稚魚が藻に潜んでえさを狙う習性を利用し、人口藻の内部に魚巣を張る方法も紹介した。
 一方、滋賀県水産試験場は、ニゴロブナがブルーギルの産卵床をかき回すため繁殖抑制作用があるという実験結果を報告した。

■アユ保護へ人工魚礁 岡山県が吉井川2カ所に カワウ被害防ぐ 07/01/22 山陽新聞WEB NEWS
 岡山県内の川でアユの漁獲量が減っているのを受け、県は近く、カワウなどの水鳥から川魚を守る人工魚礁を、津山市と美咲町内の吉井川の2カ所に設置する。2004年に真庭市内の旭川に設置したのに続き2件目。旭川では効果が確認されており、地元漁協などは、近年の不漁続き打開へ期待している。
 魚礁は前回と同型で、コンクリートブロックの間に間伐材を渡して固定し、石を敷き詰める。長さ2・5メートル、幅1メートル、高さ60センチで、重さ約1トン。コンクリート二次製品製造のランデス(真庭市開田)が開発した。
 計画では、2月をめどに津山市材木町と美咲町大戸下に4基ずつ計8基を沈める。費用は計約260万円。洪水などで流されないよう、深みや大岩のある場所を選んで設置する。
 県水産課などによると、県内のアユ漁はここ数年、致死率の高い感染症「冷水病」をはじめ、外来魚のブラックバスやカワウの食害などで不振続き。吉井川水系の2004年度の漁獲量は26トンで、10年前の5分の1に減少。カワウによる被害は、県全体で約6600万円(05年度)と試算されるという。

■県、経費削減策に懸命 今秋開催の全国豊かな海づくり大会 07/01/23 Chunichi Web Press滋賀
【広域】今年11月に大津市のびわ湖ホールなどを主会場に県内で初めて開催される「第27回全国豊かな海づくり大会」で、県が大幅な経費削減策を進めている。大会準備室はイベント内容の見直しを進め、新年度予算では3億円にまで抑えた額を要求している。
 大会は、水産資源の維持や環境保全に理解を深める機会にしようと、1981(昭和56)年から全国各地で開催されている。
 県の大会準備室によると、他県での開催経費は3大会前の香川県で5億円を超え、その後の神奈川県は4億3000万円。佐賀県での前回大会は4億8000万円だった。
 昨年、嘉田由紀子知事が就任直後に「費用は先回の半分程度にしたい」と経費縮減方針を明言。これを受け、準備室はイベントや展示の内容の見直しを進めてきた。
 例年、各県の大会で設けられた水族館のような展示スペースは「琵琶湖博物館があるので、そちらをPRする」と設置を見送り。これで「2−3000万円は変わってくる」とする。
 会場内でのテント設営も大津市の協力を得て、設営範囲を分担。新品ではなく「中古の運動会用テントで十分」として業者に手配するという。準備室は「テントの設営も入札にかけてコストダウンを図り、予算を余らせるつもり」という。
 22日には、大会のポスターが完成。水草が茂る水中で、ブラックバスが琵琶湖の固有種のニゴロブナとモロコを取り囲むデザイン。中央には「フナやモロコでいっぱいのびわ湖にもどしたい」の文字を入れた。
 準備室は「大会を単なるお祭りではなく、外来魚の増加や水草の異常繁茂など、琵琶湖の厳しい現状を知ってもらう機会にしてもらいたい」としている。(本安幸則)

■全国豊かなうみづくり大会:PRポスター完成 琵琶湖の危機的現状訴える 07/01/23 Mainichi Interactive滋賀
 11月に大津市で開催される「第27回全国豊かなうみづくり大会」のPRポスターが22日、完成した。見た目の美しさの中に、琵琶湖の危機的現状も訴えようとメッセージのこもった作品で、ほぼ県職員の手だけで企画した。3000枚印刷され、今月中には県内の公共機関やスーパー、全国の漁連などで掲示され始める。職員は大会の盛り上げを期待している。
 ポスターは昨年9月から約4カ月かけて制作した。例年の大会では、主に海の美しさを表現する見栄えの良い作品が多いが、今大会は嘉田由紀子知事の「琵琶湖の危機的状況も訴えたい」という意向も反映。ヨシ帯の下に広がる琵琶湖で、茂った水草をバックに、外来魚から逃げ回るホンモロコなどの魚を配置し、琵琶湖の現状を表現した。
 写真も県職員の撮影した無料で使える素材を組み合わせた。
 同大会準備室の東清信室長は「浮ついた『お祭り』にしたくなかったので、きれいなだけでなく、世論も喚起できるものをと考えて作った。ご覧になった皆さんの批評を仰ぎたい」と話している。【高橋隆輔】

■フルインターチェンジ化を決定 湖西道路・和迩IC 07/01/24 京都新聞電子版
 これまで入り口は下り車線、出口は上り車線しかなく、乗り降りに不便が指摘されてい湖西道路の和迩インターチェンジ(大津市和邇中)について、国土交通省滋賀国道事務所はこのほど、新たに上下方向の出入り口を設けフルインターチェンジ化することを決めた。
 このインターは利用量が少なく料金所の運営コストと見合わないうえ、高島方面に向かう上り車線の残り区間が短かったため、不完全なかたちで整備が終わっていた。しかし、住民からの要望が強く、一昨年に通行料が無料になったこともあり、同事務所が改良することにした。
 フルインター化すれば、和邇地区の住民が市北部へアクセスしやすくなるほか、市北部の住民が和邇にある病院やショッピングセンターなどを利用しやすくなる。
 完成の時期は未定だが、同事務所は「3月末までに現地調査を終え、できるだけ早い完成を目指したい」としている。

■今春の花粉予測「平年並みから20%程度」 環境省 07/01/24 asahi.com
 環境省は24日、今春のスギ、ヒノキの花粉飛散量予測(確定版)を発表した。花芽がつく昨夏の日照時間が全国的に短かったことから、「平年並みから平年の20%程度」という。花粉症の人には少しは過ごしやすい春になりそうだ。
 地域別の飛散量では、北海道・東北北部は平年並み▽東北南部は平年の50%▽関東甲信越は20〜30%▽北陸・東海は30〜50%▽近畿は40〜70%▽中国・四国は60〜90%▽九州は平年並みかやや少ない、と予測している。
 花粉の飛散が始まる時期は、昨秋以降、気温が高めに推移してスギ雄花の「休眠」が遅れているため、平年並みかやや遅れるという。四国の太平洋側や九州の北西部など、早い地域では2月10日ごろから飛散が始まる見込み。
 同省は刻々と変化する各地の飛散状況をホームページでも提供する。

■外来魚減らしへ連携 5月に全国初 三方湖で釣り大会 07/01/26 福井新聞ネット版
 外来魚の生態系への影響が懸念される三方五湖のうち特に繁殖が拡大している三方湖で五月に、ブラックバス(オオクチバス)などの防除を目的にした全国規模の釣り大会が開かれることになった。県釣り団体協議会(二見祐史会長)と同五湖の漁業権を持つ三漁協などが連携。同協議会では、漁業者と協力して取り組むのは全国で初めてのケースとしており、モデルケースとしても期待を集めている。
 外来魚のブラックバスやブルーギルは、コイ、フナなど在来魚の卵や稚魚を捕食。特に同五湖が一昨年ラムサール条約に登録された際に条件の一つになったイチモンジタナゴなど希少種への影響が心配されている。このため各漁協は刺し網やカニかごを使って防除作戦を展開している。
 しかし、釣り愛好家にとっては「キャッチアンドリリース」(釣って逃す)が今なお主流で、魚の旺盛な繁殖力もあり減っていないのが現状。さらに二○○五年には密放流が確認されるなど増加の一途という。
 同協議会は、同条約への登録を機に「在来魚を守るため何かできないか」(二見会長)と釣り大会の開催を県に提案。県は、鳥浜(三方湖)、海山(水月、菅湖)、南西郷(久々子湖)の三漁協に協力を要請し、若狭町、県内水面漁業協同組合連合会などにも呼び掛けた。
 同協議会は、全国組織を通じて中京や京阪神の愛好家らに参加を呼び掛け、百人規模の大会になるとしている。釣り上げた外来魚は、有機肥料として有効活用するほか、調理して食べてもらう。大会と併せ湖周辺の清掃活動も計画している。

■なぜ!魚はエリに入るのか? 草津でセミナー 大学院生ら研究発表 07/01/28 京都新聞電子版
 琵琶湖の伝統漁法「エリ漁」の仕組みなどについて考える研究セミナー「なぜ!魚はエリに入るのか?」が27日、滋賀県草津市下物町の県立琵琶湖博物館で開かれ、湖水の流水や水温と、エリ漁の漁獲量との関係などについて発表があった。
 セミナーは、同博物館の総合研究プロジェクト「東アジアの中の琵琶湖」の一環。近畿大農学部と共同で取り組んでいる研究成果を、大学院生らが発表。市民や研究者ら約40人が参加した。
 同大学院の福田漠生さんは、アユを捕るエリの漁場付近の湖水の水温や水流を測定した結果、「水温は22度以下、水流は毎秒1−4センチで漁獲量が多かった」と報告。実験を踏まえ「アユは水温が20度かそれ以下の水域を好む一方、毎秒5センチ以上の速い水流では積極的な移動が制限され、漁獲量が減少するのではないか」と説明した。
 コイやフナの周年行動や伝統漁法などに関する発表もあり、参加者らは熱心に耳を傾けていた。

■嘉田知事「成果、行政に提案して」 大津で琵琶湖の水質保全フォーラム 07/01/28 Chunichi Web Press滋賀
【湖南】琵琶湖の水質保全を目的に、環境に負担とならない農法を話し合う「冬・水・田んぼで琵琶湖の水浄化フォーラム」が27日、大津市浜大津の明日都浜大津で始まった。28日まで。
 同市真野で稲作に取り組む市民グループ「未来シンフォニー」(伊佐恒範代表)が企画した。同グループは、冬場に田んぼをあえて耕さない「不耕起農法」を実践。水を張って微生物を増やすことで魚や鳥が集まり、鳥のふんが肥料となって土が肥えるという。
 県内外から農家や市議、大学院生ら約30人が議論に参加。嘉田由紀子知事が「皆さんの力でアイデアを出し、成果を行政に教えてほしい」とあいさつした。参加者からは、微生物による排水浄化や生ごみを肥料にした農法などが紹介された。

■「琵琶湖を美しく」ヨシ刈り大作戦 大津で市民900人参加 07/01/28 京都新聞電子版
 大津市の瀬田南学区と雄琴学区で28日、恒例のヨシ刈りが行われた。両学区の住民ら合わせて約900人が参加し、枯れたヨシを取り除いていった。
 同市では野鳥や魚たちのすみかとなり、琵琶湖の水質浄化にも役立つヨシ原の保全を目的に、自治会や住民団体などが「湖辺ルネサンス〜大津のヨシ作戦」と称して毎年、この時期にヨシ刈りを行っている。
 瀬田南学区での作業の対象は国道1号「瀬田川大橋」周辺の約1000平方メートル。住民ら約200人が舟2隻も使い、川と陸の両面から取り組んだ。かまなどで刈ったヨシは束にし、たいまつを作っていった。
 雄琴学区では地元の住民団体と市との合同で「市民ヨシ刈り」を実施した。約700人が雄琴6丁目のアクティバ琵琶周辺のヨシ原4000平方メートルで作業し、最後はたいまつにした。
 作られたヨシたいまつは3月10日の琵琶湖開きの夜、市内6地域で一斉に点火される予定。

■バス駆除に市民の力 先進的取り組み発表 栗原・登米 07/01/28 河北新報社Kolnet
 外来魚駆除の先進地として知られる伊豆沼・内沼(宮城県栗原、登米市)で28日、「市民参加型ブラックバス防除の研修会」(県伊豆沼・内沼環境保全財団主催)があり、東北各地の市民団体などから60人が参加した。
 「オオクチバス駆除の現状と市民参加活動」と題して、市民団体や地元漁業者が伊豆沼・内沼での駆除成果を中心に研究発表した。このうち相馬高(相馬市)生物部の4人は、伊豆沼・内沼での駆除体験を基に学校近くの堀を調査し、外来魚が多いとの調査結果を報告。「外来魚の繁殖力の強さに驚いた。今後も、駆除や調査を続けていきたい」と述べた。このほか、全国ブラックバス防除市民ネットワークの小林光事務局長が、昨年のバス防除ウイークの全国各地の活動を発表した。
 この後、「復元に向けた取り組み」をテーマにパネル討論。研究者や大学生ら4人が話題提供し、「駆除を最終目的にするのではなく、水域全体の生態系復元を目指すべきだ」「伊豆沼の取り組みを体系化して、全国に発信することが望まれる」といった意見が出た。

■日吉中生も参加 大津の琵琶湖岸でヨシ刈り 07/01/29 Chunichi Web Press滋賀
【湖南】大津市雄琴の琵琶湖岸で28日、ヨシ刈りをする「第17回湖辺ルネッサンス」があり、市民約600人が参加した。
 新芽の成長を促し、ヨシ原を守ろうと毎年開いている。広さ約2万平方メートルで市内最大の雄琴地区のヨシ原のうち、約4000平方メートルで実施した。
 環境学習の一環で、日吉中学校(同市下阪本)の生徒約100人も参加。高さ約4メートルに成長したヨシをかまで刈った。湿地に足をとられながら運び、直径約25センチの束約200本にまとめた。参加者にはうどんと豚汁が振る舞われた。
 刈り取ったヨシはたいまつにして、3月に開かれる「びわ湖開き」の夜に、市内6カ所で燃やす。(勝山友紀)

■放置ボートの所有者に撤去命令 滋賀県、禁止区域に指定以来初 07/01/29 京都新聞電子版
 滋賀県は29日、彦根市馬場1丁目の彦根港にモーターボートなどを放置している所有者5人に撤去を命じた。昨年7月、港湾法で彦根港や大津港など4カ所が放置禁止区域に指定されて以来、県が撤去を命じるのは初めて。
 撤去命令は、松原橋上流部にあるモーターボート4隻と船外機付きボート1隻を所有する彦根市や多賀町、名古屋市などの5人に対し行われた。2月12日までに撤去しない場合は、事前に警告したうえで県が撤去するという。県はまた、所有者が判明しない別のモーターボート3隻については2月28日までに強制撤去する。
 県琵琶湖不法占用対策室によると、彦根港ではモーターボートなど約80隻の所有者に対して昨年12月から3度にわたって撤去を求めてきた。同室は「まだ約50隻が放置されているため、3月にも引き続き撤去命令を出す予定」としている。

■彦根港内の違法係留艇 県が8隻に撤去命令 07/01/30 Chunichi Web Press滋賀
【広域】県は29日、港湾法に基づき、彦根市馬場1の彦根港内に、違法に放置されているプレジャーボート8隻に対して、初めて撤去命令を出した。
 8隻のうち所有者5人が判明している5隻は2月12日までに撤去されない場合は、行政代執行の対象となる。残る所有者不明の3隻は、同28日までに撤去されないと、港湾管理者の県が簡易代執行で撤去する。
 県は昨年7月、港湾法に基づき、彦根港をはじめ、大津、長浜、竹生島の各港を船の放置禁止区域に指定。さらに同時期にプレジャーボートの保管場所の確保を義務づける条例も施行されたことを受けて、琵琶湖の放置艇対策を進めている。
 彦根港内の違法係留艇約80隻の所有者には、これまでにも指導と警告を繰り返し、昨年12月末までを撤去期限とする警告を発令。20隻ほどは自主撤去されたが、60隻ほどは依然として警告を無視した状態となっている。
 県琵琶湖不法占用対策室によると、琵琶湖と西の湖、さらに琵琶湖に流れ込む河川の河口付近では、昨年11末現在でヨットやモーターボートなど計570隻ほどの違法係留が確認されている。このうち、彦根港は最も規模が大きい違法係留区域という。
 対策室は「今回は松原橋より上流を対象に実施するが、3月には下流の放置艇を対象に行う」としている。

■土砂崩れ、車1台巻き込まれる 奈良・上北山村 07/01/30 asahi.com
 30日午前7時50分ごろ、奈良県上北山村西原の国道169号で、乗用車が土砂崩れに巻き込まれたのを後続の車両に乗っていた人が目撃し、110番通報した。地元消防本部のレスキュー隊員が大阪・和泉ナンバーの乗用車が埋まっているのを発見、運転席に男性、助手席と後部座席にそれぞれ女性の計3人を確認した。正午過ぎまでに後部座席と助手席の女性が相次いで運び出された。3人とも呼び掛けに反応せず、意識がないという。
 現場付近は今年に入って2回の土砂崩れが発生しており、25日に道路上にくいを打ち込んで、高さ6メートルの鉄製防護さくを設置、片側1車線で交互通行していた。
 吉野署などによると、現場は新伯母峯(おばみね)トンネルから南へ約1キロの標高約650メートルの山間部で、道路の幅は約8メートル。道路脇の斜面が高さ35メートル、幅30メートルの範囲で崩落し、国道が長さ約6メートルにわたり高さ約2〜3メートルの土砂や岩で埋まった。完全に道をふさぎ通行できない状態になっている。
 車の所有者は大阪府松原市の70代の男性とみられ、連絡が取れていない。助手席の女性は高齢者とみられる。クラクションが鳴り続けている。
 県吉野土木事務所によると、現場付近は1月18、21日に土砂崩れがあった。このため、斜面側の車線を通行止めにするとともに、センターライン付近に鉄柱と鉄板でさくを築き、土砂をせきとめる応急措置を取った。今回の土砂崩れでは、さくごと崩落し、車に覆いかぶさっているという。奈良地方気象台によると、現場では27日以降、雨は降っていない。

■土砂崩れが車をのみ込み3人死亡 07/01/30 nikkansports.com
 30日午前7時50分ごろ、奈良県上北山村西原の国道169号で道路脇のがけが崩れ、土砂が防護柵をなぎ倒して大阪府松原市の無職中西新一さん(72)の乗用車をのみ込んだ。
 奈良県警と地元消防本部が救出活動し、車内に閉じ込められていた中西さんと妻鎮子さん(69)、友人で大阪府富田林市の無職藤原治子さん(76)の3人を病院に運んだが、いずれも胸部圧迫で死亡した。
 現場では1月だけでも2回、土砂崩れが発生していた。国道を管理する奈良県は同日、倒壊した防護柵は落石防止のために設置し、土砂崩れには強度の面で対応できない構造だったことを明らかにした。
 県警は、県の担当者らから管理状況について事情を聴くなどして原因を調べている。
 調べでは、国道西側のがけが高さ約35メートル、幅約25メートルにわたって崩れ、土砂は幅約8メートルの国道を埋め尽くした。当時、4台の車が南へ走っており、先頭の中西さんの車が土砂にのまれ、運転席が押しつぶされ、屋根は激しくへこんだ。
 中西さんは運転席、鎮子さんは助手席、藤原さんが後部座席からそれぞれ見つかった。
 現場の西側は険しいがけで東側は谷。土砂は道路上に最高約2メートル近く積もった。ショベルカーを使い約50人態勢で救出活動をした。
 中西さんは釣り好きで、3人で釣りに出掛けていたらしい。
 県土木部によると、現場付近では今月18日と21日にも土砂崩れがあり、崩落防止工事をするため、鉄骨の柱に鉄板をはめた防護柵(高さ6メートル、長さ30メートル)を設置。臨時の信号機を置いて片側1車線通行の規制をしていた。しかし、防護柵は落石に対応する程度の強度で大規模な土砂崩れには耐えられないという。
 木谷信之土木部長は記者会見し「経験則で安全は確保できると判断したが、甘かったと言われても仕方ない。亡くなった方に哀悼の意を表したい」と話したが、土砂崩れの原因は「分かっていない」と述べた。

■カワウを9割削減へ 滋賀県が駆除計画案固める 07/01/30 京都新聞電子版
 琵琶湖の漁業などに深刻な影響を与えているカワウを現在の10分の1に当たる4000羽まで減らす駆除計画案で、滋賀県の検討協議会は30日の会議で、竹生島(長浜市)や伊崎半島(近江八幡市)に加え、八王寺池(甲賀市甲南町)など7カ所を駆除区域にする方針を固めた。
 新たな駆除区域は八王寺池のほかに、大正池(日野町)、西川池(近江八幡市)、西の湖(同)、余呉湖(余呉町)、松の木内湖(高島市)、瀬田川(大津市)。八王寺池にはカワウの巣があり、そのほかの場所ではねぐらが確認されている。各市町で羽数の増減を監視し、増えたら銃器駆除する。
 前回の会議で、「(竹生島など)特定地域だけの駆除では、周りにカワウが分散する」との指摘があった。
 一方、計画案にアユの漁獲量回復を目標に盛り込んだ。漁獲量は910トン(2004年)から、カワウが増える直前の1994年並(1300トン)への回復を目指す。

■アユ食害、年19万5000匹 吉野川流域のオオクチバスで試算 07/01/31 徳島新聞ネット版
 外来魚のブラックバスの一種・オオクチバスによる吉野川流域のアユ食害の試算が年間約十九万五千匹、アユ全体の5・1%に上ることが三十日、徳島市内の県水産会館で開かれた県立農林水産総合技術支援センター水産研究所の研究報告会で明らかにされた。報告した専門研究員兼科長の廣澤晃さん(環境増養殖担当)は「仮説を含む調査のため正確な数字ではないが、バスの食害はアユ資源にとって無視できず、外来魚対策が欠かせない」と訴えた。
 調査は二〇〇二年から〇六年まで、吉野川の第十堰(ぜき)上流から柿原堰までの約七キロ(水域面積約百ヘクタール)で実施。潜水目視から同域のオオクチバスの生息数を五百六十八匹と推定。季節ごとに採取した計二百匹のバスの胃の内容物を調査した結果、平均でアユを捕食していたバスは約16%だった。
 これらのデータと、〇三年から〇六年までの吉野川のアユ資源量約三百八十万匹に基づいて試算すると、アユ食害は全体の5・1%と推定。下流域では約二万三千匹、全流域では約十九万五千匹と見積もられた。バスの生息数は推定を上回ることが考えられ、被害はより大きい可能性もある。
 吉野川のアユ資源量は一九九九年から〇二年までの年間平均が二千二百万匹に対し、近年は約六分の一にまで落ち込んでいる。廣澤さんによると、アユが海域に生息している際の低水温が遡上(そじょう)量の減少に影響したことに加え、バスによる食害も要因の一つになっているという。
 研究報告会は「徳島のアユ資源を守るには」をテーマに、県内漁協関係者ら約八十人が出席して開催。研究報告のほか、高知市内の民間河川生物調査事務所の高橋勇夫代表が「アユを育てる川仕事」と題して講演した。

■外来魚駆除へ人工産卵床 藺牟田池のベッコウトンボ守れ 祁答院中生徒が組み立て 07/01/31 西日本新聞ネット版鹿児島
 環境省鹿児島自然保護官事務所は、ラムサール条約の登録地、藺牟田池(薩摩川内市祁答院町)で、国内希少野生動植物種のベッコウトンボを捕食している外来魚のオオクチバス駆除のため、人工産卵床を設置する。オオクチバスが卵を産む場所を人工的に作り、産卵後引き揚げ、駆除するのが狙い。産卵時期の春先には設置する方向で、手続きを進めている。
 同池は2005年度から同省のオオクチバス等防除モデル事業に指定され、調査、研究が行われている。同年11月から06年5月までにオオクチバス20匹とブルーギル1129匹を捕獲。オオクチバス3匹の胃からベッコウトンボの成虫6匹が見つかった。
 このため同事務所は、釣りによる捕獲だけでは、駆除に限界があると判断。宮城県・伊豆沼などで導入され、成果を上げている人工産卵床を導入することにした。
 人工産卵床は約60センチ四方の園芸用苗箱に、高さ約40センチのプラスチック製の網を三方を囲うように取り付け、苗箱部分に産卵場所として好む小石を敷き詰める。産卵行動を検知できるセンサーも取り付ける。3月上旬に、薩摩川内市の祁答院中1年生が組み立てる予定。設置場所や数など今後、検討する。
 同事務所の田畑慎之介自然保護官は「人工産卵床の効果を期待している。駆除に地域とともに取り組んでいきたい」と話している。
 同市は生態系保全のため、昨年7月から池で捕獲した外来魚の再放流を禁止している。(本安幸則)

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