Presented by B.B.C./Biwako Bass Communications

Editorial
Vol.86(08/07/15)

恐怖の遊漁船業務主任者講習


 7月15日に和歌山県すさみで開催された遊漁船業務主任者講習に行ってきた。遊漁船業法が施行されてまる5年たった今年、登録更新に伴う同講習が各地で開催されている。ワイルドキャットは法施行時に三重県尾鷲市で講習を受けて同地で登録。06年に新宮で登録したときも講習を受けなおしたので今回受けなくてもよいのだが、これを逃したら次に和歌山で開催されるのはまた5年後になりそう。06年の登録時みたいにわざわざ大阪まで行って講習を受けるのは面倒なので、今回受けておくことにした。受講証は5年間有効なので、今受けておけば次の登録更新のときに使える。ちなみに、遊漁船業法では講習をどこで受けて、どこで登録してもかまわないことになっている。


 すさみは漁師が多い土地柄、会場の公民館ホールには100人以上が詰めかけていた。中には知った顔の遊漁船船長や渡船屋さん、漁師が何人もいる。今は遊漁船をやってないけど、講習だけ受けに来てる人もけっこういる。普通に漁に出てる日だったら、わざわざ仕事を休んでまで講習を受けには来ないかもしれないが、この日はたまたま全漁連が呼びかけた全国いっせい休漁にあたったため、この機会に受けておこうという人がたくさんいたらしい。


 講習費用は、テキスト代が4000円と講習料が4000円の計8000円。モノクロ300ページちょっとのテキストが4000円は、出版の常識からしてめちゃくちゃ高いが、まあ大学の講義のテキストだと思えばこんなものか。そのテキストの資料に面白いカ所を発見。水産庁が調べた07年の各都道府県の遊漁船数のデータで、滋賀県の事業者が46、遊漁船が55となっている。これってフィッシングガイドのことだよね。事業者数よりも遊漁船数の方が多いのは、マリーナとかが事業者になって、まとめて遊漁船登録しているケースがあるから。それと、長野や岐阜、奈良などの海なし県にも数は少ないが遊漁船がある。これも普通に考えて琵琶湖や霞ケ浦、北浦でのガイドのためではなかろうか。バスフィッシングができる内水面で遊漁船登録が必要な湖はほかにないからね。そう考えると、琵琶湖のフィッシングガイドはおよそ60隻ほどということになる。


 講習の内容は、遊漁船業法の話と水産資源保護のための釣り規制の話。この二つのテーマは県水産局の人が説明。もう一つは事故防止の話で、これは海上保安庁の田辺保安部の人がしゃべった。最後に水産局の人がもう一度出て来て、登録更新のことを詳しく説明したので、このときだけはしっかり聴講。それ以外はひたすら眠さとの戦い……zzz。滋賀県の登録数の資料はその暇に見付けた次第。


 なにしろカンカン照りの真夏の午後にクーラーの効いた公民館のホールで、「こんな船頭いてるわけないやろ!!」「こんなお客さんばかりやったら楽でえーなー」と突っ込みどころ満載のビデオが流れたり、ひたすら役所の人の話が頭の上を通り過ぎて行ったりするわけだから、これはもう並大抵の忍耐力では勤まらない。普段、荒海で鍛えている船頭さん達は、あちこちで船をこぎだす。そうなるとこちらも誘われて眠さ倍増。4時間の予定が3時間ちょっとで終わったのには救われたが、なかなかの恐怖体験であった。


 講習が終わったら受講証が配布される。これが面白くて、いったん手渡した受講証をその場で横の箱に入れてくださいと漁協の人が叫んでいた。つまり、すさみの漁協がメインになってやってる講習だから、すぐその場で受講証を回収して、漁協でまとめて再登録の手続きをするということらしい。このあたりは現場の面白さで、船頭さん達は約3時間のがまん大会に耐えれば、後はよくわかってなくても登録が自動的に更新されることになる。まあ、そんなもんやろなと思っていたのが、その通りだったというわけだが、すさみで講習を受けたからそういうことがわかったのかもしれない。筆者が講習を受けるのは尾鷲、大阪に続いて、すさみが3回目。次はどこで受けてみようかな……。

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