プロフェッショナルガイド
杉戸繁伸の
琵琶湖ガイド情報 特別編

Vol.391

杉戸繁伸の琵琶湖ガイド情報

Kota in Bassmaster Classic Vol.6
クラシック7位、おめでとう!
08/02/25

  ←08/02/24       ガイド情報バックナンバー     08/02/24-03/02→

 現地スタッフより、生レポートでお送りしています。

----------------------------------------------------------------

 2月24日、バスマスタークラッシック最終日の朝を迎えた。申し分のない晴天に恵まれたが、昨日の陽気とは一変し気温は低く桟橋の至る所では凍結していたようだ。世界一を決定する戦いが今始まろうとしているのに、急な冷え込みのためか思いがけず湖上のギャラリーが少ない。

 大会開始直前、湖上で桐山選手と話をすることができた。

「昨晩ぐっすり睡眠を取ったお陰で、今日はとても清々しい気分・・・。やるだけやってみます!」と話していた。また、とても明るく周囲の人に接していたのが印象的だった。

 世界の頂点を決めるための戦いが始まった。初日、2日目に続き、彼はこのファイナルでも同じエリアから釣りを始めた。昨日は浮いたベイトフィッシュに感化され、ジャークベイトなどに多少浮気気味だったが、今日の彼は魚探とにらみ合いをしながらドロップショットで攻めていった。

 今までは試合中だったので、彼の釣りに関して記載することができなかったが、今回のレイクハートウエルでの釣りの組み立てに関し、彼はいくつかの要素に当てはまるエリアに絞っていた。まずは、ある程度岸から離れたディープエリアで、ベイトフィッシュが存在すること。そして、地形的にロードベルト(道路跡)や旧河川などによって、水深に変化があること。さらに、それらにプラスしてブッシュなどのストラクチャーが存在するということだ。そういったエリアでスポッテッドバスを中心にリミットを揃えた上で、シャローエリアに点在するボートドックなどの障害物周辺でラージマウスを狙いウエイトを上げていく考えだ。

 この日、10:00頃にはすで既に5尾のリミットメイクを達成していた。ただ、見ている限りではあまりサイズに恵まれていない・・・。

 12:30、彼がシャローエリアに出稼ぎに行くのと同時にレイクハートウエルを後にした。16:00、ウエイイン会場は熱気に包まれていた。

 2日間を終えての桐山選手のウエイトは28lb11oz。トップのアルトン・ジョーンズとの差は7lb5oz。順位は11位ではあるが、十分にトップを狙うことが可能な位置にいる。

 桐山選手のウエイイン。彼は11lb14ozの釣果を上げ、この時点で1位となった。もちろん、このウエイトで優勝を飾れるとは考えていなかったものの、一瞬でもトップの座に彼の名前があるというのはすごいことで、見ていて鳥肌が立ってしまった。

 トップ5のウエイインを残した時点で、彼の順位は3位。ということは最低でも8位が確定したことになる。しかし、上位陣はやはりそれなりに釣ってくる。アイコネがリミットを揃えられず順位を落した。優勝は、3日間順調に上位をキープしていたアルトン・ジョーンズ選手。合計49lb7ozの釣果を上げ、2位に5lb2ozの差を付けた、ブッチギリの優勝となった。

 ウエイインを終え、会場でその光景を見ていた桐山選手の最終順位は7位。3日目だけのウエイトで考えると5位となる。本人的にはもっと上に行けた・・・という思いがあるようだが、十分にほめ称えられる成績ではないかと思う。

 会場を出るとき、彼は多くのファンにサインや写真をせがまれ、快くすべてのファンに対応をしていた。日本で一緒に過ごしている時の彼は、ストイックに釣りをしていてトーナメンターとしての視線でモノを言ってくれる釣り人・・・という感じでしかなかったものの、こうしてクラッシックに出場している彼の姿を見、そしてファンにサインをしている彼の姿を見ると、アメリカではアスリートとして超有名なスター選手なんだ・・・ということを強く感じさせられた。

 ホテルへの帰り道、彼は今回のクラッシックについてこう語ってくれた。

「半年前からクラッシックのことをずっと考えてきたけど、終わってみるとあっと言う間だったよね・・・。来週はフロリダで試合があるし、ホッとしている暇はないよね・・・。今回のクラッシックはきつかったけど、楽しかった」

 以前はアメリカでのツアートーナメントに参加してみたい・・・なんていう漠然とした夢を持ったりしたこともあったが、今回彼に同行してみて、体力的にも精神的にも非常に厳しい現実が裏側に隠されていることがわかった。カメラを向けられ、そしてサインを求められるのは、彼等にとってほんの一瞬のことであり、普段はプラクティスにプラクティスを重ね、釣りのことだけを考え生活しているのだ。

 このレイクハートウエルでのクラッシックを通して、ここに参加しているすべての選手達は、きっとみんな桐山と同じようにたくさんの努力を重ねてきているのだろうと感じた。釣りが上手なのはあたりまえ。でも釣りが上手かどうかで順位が決まるのではなく、どれだけ努力してきたかで順位が決まるような気もする。少なくとも今回の桐山選手は、世界で7番目に努力を重ね、そして日本人としては1番努力をしたアングラーであると考えてもいいのかもしれない。

 桐山選手、2008バスマスタークラッシック7位、おめでとう!

※写真・文 伊藤健一郎さん

※最終成績はこちら

  ←08/02/24       ガイド情報バックナンバー     08/02/24-03/02→

杉戸繁伸(すぎと・しげのぶ)

1970年生まれ。滋賀県大津市在住。週末及び休日主体のパートタイムフィッシングガイドとして大津市今堅田のリブレに所属。琵琶湖では15年以上のキャリアを持ち、ラバージグ、ジグヘッドリグ、バイブレーションプラグなどを使った沖のウィードエリアや浚渫エリアでの釣りを得意としている。元JBマスタープロとして94年4月に河口湖で開催されたJBプロトーナメントで、発売3日後のベビーシャッドを使って優勝したことはあまりにも有名。

S. Sugito
Official Web Site
杉戸繁伸の琵琶湖ガイド情報